横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

フィールド無線

インダストリアル・オートメーションの分野に無線通信が加わることでフィールド・デジタル・ネットワークに新たな未来が切り開かれました。
無線のフレキシビリティは場所の制限や配線コストの問題であきらめていた新たなフィールドへ計測と制御の世界を広げます。
またISA100.11a規格に準拠したデジタル無線の技術はその信頼性とセキュリティを有線通信と遜色のないものにまで高めることを可能にしました。
新しい無線と既存の有線ネットワークとの融合によってプラントのさらなる進化が始まっています。

  • 無線差圧・圧力伝送器

    ISA100 無線に準拠した圧力伝送器をフルラインアップで提供します。ラインアップには、各種のプロセス接続方式が準備された差圧、絶対圧、ゲージ圧の伝送器が含まれます。

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  • 無線アダプター

    無線アダプターは「フィールド無線用通信モジュール FN120」と組み合わせることで、無線フィールド機器として動作します。本製品と接続したフィールド機器のセンサデータをフィールド無線ネットワークに送信します。

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  • 無線インフラ

    横河電機はIoTを実現するISA100互換のゲートウェイ、アクセスポイント、メディアコンバータおよび管理ステーションを提供します。お客様のニーズに合致するネットワークを構築することができます。

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  • Product Finder

    「Product Finder」は、用途や測定条件別に製品を探せるWebツールです。豊富な横河製品の中から、お客様の仕様に沿った最適な製品をお選びいただけます。

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詳細

フィールド無線システムの拡張に向け 新コンセプト 「Wireless Anywhere」を策定 
~無線通信規格ISA100.11a普及活動を加速~

Yokogawaは無線によるプラント全体の監視・制御を目指し、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに準拠した無線通信技術をプラントのどこでも適用できる環境を表す「Wireless Anywhere(ワイヤレス エニウエア)」をフィールド無線システムの新たなビジネス・コンセプトとして策定しました。今後はこのコンセプトのもとに、ISA100.11aに準拠した製品・サービスの普及活動に取り組みます。

フィールド無線システム新コンセプト「Wireless Anywhere」

Yokogawaは2010年7月、無線によるプラント全体の監視・制御を目指しISA100.11aに準拠したフィールド無線用システム機器と無線フィールド機器を世界で初めて製品化しました。2012年、Yokogawaがフィールド無線システムのビジネス・コンセプトとして提案した「信頼性」、「柔軟性」、「オープン性」を特長とした「Grow(グロー)=成長」のもと、大規模・高信頼な無線システム機器3種(フィールド無線用管理ステーションYFGW410、フィールド無線用アクセスポイントYFGW510、フィールド無線用メディアコンバータYFGW610)を発売し、無線フィールド機器2機種(EJX Lシリーズ差圧・圧力伝送器、YTA510温度伝送器)の機能強化をしました。

当社がフィールド無線システムに採用しているISA100.11a規格には、高い信頼性、アプリケーションの多様性、ネットワークの拡張性、FOUNDATIONTMフィールドバス、HART ®、PROFIBUSなどの有線通信規格との高い整合性を持つという特長があります。

当社は、ISA100.11a規格の特長に加え、完全二重化による高い信頼性、大規模、長距離通信を実現する製品群を「プラントワイドフィールド無線」として提案してきました。この「プラントワイドフィールド無線」は、ISA100.11a規格の全仕様に準拠し「ISA100.11aFull Functional(フル ファンクショナル)」として完成したものです。今後は、「Grow」を発展させた新コンセプト「Wireless Anywhere」に沿って、ISA100.11aに準拠した製品・サービスの普及活動に取り組みます。

 

“ISA100.11a Full Functional”が実現した当社のフィールド無線システムの特長

“ISA100.11a Full Functional”が実現した当社のフィールド無線システムの特長

“ISA100.11a Full Functional”「プラントワイドフィールド無線」では実時間応答を保証し、20台のアクセスポイントYFGW510で500台の無線フィールド機器と接続することが可能です。500台の無線フィールド機器との接続でデータ更新周期5秒、200台の無線フィールド機器との接続で1秒を実現できます。

