AMSソリューションは、「サービス業務品質向上」、「製品品質向上」、「アフターサービスビジネス伸長」の観点からお客様のアフターマーケットのサービス全体にわたる課題を解決するソリューションです。
YOKOGAWAで実現しているフィールドサービス業務プロセスを実装したアフターサービス基幹業務ソリューション(ServAir)と自社でのフィールドサービス実践と抱負な導入実績により培われたコンサルティング力の相乗効果により、お客様の保守・メンテナンス業務を付加価値のあるサービスビジネスへと変革いたします。
*AMS: After Market Services お客様のアフターマーケットのサービス全体にわたる課題を解決するソリューション
詳細
保守・修理サービスの市場環境
近年の労働人口の減少やベテランの退職など保守・修理対応などのフィールドサービスビジネスを取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。さらに、競合他社との製品機能面での差別化も難しくなり、サービスを含めて商品力を強化することが経営課題として求められています。
特に生産財の分野では、5G 通信環境をにらみ、IoT を活用したアフターサービス業務システムや ICT の採用に取り組み始める企業も少なくありません。
しかし、アフターサービスを強化することで他社との差異化を図ることの必要性を認識しながら、なかなか投資に踏み切れないのが実情です。
アフターマーケットの位置づけ
アフターマーケット
お客様に商品を提供した後に発生する全ての商取引 (お客様問合せ、修理、更新、追加・改造等) と、それに付随するソリューション (情報収集・管理、データ分析等) を含めたさまざまなサービスビジネス市場を指します。
アフターサービス
お客様に商品を提供した後に発生する全ての商取引を指します。
フィールドサービス
アフターサービスの中で「出張修理」「点検整備」など、お客様先で提供するサービスを指します。
ビジネス価値の最大化
アフターサービスは、製品販売と強く関連付けることで、お客様の囲い込みによるビジネス拡大を促進することができます。
アフターサービスの情報から機器の稼働状況を確認することにより、営業はお客様に最適な提案を最適なタイミングで行う準備ができます。
サービスエンジニアは、お客様の現場作業で得た情報を即時に営業と共有することで、ビジネスチャンスの拡大に寄与できます。
また、お客様が満足するサービス水準や課題を把握することで、製品受注確度を高めることもできます。
このように製品とサービスの相乗効果を高めていけるよう、システムやデータ連携のためのインフラを整備し、経営視点でアフターサービスの価値最大化に貢献する仕組み作りに取り組むことが、アフターマーケット対応のビジネスモデルとなります。
サービスビジネスの拡大に向けて
代理店による保守サポートを含め、お客様に納入した製品の契約や設置情報、稼働状況、保守契約情報などをトラブル発生時に即座に照会することで迅速で適確なアフターサービスが可能となり、サービス品質向上・ビジネス伸長・製品品質向上に大きく貢献することができます。
- サービス品質向上
納入品、類似故障、製品開発等に関する情報を共有し容易に検索対応ができることにより、迅速かつ的確にお客様へサービス提供が可能になり、更にはメンバーによる個人差を最小化するなどサービス品質を向上します。
- サービスビジネス伸長
納入品の稼働率を最大化しながら保守費用を最適化する計画保守提案(ライフサイクルソリューション)を行うことで、突発故障を減らしサービスビジネスの伸長ができます。
- 製品品質向上
現場で発生しているトラブルを要因別(機種、部品、その他)に分類した結果を製品開発部署へフィードバックすることで、トラブル原因の早期発見、次機種開発への保守性機能の取込みなど、製品品質を向上させることができます。
YOKOGAWAのアフターマーケットへの取り組み
YOKOGAWA では制御システムをはじめ、お客様のシステムや機器に関する様々なトラブルやお問い合わせに対応するためにサービス総合窓口としてグローバルレスポンスセンターを設置しています。24時間365日受付体制で、現場で発生する問題やトラブルに迅速に対応しています。
このベースとなる仕組みとしてアフターマーケット基幹システム“ServAir”によるソリューションを実際に活用しています。サービス業務を整理するノウハウを有しており、あるべき姿を最短で最善に実現できるプランを提示することができます。
グローバルレスポンスセンター (GRC) について
YOKOGAWA では、お客様からの問合せ対応を本社に集中化することで拠点との役割を見直しました。GRC では迅速かつ確実な対応を必要とする事項を担当し、拠点ではお客様の近くで安定稼働に向けた提案 (付加価値サービスの提供) を担当することにしています。また、GRC は集まってきたデータの分析結果を、拠点や製品事業部へ広報することのほかにサービスエンジニア教育等を実施しています。
GRCの主要機能
アフターマーケットの基本3要素
アフターマーケットビジネスを盤石にするために基本に据えるものは、「人財・スキル」「運用・体制」「ICT ソリューション」の3要素です。
人財・スキル
