共焦点定量イメージサイトメーター CQ1

共焦点定量イメージサイトメーターCQ1はフローサイトメーターのように剥離等の前処理をすることなく、スフェロイドのような細胞集塊をかんたんに3D解析したり、培養環境(ライブセル)のままタイムラプス3D解析できます。
また、スタッカーを用いたハイスループットスクリーニング・外部インキュベータを用いた長時間のタイムラプス解析などのシステム構築や、解析ソフトウェアCellPathfinderを用いた機械学習、ラベルフリー解析などのより高度な解析に対応できます。
 

蛍光励起光源 405nm、488nm、561nm、640nm固体レーザ
対物レンズ 2x、4x 、10x、20x 、40x
(ドライ、位相差、長作動)
カメラ sCMOS 有効画素数:2560×2160
画素サイズ:6.5µm
オートフォーカス レーザ方式、イメージベース(ソフトウェア)方式
ソフトウェア
(オプション)
ハイコンテント解析ソフトウェアCellPathfinder

スフェロイド、コロニー、組織切片を3D測定

  • 接着細胞の剥離等の前処理不要
  • スピニングディスク共焦点により、細胞にやさしく3次元画像を高速取得
  • 画像から細胞解析に必要な特徴量を抽出・定量
  • 広視野かつタイリングで、大きなサンプルにも対応

タイムラプス解析、ライブセルに対応

  • ステージインキュベータを搭載、低光毒性・低退色でタイムラプス測定も安心
  • 毎秒20フレームの高速撮影*1
CQ1

高精細な画像とフローサイトメーターライクなインターフェース

  • 画像取得と同時に、定量・数値表示
  • 取得画像は共焦点顕微鏡画像としても使用可能
  • 高精細画像ならではの正確な測定値
  • グラフから画像に戻って確認、繰り返し測定可能

 

柔軟な仕様と外部連携

  • スタッカー、インキュベータなどの外部機器とロボット連係可能*2
  • かんたんな共焦点顕微鏡、測定器としてもシステム化可能
  • FCS/CSV/ICE形式出力でデータ解析ソフトと連係
  • 様々な培養容器に対応

 

小型・軽量、ベンチトップ、暗室不要

  CQ1 一般的な
蛍光観察装置
フローサイト
メーター
細胞剥離、懸濁処理 不要 必要 必要
画像による細胞の確認 可能 可能 不可能
測定と同時に定量・数値表示 可能 機種による 可能
再測定評価 可能 可能 不可能
3次元データ 可能 不可能 不可能
タイムラプス 可能 機種による 不可能

 

サンプル測定できます
お客様のサンプルでお試し解析ができます。サンプル送付、または弊社への持ち込みが可能です。
お気軽にお申し付けください。

*1 オプション
*2 詳細はお問い合わせください

多様な機能をコンパクトなボックスに一体化

扱いやすいサイズに多機能を凝縮、手軽に高精細な共焦点画像の取得・解析ができます。サンプルをセットして、ソフトウェアを操作するだけ、わかりやすいインターフェイスと便利な 機能で測定・解析をサポートします。

CQ1本体

マイクロレンズアレイ付きニポウディスク方式

多数のピンホールを等ピッチ螺旋配置した円板「ニポウディスク」と、個々のピンホールに励起レーザを集光する「マイクロレンズディスク」の2枚の円板を連動して高速回転し、観察領域を約1000本のレーザ ビームでマルチスキャンします。
マルチビームスキャンは、高速だけでなく、1ビームあたり非常に低いレーザ強度で高効率に蛍光色素を励起できるので、従来方式に比べ、顕著に光毒性、蛍光退色を抑えられます。

nipkowdisk

CQ1を核としたシステム構成例

CQ1を核としたシステム構成例

 

測定の流れ 

タイムラプス・ライブセル解析

長時間ライブ対応

温度制御・加湿に対応したアタッチメントにより、細胞の活性を維持します。
また、CO2・O2のガス制御にも対応しておりますので、様々な環境での測定が可能です。予め設定した時間間隔で自動測定(タイムラプス)ができます。
定期的に湿度保持用のバスに水を補給することで、長時間のタイムラプスが可能です。