信頼性向上のため信号経路をすべて二重化できます。Duoキャスト通信により無線フィールド機器とアクセスポイントYFGW510間の通信の信頼性向上も実現しています。また、無線フィールド機器の通信距離を従来比20倍の10km※1に拡張する技術を開発し、現在、実プラントで実証実験を行っています。

※1: 10km 高利得アンテナを利用した場合。使用する国・地域の電波法により、利用可能なアンテナの種類が制限される場合がある。

 

新コンセプト“Wireless Anywhere”

当社は、ISA100.11aに準拠した無線通信技術をプラントのどこでも適用できる環境を表す「Wireless Anywhere」のコンセプトに基づき、すでにお客様に提供している「プラントワイドフィールド無線」を中核システムに据えて、プラントのあらゆる箇所で適用する環境を提供し、ISA100.11aの無線通信技術を広く普及させるために3つの施策を展開します。

1. 実装要素技術をコンポーネント化し、開発を加速

お客様が必要とする無線デバイスソリューションを適切なタイミングで提供するため、無線フィールド機器(デバイス)を構成する実装要素技術のコンポーネント化を行います。コンポーネント化された実装要素技術を採用することで、ISA100.11a準拠の無線フィールド機器の実現が容易になり、製品開発期間の短縮が可能になります。当社はラインアップ拡充のために、これらの実装要素技術を活用して開発を加速し、2013年の年末に新しい無線フィールド機器の発売を予定しています。

2. ISA100.11a規格のサポートメンバーの拡大

当社はISA100 WCI(Wireless Compliance Institute)に加盟するメンバーと協力しながらISA100.11a規格を支持するメンバーの拡大と無線フィールド機器市場の普及に努めてきました。今後は多種多様なセンサをお客様に提供し、導入可能な無線アプリケーションの種類を増やすため,センサメーカ各社に対し、上記 1項のコンポーネント化した実装要素技術を提供し、ISA100.11a通信規格に対応した無線センサの開発を支援することを提案していきます。

3. 無線技術を取り込んだフィールド・デジタル・ネットワークの拡張

プラント全体の監視・制御にフィールド無線システムを適用するためには、(1)多様なプロトコルの監視・制御システムなどの上位システムと接続が可能であること、(2)有線製品をプラントのフィールド・デジタル・ネットワークに統合していくことを実現する必要があります。当社は、これらの実現を目指し、上位システムとフィールド機器の多様なプロトコルの接続を可能にするための技術開発に取り組みます。例えば、有線のフィールド機器を無線ネットワークに取り込むために、ISA100.11aに対応したアダプタを開発します。

無線技術を取り込んだフィールド・デジタル・ネットワークの拡張

 

まとめ

Yokogawaは無線技術と既存の有線技術を活用してフィールド機器を有機的に統合する新しいフィールド・デジタル・ネットワークを提案し、お客様の生産性向上に貢献します。

このように、"フィールド・デジタル"を活用してプラント操業の全体最適化を支援し、生産プロセスの「現場」の高度情報化と多様化にシームレスに対応する「Wireless Anywhere」を新たなコンセプトとして提唱し,理想のプラント操業を実現するために長期的発展に寄与できるパートナーとしてお客様と共に未来をデザインしていきます。 

 

“成長=Grow” を実現するアーキテクチャー

2010年に世界で初めてISA100.11a規格に適合した製品でフィールド無線システムの市場を推進するYOKOGAWAは、新たに大規模で高信頼な次世代のプラントワイドフィールド無線システムを開発し、販売を開始しました。 
これからのフィールドデジタルソリューションの基幹となるYOKOGAWAフィールド無線システムは、

  1. Reliability: 高い信頼性を実現する高性能無線技術と冗長化技術
  2. Flexibility: 小規模から大規模まで対応し拡張できる柔軟なアーキテクチャー 
  3. Openness: 他社の無線フィールド機器との相互接続を可能にするオープンなISA100.11a規格