アフターサービスにおける作業品質は、お客様満足度に直結します。また、エンジニアスキルに左右されず作業品質を維持継続するためには、作業の標準化、資格認定、人財育成プログラムなど教育環境の整備が重要になります。
さらに、お客様満足度の向上には、実際にサービスを提供するエンジニアの満足度 (ES) 向上も欠かせません。
運用・体制
アフターサービス業務は作業量の変動が大きいのが特徴です。しかし作業量のピークに合わせてエンジニアを配置することはできないため、エンジニアのローディングを全国規模で柔軟に配置することや休日夜間業務に対応するための勤務体系の構築など、アフターサービスならではの運用・体制の導入構築が必要となります。
ICT ソリューション
アフターサービスに従事するエンジニアのスキル向上、柔軟な運用体制の構築を実現するためには、ICT によるサポートが不可欠です。個人に依存することなく作業品質を維持するためには、情報の見える化、共有化が必要になります。また、ベテランに頼りがちな複雑な業務もリモートによる現場支援や情報支援、モバイル端末活用、eラーニング導入などにより、作業品質と業務効率の向上の両方を実現するための強力なインフラとなります。
提供価値の再定義
産業用機械・設備機器などの分野におけるアフターサービスは、お客様への生産効率に与える影響が大きいため、 ICTの進展とともに故障停止や故障時間を最小化するための取り組みが活発になってきています。また、5G導入により、サービスの品質向上と効率化がさらに推し進められていくことが予想され、今後も競争優位性を維持・確保することはますます困難になってきています。
しかし、対象分野や製品特性によっては、お客様の期待値をどこに置くかで、その課題認識は大きく異なってきます。そのためには、基本3要素の現状を正確に把握することが重要になります。その上で、お客様の期待値を想定した業務プロセスを設計することが重要になります。
アフターサービスの顧客期待値
アフターサービスの品質管理指標のひとつに「お客様満足度」があります。お客様満足度を向上させるためには、「当たり前サービス」「期待を超えるサービス」の2つのサービスの視点で考える必要があります。
- 当たり前サービス (例:通常のトラブル対応)
トラブルが発生したとき、誰もが期待する対応を迅速かつ正確に対処することが求められます。これを「当たり前サービス」とします。重要なポイントは、ある一定水準をクリアすると、それ以上の品質を追求してもお客様満足度は向上しにくいという点です。
- 期待を超えるサービス (例:ライフサイクルに基づいたアフターサービス提案)
サービスに対するお客様の評価は相対的 (自分の想定との比較) であるため、しばしば印象的なものとなります。しかし期待値を低く設定してしまうと選択されない可能性があるため、ある一定の水準が必要です。反面、設定が高すぎると達成することも維持していくことも難しくなってしまいます。
顧客期待値の設定
「アフターサービスの提供価値」は、以下の4STEPを回すことで価値向上を目指していきます。ポイントは、期待値の設定についてお客様の期待値に限りなく近く設定することです。そして、お客様に対して常に驚き (新しい取組み) を提供することができれば、それは提供価値として認識されます。
最初の指標を設定する際は、お客様の期待値を考慮することが重要です。
- STEP1:管理指標を設定(まずはハードルを設定)
- STEP2:現状のサービスレベルを把握する
- STEP3:設定した管理指標を下回った項目について、「なぜなぜ分析」を実施する
- STEP4:「なぜなぜ分析」結果をもとにサービス内容の見直しを実施する
顧客期待値を超える提供価値
コモディティ化が進む事務機、家電などの耐久消費財でも、アフターサービスで他社との差異化・差別化を図る取り組みが進んでいます。そして、取り組みを収益の源泉に発展させるために、ICT の活用にも積極的になっています。また、収益性を高められる新たなビジネスモデルとして異業種からも強みを活かした参入もあり、市場環境も大きく変化しています。
IoT を活用した機器の稼働状態のリモート把握、納入品の最適管理、データ分析からの故障の予兆管理など、アフターサービスにもお客様から価値を創出するための ICT を活用した提案が求められています。
ロイヤリティ向上やリピートビジネスの拡大に向けて、お客様の期待値を超えるために、KPI に顧客が期待する満足度の評価を組み入れて、アフターサービスの提供価値の再定義に着手するところも増えてきています。
提供価値の再定義のポイント
生産財 (工作機械、生産設備等)
10年以上の長期にわたり安定稼働が求められる生産財に対するアフターサービスは、メーカーによるトラブル対応、点検整備が中心になります。また、製品を提供しているメーカー数も限られており、機能継承性も重視されることからブランドスイッチが起きにくいとされています。この結果、作業品質やエンジニアの力量に対する評価は厳しくなりがちです。
このような生産財に対するアフターサービス提供のポイントは、故障発生時の迅速な対応はもちろんのこと、故障を発生させないための処置や稼働状況を常時監視する対応などになります。
耐久消費財 (事務機、家電等)