ステージヒーター仕様
温度制御範囲 室温 + 5℃~室温 + 17℃、最大40℃
温度設定分解能 0.1℃
温度安定性 ±1℃以内
(37℃設定、室温23℃±2℃、96ウェルプレートの4隅と中央の5点で測定)
温度安定時間 1時間
加湿方式 強制加湿:自動給水機能はありません

 

マルチガス混合器仕様
制御範囲 CO2:大気濃度~7% O2:4%~大気濃度
濃度安定性 ±1%以内

Hela細胞増殖の撮像例
下記の条件にて6日間の長時間タイムラプス撮像を行うことができました。

  • 実験室の温度/湿度:22℃/32%
  • 使用プレート: 96ウェルガラスボトムマイクロプレート#655896、Greiner(中央付近のE7ウェル使用)
  • 72hの時点で湿度保持用のバスに水を補給

Hela細胞増殖の撮像例

 

高速タイムラプス機能

高速タイムラプス機能により、最大で毎秒20枚(20fps)の撮像を行えます。
iPSC由来心筋細胞拍動などの高速現象を捉えることができます。

iPSC由来心筋細胞におけるCa2+シグナルの撮像例

iPSC由来心筋細胞に おける、Ca2+シグナル波形

iPSC由来心筋細胞拍動

上:
iPSC由来心筋細胞におけるCa2+シグナルの撮像例
(対物レンズ:10x、励起波長:488nm、撮像速度:20fps)

左:
iPSC由来心筋細胞における、Ca2+シグナル波形
(各細胞におけるシグナルが個別に測定できています。)

※ 本機能は有償オプションです


画像解析:線認識処理

神経繊維や細胞骨格などの構造を“線”として認識し、解析できる機能です。
神経繊維の数や長さの測定に有用です。

PC12細胞における神経線維伸長の解析例
撮影画像解析結果

PC12細胞における神経線維伸長の解析例
左:撮影画像 右:解析結果

ハイコンテント解析ソフトウェア CellPathfinder

  • 豊富なプリセットメニューから、 解析メニューを選択可能
  • 算出された数値データを様々な形でグラフ表示可能
  • グラフと画像のリンクにも対応
  • タイル表示・解析機能に対応
  • 領域認識メソッドを追加


Cellpathfinder

【機械学習】
代表的な対象を手動で認識させ、それによりソフトが学習し、その後はソフトが自動解析


機械学習

【3D解析】
3D解析
 

【ラベルフリー解析】
明視野画像から、DPC画像*1を作成しラベルフリー解析が可能

ラベルフリー解析

*1 Digital phase contrast

製品仕様

設置例

設置例

 

項目 仕様
光学モード マイクロレンズ付き広視野ニポウディスク共焦点、位相差(オプション)
蛍光観察 レーザ:405/488/561/640nm から2~4 色選択
10穴フィルタホイール内蔵
搭載カメラ sCMOS 2560×2160 ピクセル、16.6×14.0mm
対物レンズ 最大6 本
(ドライ: 2x、4x、10x、20x、40x 長作動: 20x、40x
位相差: 10x、20x)
アタッチメント ライブ対応アタッチメント
培養容器 マイクロプレート(6、12、24、48、96、384、1536 ウェル)、スライドガラス、カバーガラスチャンバ、ディッシュ(35、60mm)
XYステージ ヒータ機能付き高精度XYステージ 設定分解能0.1µm
Z軸 電動Zモータ 設定分解能0.1µm
オートフォーカス レーザ方式、ソフトウェア方式
特徴量 細胞数、細胞内顆粒数、輝度、体積、表面積、面積、周長、直径、球形度、円形度、長さ、分岐数他
データ形式 画像:16bit TIFF ファイル(OME-TIFF)、表示画面をPNG 形式で出力
数値:FCS 形式、CSV 形式、ICE 形式
専用ワークステーション 測定・解析用ワークステーション、24 インチモニタ
マルチガス混合器 CO2濃度:大気濃度~7%、 O2濃度:4%~大気濃度
高速タイムラプス 最速20fps 有償オプション
サイズ・質量 本体:600×400×298mm 38kg
ユーティリティボックス:275×432×298mm 18kg
動作環境 15 - 30oC、20 - 70%RH 結露なきこと
消費電力 800VAmax(本体とユーティリティボックス合計)
700VAmax(ワークステーションとディスプレイ合計)