の3つを目標に掲げて開発されました。そして、それぞれのお客様の進化と成長を実現するため、自らも進化してその時々に求められる最適なソリューションを提供し続けるという意味をから、「成長=Grow」をコンセプトとしています。

“成長=Grow” を実現するアーキテクチャー

 

次世代フィールド無線がもたらすメリット

現在のフィールド無線システムは比較的小規模のものから導入されていますが、モニタ点数の増加、より広いエリアへの展開、診断、監視、計測からさらには制御への適用など幅広い応用への要求が高まってきています。
このようなニーズを実現するために、大規模で高信頼な次世代プラントワイドフィールド無線システムは開発されました。新しいフィールド無線システムでは最大500台*の無線フィールド機器の一括管理が可能になります。(*収容できる無線フィールド機器の最大数は、フィールド無線用管理ステーションYFGW410のソフトウェアバージョンに依存します。)

従来の小規模なフィールド無線システムは、たとえば、タンクヤードや排水設備エリア等比較的見通しのよい特定エリアへの補完的な導入が主であったため、在庫管理の効率化、人員による巡回の効率化、環境計測の自動化等の限定的な作業効率改善と部分的な配線コストの削減が中心でした。
一方、プラントワイドフィールド無線システムは、従来設置が難しかった生産設備が密集している狭いエリアへの大量の測定点追加から、プラントの端から端まで広いエリアでの測定点追加に適応でき、プラントのどこにでも無線フィールド機器が設置できデータ管理できるようになりました。そのため、従来の限定的な効率改善にとどまらず、プラント全体の生産性向上に貢献します。

 

大規模でフレキシブルなフィールド無線システムを実現するアーキテクチャー

新しいフィールド無線システムのために次の新たなフィールド無線システム機器が開発されました。

  • フィールド無線用管理ステーション YFGW410
  • フィールド無線用アクセスポイント YFGW510
  • フィールド無線用メディアコンバーター YFGW610

当社従来のフィールド無線用一体型ゲートウエイYFGW710は、アクセスポイントと無線制御の機能が全て一体化されており、比較的小規模なフィールド無線システムを特定のエリアに簡便にインストールするのに適したオールインワンタイプでした。
新しい製品では、フィールド無線用アクセスポイントYFGW510が独立し、無線制御の機能を有するフィールド無線用管理ステーションYFGW410との間にフィールド無線バックボーンを形成できます。
よって複数のフィールド無線用アクセスポイントYFGW510をプラントの各所に配置してフィールド無線サブネットを構成でき、このアーキテクチャーによって大規模でプラントワイドなフィールド無線システムの構築を実現しました。
また、このフィールド無線用アクセスポイントYFGW510とフィールド無線用管理ステーションYFGW410との接続はイーサネット、光イーサネット、無線 LAN、計装ケーブル通信* などが選択できるので、プラントにおけるインストレーションの自由度が高くなっています。(*計装ケーブル通信は次期開発予定です。)

システム構成例を下図に示します。

大規模でフレキシブルなフィールド無線システムを実現するアーキテクチャー

 

高信頼のフィールド無線を支える技術

YOKOGAWAのフィールド無線は優れた受信性能を有し、無線物理層の信頼性が高いことを特徴としてきました(Reliable Radio)。
その結果、標準のアンテナを使って見通し区間であれば約600mの通信距離を実現し、また"パイプジャングル"のマルチパスの環境でも低いパケットエラーレートを実現してきました。
そこにネットワーク層の信頼性を強化する新たな技術が導入されることで、その信頼性はさらに強化されます。具体的には次の二つの技術です。

(1)Duocast

DuocastはISA100.11a規格が規定する無線経路を冗長化する技術です。従来のメッシュトポロジーは1つの無線経路で通信品質が確保できなかった場合に、もう一方の経路で再送信を試みる技術です。この場合,再送信は同一のタイムスロットではなくスーパーフレーム内の別タイムスロットが使用されるため、状況によって通信に遅延が発生するリスクがありました。

