横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

海底電力ケーブル監視

海底電力ケーブル監視は、洋上風力発電などで使用されている海底電力ケーブルの状態を24時間365日、常時状態監視するためのソフトウェア製品です。光ファイバを用いた温度分布計測によるケーブル全体の状態監視により、次のようなメリットがあります。

  • 温度計測と統計解析により、海底電力ケーブルの異常箇所の把握が容易
  • 温度計測には海底電力ケーブル内蔵の光ファイバケーブルを活用するので追加コストが不要
  • コンディションベースでのメンテナンスを実現することで、点検やメンテナンスコストを削減し、事故の発生リスクを低減

開発の背景とお客様の課題

洋上風力発電は、洋上の安定した風況が期待できることから再生可能エネルギーの1つとして、今後、市場の拡大が見込まれています。洋上風力における海底電力ケーブルは、ひとたび不具合が発生すると、リカバリーやペナルティなどで事業者の負担が大きくなってしまいます。そこで、事故などに起因する不具合や損傷の発生に備え、定期的な点検およびメンテナンスが行われています。一方で、海底電力ケーブルは長距離かつ海底に埋設されているため、点検やメンテナンスには作業船や作業員の手配が必要で、多額のコストが掛かっています。このため事故を未然に防ぐことが重要とされていますが、従来の手法である定期点検では突発的に発生する事象への対処が難しいといった課題があります。

そこで、海底電力ケーブル監視ソフトウェアを活用することで、温度の計測と統計解析により、海底電力ケーブルの異常箇所の把握を容易にし、このような課題への効果的な対処を可能とします。具体的には、統計解析によりケーブル状態監視を強化するツール(海底ケーブル診断機能)や状態可視化ツール(実温度表示機能)を利用することにより、海底電力ケーブルの状態変化の場所を特定でき、点検コストの削減や突発事故発生リスクの低減に貢献します。

海底電力ケーブル監視イメージ

詳細

特徴

  • 計測した温度を統計解析することで送電量や季節等による温度変化を考慮することが可能となり、海底電力ケーブルの状態をより際立たせて表示します。そのため海底電力ケーブルの状態の把握が容易で、問題箇所の特定につながります。また、詳細確認が必要な場合は、必要に応じて状態変化の傾向をExcelなどで確認することもできます。
  • 海底電力ケーブルの温度は、一般的な海底電力ケーブルにて採用されているマルチコアケーブルの一部(予備の光ファイバ)を利用して計測します。このため監視用の光ファイバケーブルを追加工事で増設する必要はありません。
  • 海底電力ケーブルの状態はSCADA画面(当社製品の統合情報サーバ:CIサーバ)に表示されます。アラーム情報等と統合してトータルで監視できるほか、状況に応じて埋設処理などのアクションの効果的な検討に貢献します。

海底電力ケーブルの埋設状態と温度変化には密接な関係があります。温度の変化を監視することで、ケーブルの設置状態の変化を把握することが可能です。

例として、台風や漁船具のひっかけなどの突発的な事象により、埋設されていたケーブルが海中で露呈すると、ケーブルの温度が変化します。本ソフトウェアでは温度計測と傾向監視によりこの変化を素早く検知し、対象の位置を特定することができます。

また、本ソフトウェアは温度計測に当社製品の光ファイバ温度センサ DTSXを使用しています。光ファイバ温度センサ DTSXは、光ファイバケーブルの特性を生かしたセンシング技術で、長距離・広範囲の温度変化をリアルタイムで測定が可能です。

 

導入効果

海底電力ケーブルの点検コストの削減

従来の定期点検では、少なくとも年に1回程度、作業船のサイドスキャンソナーを使用して海底の性状の違いを確認します。本ソフトウェアを導入することで、海底ケーブルの状態の常時監視を実現し、点検の時間と費用や手間等を大きく削減します。

点検コストの削減

事故のリスク低減

海底電力ケーブル露呈に気付かず、万が一事故が発生してしまった場合、売電損失やペナルティ等が発生します。海底電力ケーブルの状態を常時監視することで、いち早く異変を察知し、対策を講じることで、不慮の事故が発生するリスクを低減し、状態に応じた最適なタイミングでのメンテナンス実施に貢献します。

事故のリスク低減

(上記グラフ:当社調べ)

製品概要

監視画面例

監視画面例

海底電力ケーブル監視の画面では、海底ケーブルの状態と統計解析した温度の変化をグラフィカルに表示します。同画面にアラーム履歴も表示することで、イベントと突き合わせて、海底電力ケーブルの状態変化を確認することもできます。

システム構成例

海底電力ケーブル監視ソフトウェアのシステム構成例です。このソフトウェアはCIサーバ上のCIサーバアプリケーションとしてDTSXと連携して動作します。

システム構成例

  • 海底電力ケーブル監視ソフトウェア:データ収集および診断
  • CIサーバ:統合情報サーバ
  • DTSX3000用設定&結果表示ソフトウェア:DTSXの設定に使用
  • DTSX光ファイバ温度センサシステム:光ファイバ温度センサ、ベースモジュール、電源モジュールで構成。1台のDTSXで2系統以上測定する場合は、光スイッチモジュールが必要となります。

ドキュメント&ダウンロード

ニュース

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