リースのご提案

ニーズに合わせたプランをご提案、お客様のご研究を強力に後押しします

お客様の課題

研究予算の抑制やオーバーで機材の調達ができず、思うような結果が出せない

  • 全体予算は確保しても、単年度予算では足りない
  • 予算の配分調整で減額となり、調達が難しい
  • 全ての機器が揃えられず、解析・評価業務などの効率があがらない
  • 新しい機能を使いたいたが、そのたびに調達することが難しい
  • 導入したが、操作が難しく使用できない
  • 故障したが、高額で修理できない

横河の課題解決ソリューション

リースなら調達用初期コストを削減、各種サポートを含むため、最新機種を安心してすぐにお使いいただけます

  • 少ない初期投資で、最新機種の導入が可能
  • リース満了ごとに更新することで、常に最新の器材をご利用可能
  • 最新のソフトウェアに無償でバージョンアップ
  • 保守サポート・解析サポート付きで、万が一の時にも安心

リース

価格・使用などの詳細については弊社窓口までお問い合わせください。

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ハイコンテント解析ソフトウェア

直感的で使いやすいインターフェースで、大量の画像データを多角的に解析・グラフ表示にまで導いてくれます。独自の機械学習機能は解析対象の認識力を格段に向上、3D培養系やライブセルイメージング等、より複雑で難易度の高い解析にも対応、HCAの強力なツールとなります。

ラベルフリー細胞解析ソフトウェア CellActivision

独自のディジタルフィルターにより、位相差画像で優れた細胞形態認識を実現しました。
また、ソフトウェアが自ら学習する「機械学習機能」を搭載したことで、ユーザーが登録した細胞画像から特徴量に基づき自動で細胞を分類します。

アプリケーションノート
概要:

はじめに

小核試験は化学物質の遺伝毒性を評価する目的で行われる試験の一つです。小核とは通常の核とは別に存在する小型の核で、DNAの切断や染色体分裂の異常等により、細胞分裂に際して一部の染色体が細胞質中に取り残されることで生じます。この試験では被験物質の投与によって細胞内に出現する小核を検出して小核出現率を測定しますが、CQ1では焦点面を変えながら共焦点画像を取得することで細胞質全体を隈なく観察して小核の有無を判定することができます。また、付属のソフトウェアで解析プロトコルを設定すれば、データ解析を自動化することができます。このアプリケーションノートでは、遺伝毒性を有し、小核試験で陽性対照としてよく用いられるMitomycin C (MMC) の作用を検討した結果を紹介します。上述のような小核出現機序から、小核試験においては試験に用いる細胞が細胞分裂していることが前提となります。本実験では、アクチン重合阻害剤のCytochalasin Dで細胞を処理し、細胞質分裂が阻害されて核分裂のみが進行して複数の核を持つようになった細胞と、一度も分裂していないと考えられる単核の細胞を区別しました。そして、遺伝毒性の評価に必要な2核以上の細胞における小核出現率の算出と、細胞毒性の評価に必要となる単核および2核以上の細胞数の計測を行いました。

図1 CQ1での小核の検出

図1 CQ1での小核の検出
(AとB) MMC処理なし(A)と3µg/mlのMMCで処理した細胞(B)の例
それぞれ細胞質 (CellMask Deep Red, 左)、核 (Hoechst33342, 中央)の染色像と、CQ1による認識画像(右)
CQ1で主核(青四角)、細胞(赤の輪郭)と小核(緑四角)が認識できている
ここではCytochalasin D処理によって多数発生した二核の細胞のみを認識させている
(C)主核と近接していて画像上で明確に分離していない小核 (左図の矢印)も検出できている(右図のオレンジの丸)
 

