概要
地熱発電所は、地熱エネルギーを利用して発電します。蒸気タービンを備えた他の発電所に似ていますが、発電用タービンを回す蒸気は地球内部から得られるものです。生成された蒸気は発電のためタービンを回すことに使用されます。発電方式にはドライスチーム、フラッシュスチーム、バイナリサイクルがあり、バイナリサイクルが現在最も一般的です。地熱発電では、今回の案件のように蒸気配管が計器室から離れていることが多く、そのような条件下でもさまざまなプロセスをモニターする必要があります。
利点
- 導入費用(CAPEX)の削減:高利得アンテナによって最長5kmまでの遠隔モニタリングが可能です。
- ISA100 Wirelessにもとづくオープンでスケーラブルなネットワーク設計によって、柔軟性とスケーラビリティが改善します。
- 長寿命バッテリーで最小限のインフラ:30秒ごとの測定で10年の寿命を持つバッテリーが、保守の費用と作業を削減します。
- 計器室から2km離れていても蒸気圧を遠隔モニターできるため、パトロール回数が減少します。
要件
ローカル制御室において、操業部門にも情報を伝達できるオンラインモニタを実現するため、生産井の既存圧力ゲージをワイヤレス圧力伝送器に交換する必要があります。測定点は、勾配1:20の斜面に広がった森林内に位置しています。この条件が、無線通信を困難にしていました。
課題
- 森林内での長距離通信
- アンテナの伝搬角度
ソリューション
蒸気抽出点までの長距離通信を可能にするために、6dBiアンテナを取付けたYFGW410 / 520が計器室の近くに据付けられました。ワイヤレス温度伝送器YTA510に高利得アンテナを取付けて中継器として利用し、全測定点をカバーできるようにしました。ワイヤレス圧力伝送器EJX110Lが、必要な測定点に直接取付けられました。Sky Mesh法を実現するためリモートアンテナケーブルが有効利用されました。アンテナは角度を付けて配置し、傾斜のある森林内でワイヤレス通信の障害物を避けられるようにしました。
まとめ
- 高利得アンテナの優れた性能によって、中継器1台だけでゲートウェイと確実に通信を行うことができ、また必要な距離をカバーすることができました。
- 現場の状態と安全を確認するパトロールの実施間隔を毎日から毎月に延ばすことができました。
- ワイヤレスネットワークであるため、将来、測定点を容易に増やすことができます。
業種
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