無線活用による安全性と作業効率向上の実現
タービン発電機の水素冷却装置
タービン発電機は大規模な商業発電所のみならず、各種産業における自家発電設備などで利用されています。タービン発電機は物質の運動エネルギーを回転運動に変換し、さらに電力に変換する役割を担いますが、高速な回転運動を伴うこと、大電力を取り扱うことから、摩擦や電磁エネルギーによりタービン発電機そのものが発熱します。タービン発電機を健全な運転温度に保つために水素による冷却装置が設置されます。水素の特徴の一つとして、高い熱伝導率が挙げられ、水素を用いることでタービン発電機の効率的な冷却が可能となります。しかし、水素の爆発限界は空気中濃度にして 4 ~ 75 % と幅広く、ガスのリークが発生すると爆発事故の危険性が高まります。このため、商業発電所などではタービン発電機内の水素濃度を 98 % 以上に保つ運用を行っています。YOKOGAWA 製のガス密度計 GD420□ / GD320S がこの運用を支えています。
操業上の課題
タービン発電機の冷却用途への水素の活用は従来より行われていますが、その漏れに対する検出には以下の課題があります。
- リークの発生が操業上の安全リスクに直結する
- 水素は分子構造が小さく、他の物質と比較して漏れやすい
- 拡散性が高いことから、定置式のガス検知器の設置箇所決定やトライアンドエラーが難しい
- 危険とわかりながらもポータブルタイプのガス検知器を用いてリーク箇所の特定を行わざるを得ない場合がある
- リーク発生箇所の特定に時間を要する
安全性の維持を効率的に実現できる水素リーク検知の手法が求められています。
水素冷却装置概略
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YOKOGAWA のソリューション
高信頼・高速更新を実現できるフィールド無線システムとパートナー各社の無線式ガス検知器を組み合わせることで、高信頼且つ柔軟な水素ガスリーク検知システムを構築可能です。
無線ガス検知器は電源線及び信号線が不要であるため、配管や設備の繋ぎ目等、リークが発生しやすいと想定される箇所や過去にリークを発生した箇所など、試行錯誤を伴う検知ポイントの追加や設置場所変更に配線や移設に悩まされることなく柔軟に対応できます。
生産制御装置による監視のみならず、SMARTDAC+ シリーズのデータ収集ソフトウェア GA10 やデータロガー GM10 を活用した、シンプルな構成での監視や各種アラーム発報のシステム構築が可能です。
取り扱う無線ガス検知器の種類によっては、安全計装システム ProSafe-RS と組み合わせた SIL2 無線ガス検知システムを構築することも可能です。
タービン発電機の水素冷却システム向けの水素リーク無線検知ソリューションを、安全計装システムの既存の Fire & Gas アプリケーションに統合することで、プラントの統合的な Fire & Gas システムのカバー範囲をさらに拡大することが可能です。
業種
関連製品&ソリューション
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本製品は ISA100.11a が規定するバックボーンルータの機能が搭載されており、「フィールド無線用管理ステーション YFGW410」や「フィールド無線用メディアコンバーター YFGW610」と組み合わせてフィールド無線システムを構成します。
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データアクイジション システム GM
SMARTDAC+ データアクイジションシステム GM は、簡単に必要なモジュールを自由に組み合わせられるYOKOGAWA独自のブロック構造を採用した、汎用性と拡張性に優れたデータロガーです。設置後もすべてのモジュールが独立して着脱できるため、メンテナンス性にも優れています。
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SMARTDAC+ データロギングソフトウェア GA10は、プログラミングせずにDAQシステムを構築できる、AIを標準搭載した最新のソフトウェアです。当社のレコーダ、データロガー、温度調節計、電力モニターなどとの相性が良く、Modbus通信でのデータ収集も可能です。
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ProSafe-RSは国産初(2005年2月発売)の本格的なプロセス用統合型安全計装システムです。世界ではじめてシングル構成でSIL3に適用できる安全性を実現し、さらに冗長化構成により高稼働率も実現します。また、CENTUMとの融合により本格的な統合化が可能です。
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国際的な安全度水準SIL2認証の「ProSafe-RS Lite」は、安全計装システムProSafe(プロセーフ)シリーズを拡充、現場で要求されるSILに見合った導入コストを選択できます。ProSafe-RSで長年培った高信頼性技術を継承、プラントの安全性と信頼性に大きく貢献します。
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横河電機はIoTを実現するISA100互換のゲートウェイ、アクセスポイント、メディアコンバータおよび管理ステーションを提供します。お客様のニーズに合致するネットワークを構築することができます。