図2 小核出現率のMMC濃度依存性

図2 小核出現率のMMC濃度依存性
MMC 処理の後、Cytochalasin Dの存在下で一回以上分裂したと考えられる複数の核を持つ細胞での小核出現率


図3 核数別の細胞数の計測によるMMCの細胞毒性の評価

図3 核数別の細胞数の計測によるMMCの細胞毒性の評価
(A) CQ1で認識した単核~4核の細胞(緑の輪郭)と細胞核(赤四角)の例
(B) 単核~4核の細胞数  (C) 単核の細胞数に対する2核以上の細胞数の割合

実験手順

実験手順
  • CHO-K1(チャイニーズハムスター由来上皮細胞株)を96ウェルプレート (NUNC #165305) に3,000 cells/wellで播種し、一昼夜培養
  • MMCを添加し、24時間培養
  • Cytochalasin D 6µM にて24時間処理
  • ホルムアルデヒドで固定し、核をHoechst33342で、細胞膜をCellMask DeepRedにて染色
  • ​​​​​CQ1で撮影・解析(20X対物レンズ、Z間隔 1 µmで31枚)

結果と考察

まず、小核の検出については、細胞質中に独立して存在している小核はもちろん、主核と接していて画像上で明確に分離していないものも認識し、小核出現率の増加を正確かつ定量的に示すことが出来ました。小核試験では、使用している細胞が被験物質への曝露中または曝露後に細胞分裂したことを担保する必要があり、そのために今回はCytochalasin D処理により細胞質分裂を阻害する方法を用いました。この方法では、細胞分裂に際して核分裂のみが進行して複数の核を持つようになった細胞を検出するために、それぞれの細胞内に存在する主核の数を認識して細胞を区別する必要があります。単核および2核以上の細胞数の情報は、被験物質の遺伝毒性と、細胞毒性による副次的な効果の影響を区別するために必要となります。今回の結果でも、高濃度のMMCが小核生成を誘発するだけでなく細胞分裂をも阻害していることがわかります。以上のように、CQ1による共焦点撮像・画像解析機能を用いて、小核試験に必要なデータを得られることが示されました。CQ1ではユーザの必要に応じて個々の細胞の小核・主核の数の他、体積や長さといった様々なパラメータも柔軟に関連づけて解析できます。従ってCQ1は小核試験だけでなく細胞分裂機構の研究においても大いに活躍できると考えられます。

Mitomycin C (MMC)
DNAを切断する等の遺伝毒性があり、小核を出現させる。

Cytochalasin D
アクチン重合阻害剤。細胞質分裂を阻害するが核分裂を阻害しないため、一回以上分裂を行った細胞は多核になる。
 


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概要:

はじめに

細胞遊走は、様々な生理機能の発現や発生過程において広くみられる現象であり、骨粗しょう症、関節炎、先天性の脳や心臓異常などの各種疾患や癌転移と深く関連しています。また損傷した組織の回復や再生にも重要な性質です。細胞の遊走能を定量的に評価する手法には様々ありますが、スクラッチアッセイは、簡便で広く用いられている手法で、創傷治癒試験・細胞遊走能試験において用いられる基本的なアッセイです。ここでは、ライブセルイメージングに対応しているCQ1を用いて経時的に細胞数と細胞分布を計測・解析した結果を紹介します。

 

Figure 1. Time lapse images of monolayer cultures of HeLa cells transfected with Fucci. Figure 1. Time lapse images of monolayer cultures of HeLa cells transfected with Fucci.

図1 細胞周期の蛍光プローブFucciを導入したHeLa細胞の単層培養でのスクラッチアッセイのタイムラプス画像
(A) Mitomycin C (MMC) 処理なしのサンプル
(B) MMCで処理したサンプル
それぞれ上段は広視野イメージ、下段は認識された細胞を示す拡大画像(上段の白枠部分)。赤と緑のラベルはそれぞれG1期、S/G2/M期にある細胞を示す

 

Figure 2. Temporal change of the number of cells in the cell-free gap

図2 スクラッチ領域での細胞数の時間変化
左はMMC処理なし、右はMMCで処理したサンプル
図1に示したサンプルで、タイムラプス撮影した画像からスクラッチ領域内にある細胞数をカウントした。赤はG1期、緑はS/G2/M期にある細胞を示す

 