一方でDuocastは同じタイムスロット内で同時通信する技術であり、どちらか片方の通信が成功すればリアルタイム性が維持されます。よってミッションクリティカルな無線経路の冗長化に適しており、低レイテンシーを確保しながら信頼性向上を実現します。(下図参照)

高信頼のフィールド無線を支える技術「Duocast」

また、Duocast には無線経路の障害を補償するほかに、二つのフィールド無線用アクセスポイントで片側の故障をバックアップすることも可能になりました。

(2)フィールド無線バックボーンの二重化

フィールド無線バックボーンは、フィールド無線用アクセスポイントYFGW510と、フィールド無線管理ステーションYFGW410の間のネットワークのことです。このネットワークの二重化もISA100.11a 規格が規定する信頼性向上の技術です。これはフィールド無線用管理ステーションYFGW410の二重化によって実現され、フィールド無線バックボーンの断線や障害、YFGW410の故障などを冗長化でバックアップします。(下図参照)

高信頼のフィールド無線を支える技術「フィールド無線バックボーンの二重化」

具体的にはアクティブとスタンバイに設定した2台のフィールド無線管理ステーション YFGW410は、冗長化専用ケーブルによって同期され、例えばアクティブ側になんらかの障害が発生するとスタンバイ側へ機能の切り替えやデータの移管が短時間に実施され通信を継続します。

 

機能強化された無線伝送器

今回のプラントワイドフィールド無線システムの発売に合わせて、無線伝送器(EJX L シリーズ差圧・圧力伝送器、YTA510 温度伝送器)の機能強化も実施しました。

着脱式アンテナによる通信品質の改善

アンテナの着脱を可能にするオプションが設定されました。
このモデルを選択いただくことで、アンテナ延長ケーブルや高利得アンテナ*がお使いいただけます。
アンテナ延長ケーブルによって、伝送器の設置位置を変えることなくアンテナ位置が変更できるため、無線通信環境の改善が可能になります。
また、高利得アンテナ*によって通信距離を拡大することが可能になります。(* 使用可能なアンテナの種類は各国の電波法によって制限されます。)

消費電力低減によるバッテリー寿命の延長

着脱式アンテナオプションのモデルは消費電力の低減により電池寿命が長くなっています。条件にもよりますが、従来モデルに比べて1.5倍から2倍の電池寿命を実現しました。電池寿命の例を下記に示します。

  • EJX L シリーズ差圧・圧力伝送器(アンプケースコード8または9のモデル)
    更新周期 30秒で約10年間
    更新周期 10秒で約5年間
  • YTA510 温度伝送器(アンプケースコード8または9のモデルで低電力モード時)
    更新周期 10秒で約10年間
    更新周期 5秒で約8年間
    (但し、周囲温度:23±2℃)

 

まとめ

YOKOGAWAは工業用の無線技術を10年以上前から研究開発し、各種規格を比較検討してきました。そして工業用の計測と制御の分野に無線を採用するにあたっては、不安定さをできるだけ排除した無線物理層(Reliable Radio)を基本とし、上位層でシステムがそれをさらに補強するアーキテクチャが重要であることを主張してきました。また各種の工業用無線規格を比較検討する中で、ISA100.11a規格が我々のポリシーを実現するうえで最も適したアーキテクチャであったため、2010年に世界に先駆けてISA100.11a規格適合の商品を市場に投入しました。
そして多くの無線アプリケーションをご提供し、世界の100以上のサイトを開発エンジニアが直接訪問してサーベイを実施しました。
その体験と、多くのお客様からの情報を蓄積し、それを次の開発に活かしました。それはISA100.11a規格のもつ優位性をより具現化するものであり(ISA100 Full Functional)、フィールドデジタルイノベーションへ向けた無線の役割をより明確かつ確実にしていくものです。