10年未満での買い替え (またはリース契約満了) が発生する耐久消費財に対するアフターサービスは、お客様への適切な問合せ対応と迅速な修理提供が求められます。製品性能差がつきにくく、かつ、価格に敏感な傾向があるため、アフターサービス提供内容の良し悪しでブランドスイッチが発生しやすいとされています。
このような耐久消費財に対するアフターサービス提供のポイントは、長期保証の提供やリース契約等による囲い込みが中心になります。
製造業のサービス化への進展と収益化のジレンマ
製造業のデジタル化が進展するなか、製品にサービスを付加して収益を得るビジネスモデルの取り組みが加速していますが、サービス化することによってコストの回収さえ難しくなる「サービス・パラドックス」に陥ってしまう現象が指摘されています。
特にアフターサービスでは、お客様からのサービス要求が高度化しているため、業務をエンジニア個々人に依存することが限界となっているのが実情です。まずはトラブルへの迅速かつ確実な対応を目指し、エンジニアの作業品質とお客様満足度を向上させるために ICT を活用する必要があります。
ICT 導入の目的と範囲を考える
ICT 導入には、まず全てのエンジニアをベテランエンジニアと同等のサービス水準に引き上げることが必要です。作業に必要な資料やチェックシートを電子化してネットワークで共有したり、故障原因や同様トラブルを検索できるようにお客様のサービス履歴をデータベース化したり、ベテランエンジニアとのチャットでのコミュニケーションを推進するなど、大掛かりなシステム導入なしでも情報の蓄積と共有の仕組みを適切に設計することで、業務を大幅に効率化することができます。
部門間を跨ぐために経営層が主導となり、サービス現場でのトラブル対応やお客様のビジネス課題などの情報を開発・設計部門や営業部門と共有することで、設計段階からサービス業務の簡便化やタイムリーな営業活動などを考慮することが可能になります。
ICT 活用のポイント
業務運用の最適化
フィールドサービスはお客様先で作業するため、効率的なディスパッチやエンジニアの作業品質の担保が重要なポイントとなります。さらにサービス業務の変動要因により、拠点メンバーだけでは対応できない事象が発生します。全国の業務量を把握して、最適なエンジニアのローディングを立案できるかどうかが大きなカギとなります。
点検整備 (計画作業) 中心モデルへの展開
収益に直結する「エンジニア稼働率」は重要なポイントになります。エンジニアの稼働率向上には作業効率の向上が不可欠です。トラブル対応中心のビジネスモデルから点検整備 (計画作業) 中心のビジネスモデルに展開することで、エンジニアのローディング最適化と稼働率の向上につながります。
納入品管理の徹底
生産財は、納入から10年以上継続して稼働するため、定期的に最新情報を取得することが必要です。しかし実際には、総じて出荷時点から情報が更新されていません。いかに手間をかけずに最新情報を維持できるか、いかに以降のサービス品質の向上につなげるかが重要なポイントとなります。
データ分析に基づく提案
定期的な部品交換はサービスビジネス収益の大きな柱ですが、交換周期に到達したというだけの理由で故障していない部品の交換を提案しても、お客様には受け入れられなくなってきています。近年では、IoT を活用した常時監視により最適なタイミングで部品交換することができるようになってきていますが、これには IoT データ収集や AI による兆候パターン解析など ICT の高度な活用が求められます。
ベテランエンジニア退職と技術・技能の伝承
ベテランエンジニアの退職や若手エンジニアの確保が難航するなか、集合教育や OJT で技術・技能を伝承することがますます困難になっています。集合教育だけでなくeラーニングや VR (仮想現実) の活用、スマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末など、フィールド業務を ICT 化して技術と技能の伝承を効果的に行うこともポイントになります。
ICT とサービス業務を理解したコンサルティング
ICTのなかでもアフターサービス業務システムの導入には、経営層やマネジメント層のリーダーシップによる全社的視点での導入プロセスが欠かせません。そのためには、アフターサービス業務の知見とシステム導入の経験をもつベンダーコンサルティングの参画も大きなポイントとなります。時には導入プロジェクトの成否を握るといっても過言ではありません。
アフターサービス業務を支援するアプリケーションシステムは多数ありますが、機能的に大きな違いは認められないかもしれません。一方、業務整理を行うためのコンサルティング能力には大きな開きがあります。
YOKOGAWA は自社でアフターサービスを実践しており、かつ、早い段階からシステムを導入しているため確かな経験とノウハウを保有しています。
お客様の経営層の参画を促し、潜在課題を発掘し、お客様と共に現状 (As-IS) を把握。あるべき姿 (To-Be) を描き、プラント管理で培ったセンサー技術や IoT・AI をベースにして、お客様のアフターサービスビジネスに優位性をもたらすべく最適な提案を行います。
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