Figure 3. Scratch assay

図3 スクラッチアッセイ
コンフルエントな単層培養でウェルにひっかき傷をつけて細胞の無い領域をつくり、その領域が細胞の遊走や増殖により埋められていく様子を観察する

 

実験手順

24ウェルプレート(Greiner 24 well # 662160)に、細胞周期の進行をリアルタイムでモニタできる蛍光プローブFucciを導入したHeLa細胞を播種し、一昼夜培養
100%コンフルエントになった状態で、ピペットチップでウェルにひっかき傷をつけて溝を作成
1時間のMitomycin C(MMC)処理で細胞周期を停止
培地を交換し、CQ1にて3日間のタイムラプス撮影
撮影条件:対物レンズ 10×、レーザパワー 30%、露光時間 500ミリ秒、撮影間隔 1 時間

結果と考察

CQ1によるタイムラプス観察で細胞の無い領域が徐々に埋められていく様子が観察できました。MMCを添加していないウェルでは細胞周期が進行し、スクラッチ領域においてG1期にある細胞とS/G2/M期にある細胞の両方の増加が認められました。このことから、増殖と細胞遊走の両方によって空隙が埋まっていったと考えられます。一方、MMCを添加したウェルでも同様にスクラッチ領域において時間とともに細胞数の増加が認められましたが、細胞周期の進行は阻害されており、細胞のほとんどがS/G2/M期にある細胞でした。このことから、MMCで処理したサンプルでは、主として細胞遊走によって空隙が埋まっていったと考えられます。

 

*FUCCI
細胞周期の蛍光プローブ。導入した細胞はG1期には赤、S/G2/M期には緑の蛍光を発する。

*Mitomycin C (MMC)
DNAへの架橋形成、フリーラジカルによるDNA鎖切断を介してDNAの複製を阻害する。

 


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概要:

はじめに

化合物の細胞への影響評価において、「細胞数」は最も基本的かつ大切な測定指標のひとつですが、この細胞数に密接に関係している細胞周期パターンの変動や細胞死の発生程度さらには分子レベルの現象を解析することは、化合物の作用機序を理解するうえで有効な手段となります。特定の細胞周期ステージマーカーやアポトーシス発生過程で出現する分子を、それぞれ異なった蛍光色で標識し、CQ1のマルチカラー撮像機能で撮影と数値化を行うことで細胞数の変動に関与する要因の情報を同時に定量的かつ多元的に得ることができます。ここではガン化学療法剤VX-680(Tozasertib)を処理したHeLa細胞を例にマルチパラメーター解析の基本的な説明をいたします。

図1 VX-680の分子作用機序およびHeLa細胞に及ぼす影響

図1 VX-680の分子作用機序およびHeLa細胞に及ぼす影響
(a) VX-680の分子作用機序の概略
(b) 細胞数のVX-680に対する用量反応曲線。エラーバーは標準誤差(n=3)
(c) HeLa細胞のマルチカラー画像
上は薬剤非処理、下はVX-680添加の細胞検体
リン酸化ヒストンH3Ser10免疫蛍光染色(赤色)、活性型カスパーゼ3の免疫蛍光染色(緑色)およびDraq7核染色(青色、疑似カラー)

実験手順

96ウエルマイクロプレートにHeLa細胞をウエルあたり2 X 104ずつ播種した。
段階希釈したVX680を投与した(n=3、図2)。24時間作用させてからホルムアルデヒド溶液を加えて固定した。
リン酸化ヒストンH3Ser10(G2/M進行のマーカー)および活性型カスパーゼ3(アポトーシスのマーカー)を二重に蛍光免疫染色の後、Draq7で核染色を行った。CQ1で撮影を行った。
対物レンズは4倍、蛍光励起用レーザーは488/561/640 nmを用いた。
取得した画像をCQ1で解析した。数値化されたデータはFCS Express™ 5 Image Cytometry, (De Novo Software、オプション)と統計ソフトウエアを使ってさらに解析を行った。

図2 VX-680用量反応計測実験用のプレート配置

 