ISA100.11a Full Functional プラントワイドフィールド無線システム

デジタル技術が実現する無線のセキュリティ

一方で、たとえ固定通信であったとしても、無線通信は同じ周波数を使った他の無線通信からの混信・妨害や、悪意をもって同じ周波数で妨害電波を出された場合の危惧もあります。
また、無線は空間に飛び出して周辺のエリアに到達してしまうため、傍受されて通信内容を第三者に知られたり、また外部からの意図的な侵入に対する心配もあります。
これらの危惧への一つの答えとして「アナログ」から「デジタル」への無線技術の進歩が挙げられます。
アナログの時代の無線通信は、その周波数の受信機さえあれば誰でも傍受が可能なものであり、一方でその通信に割り込んだり、意図的に妨害を与えるのも簡単で、セキュリティに関してはほとんど無力なものでした。
その後、無線通信にデジタル技術が導入されることによって、これらの危惧は大きく軽減されることになりました。

デジタル技術が実現する無線のセキュリティ

 

環境条件と無線

無線に対する環境影響の懸念についても誤解に基づいたものが散見されます。
たとえばフィールド無線通信が強い磁場に弱いとか、雨が降ると通信がさえぎられるといった話は事実ではありません。内容によっては有線よりも無線のほうが有利な場合もあります。これら環境条件と無線通信との関連を下記にまとめます。

  • 雷サージによる破損
    雷サージは電源や通信の配線を伝わって接続された周辺の電子機器を破壊する現象です。よって配線を有しない無線伝送器の雷サージに対するリスクはむしろ小さいといえます。ただし、直撃雷を堰けるための現場周辺の避雷対策は必要です。
  • 雷による通信妨害
    雷の放電によって発生する電磁波の周波数は数Hzから1GHz以上の広い帯域に渡ると言われています。ただし周波数が上がるほどそのパワーは小さく、また放電の瞬間と間欠通信の瞬間がぶつかる確率的な問題であり、またぶつかった場合も再送制御でリカバーされます。
  • 降雨・降雪・霧の影響
    フィールド無線に使われている2.4GH帯は降雨や降雪の影響をほとんど受けません。実験的にも確かめられています。一般的に10GHz以上の周波数から影響が出始めるといわれています。
  • 断線のリスク
    災害や劣悪環境での老朽化による配線の切断、野生動物による損傷、悪意ある者による意図的な切断などは有線特有の課題であり、無線は無関係になります。
  • 強磁界による影響
    問題となる磁界は無線帯域の高周波ではなく低周波であることが一般的です。その磁界による誘導電流は導線(配線)に対して発生するものですのでむしろ無線のほうが有利といえます。

 

無線通信規格 ISA100.11aについて

携帯電話や無線LANなどのように、私たちの生活に無線は欠かせないものとなってきました。
この無線技術の計装への適用を望まれることが増えてきています。
では、どのような無線技術を使えばよいでしょうか。

今までも横河電機を含む各種ベンダーから、無線を使った簡易計装システムというものは存在していましたが、

  • 固有の通信プロトコルを使うことが一般的で使えるアプリケーションに限定があった。
  • 複数のベンダー製品を同一の無線計装で扱うことが出来なかった。
  • 通信経路のセキュリティや信頼性に不安を払拭しきれなかった。

などの理由でなかなか普及に至りませんでした。

そこで横河電機はインダストリアル・オートメーションに適した無線通信規格ISA100.11a制定に参加し、
ユーザに使いやすい無線機器の国際規格化に務めてきました。

このISA100.11aには以下の優れた特長があります。

特 長 説 明
セキュリティ 強固な暗号化技術
通信の信頼性 24時間365日稼動を実現する高信頼性
電力管理 電池の長寿命化と交換時期の予測
オープン 複数のサプライヤーからの機器購入
マルチスピード 更新周期の早い機器と、遅い機器の混在
多機能 1つの無線ネットワークで複数のアプリケーション
拡張性 無線フィールド機器の数、地理的、更新周期の拡張性
グローバル 世界各国で適用可能な技術
通信品質管理 通信遅延の管理と低通信エラー率
マルチプロトコル 既設有線計装との統合のための投資最小化
コントロール対応 無線適用範囲の拡大