図2 VX-680用量反応計測実験用のプレート配置

結果と考察

VX-680の濃度勾配で処理したHeLa細胞の細胞数の変化に関し、CQ1を使ってマルチパラメーター解析を行いました。
細胞周期ヒストグラムより4N細胞の蓄積が認められ、G2/M期での細胞周期停止が発生していることが示されました(図3a上段およびc)。
リン酸化ヒストンH3Ser10の免疫染色強度を表すスキャッターグラムのデータより低濃度の薬剤処理においても染色強度の低下が起こっており、オーロラキナーゼの阻害活性が認められました(図3a中段およびb)。
活性型カスパーゼ3の免疫染色強度を示す濃度プロットよりアポトーシス発生量が薬剤濃度とともに上昇していることが認められました(図3a下段およびd)。
これら3つのパラメーター解析を相互に比較すると、リン酸H3Ser10の免疫染色強度の低下が低濃度の薬剤濃度ですでに開始していることから、VX-680によるオーロラキナーゼの活性阻害が初期現象として起こり細胞周期進行の抑制につながっていることが推察されます。さらに、アポトーシスが発生し最終的に細胞死に至ります。これらの連鎖的に発生する現象が細胞数の減少が発生に関する作用機序であることを示す結果が得られました。

図3 VX-680で処理したHeLa細胞の3種類のパラメーターによる解析

図3 VX-680で処理したHeLa細胞の3種類のパラメーターによる解析
(a) CQ1より出力した解析結果の数値データをさらに3種類のパラメーターで詳細に解析
DNA含量による細胞周期(上)、細胞周期とリン酸化ヒストンH3Ser10免疫染色強度(中)、細胞周期と活性型カスパーゼ3免疫染色強度(下)
(b-d) 用量反応曲線のグラフ; G2/Mゲート内のリン酸化ヒストンH3Ser10 (b)、核あたりのDNA含量の平均(c)、細胞群全体の活性型カスパーゼ3の発生量(d)
エラーバーは標準誤差(n=3)



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アプリケーションノート
概要:

はじめに

オートファジーは細胞内の不要なタンパク質や細胞小器官を分解し、再利用または代謝するためのシステムです。細胞がある生理条件下に置かれると不要物を覆う隔離膜が出現し、オートファゴソームを形成します。オートファゴソームはリソソームと融合し(オートリソソームの形成)、リソソームからの酸性加水分解酵素により不要物が分解されます。オートファジーは癌やアルツハイマー、パーキンソン病等の神経変性疾患との関わりや、老化等において生理機能を持つことが明らかになり、注目を集めています。
このアプリケーションノートでは生細胞膜を透過し、オートファゴソーム形成時に不要物とともに取り込まれ、リソソームと融合した後に酸性環境となったオートリソソーム内で蛍光が増大するDALGreen-Autophagy Detection (株式会社 同仁化学研究所)*を用いて、CQ1でタイムラプス撮像、ハイコンテント解析ソフトウェアCellPathfinderで解析を行った実験例をご紹介します。

実験手順

  1. HeLa細胞を96ウェルプレート(Greiner #655087)に播種し、一昼夜培養
  2. DALGreen – Autophagy Detectionを製品付属のプロトコールに従い添加、30分間処理
  3. 培地にて洗浄し、通常培地、オートファジー誘導培地(アミノ酸不含)、オートファジー阻害培地(誘導培地にBafilomycin終濃度100nM添加)に置換後、CQ1で撮像
    撮像条件は、20倍対物レンズ、蛍光 - DALGreen(Ex:405nm/Em:500-550nm) と明視野、各ウェル4視野、Zスライス6枚、30分ごとに6時間のタイムラプス撮像
  4. CellPathfinderにて明視野画像からDPC画像*を作成し、細胞をカウント、蛍光画像からオートファジーの顆粒を認識

Autophagy detection

図1 オートファジー検出
コントロール(A)とオートファジー誘導(B)、オートファジー阻害(C)の培地置換後6時間での蛍光画像
(D)(E)(F)はそれぞれ(A)(B)(C)のDPC画像(スケールバーは100 µm)
(G)は(B)の一部拡大、各タイムポイントごとの画像
左から培地置換直後、3時間、6時間後(スケールバーは50µm)
オートファジー誘導のタイムラプス動画 : Play


Autophagy analysis result

図2 オートファジーの解析結果
(A)コントロールと(B)オートファジー誘導、(C)オートファジー阻害の解析前画像(培地置換6時間後)
(D)(E)(F)はそれぞれ(A)(B)(C)の解析後の画像、水色は認識した細胞の中心部分を示した点、赤はオートファジーの顆粒の認識領域
(G)(H)は細胞一個当たりに存在する顆粒の数と平均面積の時間変化(単位:µm2) 。エラーバーは標準誤差(n=3)
(青:コントロール、赤:オートファジー誘導、緑:オートファジー阻害)
オートファジーを誘導したサンプルでのみ時間とともに顆粒数および顆粒の面積が増加していることが認められた

結果と考察

CQ1とDALGreen-Autophagy detectionを使用することで、生細胞を用いてオートファジーの検出が簡便に実施可能であることが示されました。アミノ酸不含の培地ではオートファジーが誘導され、Bafilomycinを加えることによりオートファジーの阻害が起こることが認められました。CQ1はステージヒーターにより温度と湿度を、ガス混合器との組み合わせによりCO2、O2濃度を制御できるため、培養環境を維持したままオートファジー顆粒の継時変化を捉えることができます。解析ソフトウェアCellPathfinderでは、細かい顆粒も高い定量性と再現性で自動で解析することができるほか、明視野画像からDPC画像を作成することで、非染色で細胞を認識できるラベルフリー解析が可能です。

*1 参考文献: Iwashita et al., Small fluorescent molecules for monitoring autophagic flux, FEBS Lett,2018,592(4),559.

*2 CE Bright Field images
Contrast-enhanced Bright Field (CE Bright Field) Digital Phase Contrast。明視野画像から画像処理によって細胞の肥厚部分を強調した画像(Fluorタイプ)、細胞の輪郭や細部を強調した画像(Phaseタイプ)を作成する。非染色での細胞認識に適している。

CE Bright Field images


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アプリケーションノート
概要:

はじめに

近年、様々な形態の高密度細胞培養の手法が提案されています。スフェロイド、繊維スキャフォールド、細胞外マトリクスといった細胞培養手法や素材は、細胞にとっての自然な生存環境を創り、化合物アッセイにおいて生体内での組織本来の状態に近い反応が得られることが期待されています。
単層培養での利用を前提につくられた一般的なホモジニアス・アッセイの手法は、これら高密度培養のアッセイにも、大きな改変を加えることなく利用することができます。しかし顕微鏡画像ベースのアッセイプロトコルにおいては、従来の解析手法を高密度培養のアッセイに転用することに大きな障害が発生します。一般の顕微鏡機能を組込んだ研究用機器においては、その被写界深度の狭さなどから厚く積み重なった細胞層全体の光情報を捉えきることが出来ません。さらにまた、単層培養検体への使用に最適化して開発された画像解析ソフトウエアは細胞個々を選択抽出し定量計測することに困難があります。

ヒト肝由来腫瘍細胞株HepG2を高密度に培養した検体を使った計測データをもとに、次のことを説明いたします。

  • CQ1が高精細な三次元的な細胞の画像を取得できること
  • CQ1を使って化合物に対する反応を一細胞単位で解析できること

ここに記述した化解析手順は、三次元培養を含む、様々な高密度の培養に応用できる可能性があります。

HepG2高密度培養の画像と細胞核の輪郭認識

図1 HepG2高密度培養の画像と細胞核の輪郭認識
薬剤非処理(a)およびスタウロスポリン処理(10-7M、48時間処理)(c)の細胞画像
細胞個々の認識をCQ1ソフトウエアに搭載されているスフェロイド解析アルゴリズムを用いた個々の細胞核の認識(b, d)
20倍対物レンズ使用

実験手順

  1. ガラス底96ウエルマイクロプレートを細胞外マトリクス(マトリゲル、培地にて5倍希釈)で表面をコート
  2. HepG2細胞をコーティングしたプレートに5X104細胞/ウエルの密度で播種、48時間培養を行い、細胞が過密な状態を作成
  3. 薬剤処理区のウエルにスタウロスポリンを添加し、さらに48時間培養
  4. ホルムアルデヒド溶液で細胞を固定し、抗活性型カスパーゼと抗H3Ser10P抗体でマーカーを標識
    一次抗体はそれぞれ蛍光標識二次抗体で可視化、細胞核はRNaseA存在下でDraq7で蛍光染色
  5. CQ1で細胞画像の取得・解析、統計解析とグラフ化はFCS Express™ 5 Image Cytometry (De Novo Software、オプション)を使用