これらは工業用無線センサネットワークに要求されるユーザの声に基づいております。
ISA100.11a は、全ての要求を同時に満足した工業用無線規格です。

ISA100.11a規格をベースにした工業用無線技術をご導入いただくことで、高信頼かつ将来性の高い新しい計装スタイルの構築が可能となり、多くの問題解決を実現できると確信しています。

 

ISA100.11a対応の無線機器による制御デモ

ISA100.11a対応の無線機器による制御デモ

このデモは、当社の統合生産制御システム「CENTUM ® VP」及び無線管理ゲートウェイ、無線対応の差圧・圧力伝送器「DPharp EJX」と、バルブやポンプの大手メーカであるFlowserve社(注)の無線対応バルブポジショナ(試作品)を用いて、タンク水位の制御を実現したものです。今回使用した機器はISA100.11aに準拠しており、通信間隔1 秒での高速応答を示しました。また、無線通信経路の二重化により、高い信頼性を確保しました。

今回の制御デモに使用した当社製品:

  • 統合生産制御システム「CENTUM VP」
  • 差圧・圧力伝送器「DPharp EJX Lシリーズ」
  • フィールド無線用管理ステーション「YFGW410」
  • フィールド無線用アクセスポイント「YFGW510」

ISA100.11a対応の無線機器による制御デモの当社使用製品

無線による水位レベル制御デモの特徴

  1. DCSのPID制御による無線フィールド機器の制御(監視および制御)
  2. データ更新周期1秒でPID制御
  3. 完全二重化:更なる高信頼性確保のためフィールド無線用アクセスポイントYFGW510と無線フィールド機器間のDuocastおよびフィールド無線用管理ステーションYFGW410完全二重化システム
  4. 無線バルブポジショナーD3はFlowserve Corporation製プロトタイプ

無線による水位レベル制御デモの特徴

無線による水位レベル制御デモ

目的:無線通信であっても、1秒周期でプロセスデータを送受信し、適切な制御ができることを示す。
方式:通信手段に無線を使い、バルブポジショナ、および、圧力センサとコントローラが通信し、定周期で4段階の
設定水位の制御を行う。
構成:ISA100.11aの無線インフラとCENTUMを接続し、CENTUMから水位をPID制御する。
 
注)Flowserve Corporation
Flowserve Corporation(本社、米国テキサス州ダラス)はFSG(フローソリューショングループ)、FCD(バルブ)の2部門で構成される流体制御機器メーカです。電力、ガス、化学、その他産業に製品を納入し14,000名以上の従業員が世界56カ国で事業展開をしています。

500台無線フィールド機器 大規模接続テスト
高い信頼性、柔軟なアーキテクチャがさまざまなフィールドに対応

YOKOGAWAの新しいフィールド無線システムは、ISA100.11aの無線技術と、長年培ったYOKOGAWAの生産制御システムのノウハウを融合させ、フィールド無線システムの信頼性をさらに向上しました。
このビデオは、YOKOGAWAの新しいフィールド無線システムを紹介しています。冗長化構成を可能にしたフィールド無線用管理ステーション(YFGW410)2台と、Duocast機能に対応したフィールド無線用アクセスポイント(YFGW510)10台を配置し、信頼性の高いフィールド無線システムを構築しています。大規模システムのテストで、500台の無線フィールド機器と実際に接続して動作を確認しています。
2台のフィールド無線用管理ステーションのうち片側の接続を外しても、冗長化構成により、500台の無線フィールド機器は問題なく通信と測定を継続できています。また、10台のフィールド無線用アクセスポイントのうち1台の電源を落としても、やはり500台無線フィールド機器の接続は影響を受けません。YOKOGAWAフィールド無線システムの「高信頼性」を実際の動作で示しています。
このようにYOKOGAWAのフィールド無線システムは、最大500台の無線フィールド機器を収容することで、広大なプラントで強力なスケーラビリティを実現します。

雷試験 無線フィールド機器の耐久性を実証

インパルス電圧発生器を使用し、YOKOGAWAフィールド無線機器の誘導雷に対する耐久性実証試験を行いました。120万V、60kAの雷インパルスの誘導雷にも、YOKOGAWAの伝送器は全く損傷を受けず、その後も正しく測定と通信を継続していることを確認しています。

YOKOGAWAが提案する”高信頼”フィールド無線ソリューション

YOKOGAWAのフィールド無線ソリューションは、高感度受信機の採用で、信頼性の高い無線技術を実現しました。YOKOGAWA無線フィールド機器ならではの特色を生かし、ユーザに新たな価値創造を提案します。

  • 長距離通信:最大600メートル
  • 反射に強い通信:障害物密集環境(パイプジャングル)での通信安定性
  • Wi-Fiとの高い共存性:堅牢な通信信頼性

YOKOGAWAフィールド無線 長距離通信テスト(600m)  

YOKOGAWA無線フィールド機器を使用し、600mの長距離通信試験を行いました。高信頼の無線技術が、長距離通信においても、低パケットエラーレート(PPR)を実現しています。

横河電機 フィールド無線ソリューションの技術に関して Frost & Sullivanの「Global Enabling Technology Leadership Award」を受賞

横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、国際的な市場調査およびコンサルティング会社であるFrost & Sullivan(フロスト・アンド・サリバン)*1から、フィールド無線ソリューションの技術に関して2014年の「Global Enabling Technology Leadership Award(グローバル・イネーブリング・テクノロジー・リーダーシップ・アワード)」を受賞しましたのでお知らせします。同賞は、さまざまな分野において世界で最も効果的な技術を実現した企業に対して授与されるものです。

フィールド無線システムは、プラントに設置されるフィールド機器や分析計などと、監視・制御システムなど上位のシステムとの間の通信を無線化するシステムです。無線通信には、配線が困難な場所にフィールド機器等を設置できる、通信ケーブルや敷設コストが削減できるなど多くのメリットがあります。

当社は2010年7月にISA100.11a*2準拠のフィールド無線用システム機器と無線フィールド機器を世界で初めて市場に出し、ラインアップを拡充してきました。2013年4月には、無線通信技術をプラントのどこでも適用できる環境を表す「Wireless Anywhere(ワイヤレス エニウエア)」をコンセプトに策定し、ISA100 Wireless*3を普及させるための活動と適合機器の開発に取り組んでいます。2013年末には、無線技術をセンサに搭載しやすくするため、センサメーカへのアンテナ一体型無線通信機の提供を開始しており、2014年は有線フィールド機器を無線化するためのアダプタの提供を開始します。

今回の受賞にあたっては、新製品創出の可能性、現在の製品の強化、新たなアプリケーションの実現、市場での普及の可能性、テクノロジーの活用範囲の広さの観点から無線ソリューションの評価がなされ、当社は、信頼性、オープン性、相互運用性を重視してISA100 Wirelessを採用し、既存の有線技術と無線技術を融合させ、フィールド無線の分野に技術革新の道を開いたとして受賞に至りました。

当社は今後も「Wireless Anywhere」のコンセプトに基づきISA100 Wireless対応機器の開発に努めるとともに、監視のみならず制御までを含めて、プラントにおける無線技術の活用に取り組んでまいります。

高信頼ISA100無線システムの制御デモ
-Yokogawa developed reliable ISA100 Wireless System for Control Application - Live Demo-

このデモは、当社の統合生産制御システム「CENTUM ® VP」及び無線管理ゲートウェイ、無線対応の差圧・圧力伝送器「DPharp EJX」と、バルブやポンプの大手メーカであるFlowserve社(注)の無線対応バルブポジショナ(試作品)を用いて、タンク水位の制御を実現したものです。今回使用した機器はISA100.11aに準拠しており、通信間隔1秒での高速応答を示しました。また、無線通信経路の二重化により、高い信頼性を確保しました。

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