結果と考察

極度な高密度状態にしたHepG2細胞培養を作成しました。CQ1を用いて細胞単位の解析を行い、また肝毒性作用のある化合物であるスタウロスポリンに対する反応を評価しました。
凝集した細胞層の形成を促すため、培養プレートに細胞外マトリックスのコーティングを施しました。予備検討の結果では、細胞外マトリックスコーティング上で培養したHepG2細胞はコーティングを施していない通常のプラスチック底プレートで培養したものよりも約10倍、スタウロスポリンの毒性に対し高い感度を示しました(データ非掲載)。
蛍光標識した厚みのある細胞層の画像を三次元的に取得しました。2種類の分子マーカー、H3Ser10P(細胞増殖)と活性型カスパーゼ3(アポトーシス)、を蛍光免疫染色法で標識しました(図2)。
個々の細胞核を認識することで、スタウロスポリンに対する反応を細胞単位で計測いたしました。増殖と死滅の方向性の差を定量的に評価するための情報を得ることが出来ました(図3)。
CQ1を使用することで、積み重なったHepG2細胞のような高密度の細胞サンプルに対して複数マーカーの同時解析を行い細胞単位のアッセイが行えることが示されました。

HepG2細胞の三次元画像再構成

図2 HepG2細胞の三次元画像再構成
50µmの厚さにわたってZ軸方向に沿って21枚の多色画像を取得し、三次元画像を再構成した
薬剤非処理(a)あるいはスタウロスポリン(10-7 M 48時間)処理(b)した細胞は活性型カスパーゼ(緑色)とH3Ser10P(赤紫色)の細胞マーカーを蛍光免疫染色、細胞核はDraq7で蛍光染色
20倍対物レンズ 使用

2つの細胞マーカーのマルチパラメーター解析

図3 2つの細胞マーカーのマルチパラメーター解析
薬剤非処理(a)あるいはスタウロスポリン(10-7 M 48時間)処理(b)した細胞の画像解析データをCQ1から出力し、FCS Express™ 5 Image Cytometerを用いて散布図解析
細胞の生死の割合を推定することができる
各散布図には1 X 104個の計測データをプロットした


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アプリケーションノート
概要:

はじめに

血管新生とは、既存の血管から枝分かれして新しい血管ネットワークが生じる現象です。生体にとってなくてはならない生理的な現象ですが、同時に様々な疾患と密接に関係しています。例えば、がん細胞は自ら血管新生を誘導することで栄養分の補給路を確保して大きくなることが知られており、その調節因子や機構についての研究が熱心に行われてきました。
実験動物を用いた血管新生測定は古くから行われていますが、定量性・再現性に乏しく、また薬剤探索のスクリーニングに用いるにはスループットの面で課題がありました。培養細胞によるアッセイは実験が容易であるだけでなく、共焦点定量イメージサイトメーターCQ1を使用することで、撮影 から解析まで自動化することが可能となり、スループットよく定量性のあるデータを取得することができます。本アプリケーションノートでは、マトリゲル上で血管内皮細胞に血管構造を形成させ、CQ1を用いて血管の長さや分岐数等の特徴量を測定・解析した結果を紹介します。

血管内皮細胞画像とその解析結果

図1 血管構造を形成した血管内皮細胞の画像とその解析結果
(A)マトリゲル上で血管構造を形成した血管内皮細胞のwell全体の画像
(B)(A)の画像解析結果。4視野にてwell全体を撮影し、タイル機能で1枚の画像に再構成
(C)、(D)は(A)、(B)それぞれの一部拡大画像(白枠部分)

実験手順

  1. ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を1% FBS添加培地にて一昼夜培養し、血清飢餓処理
  2. マトリゲルコートを施した96well plateに10,000cells/wellで播種
  3. 4時間後、HUVECが血管構造を形成したことを確認し、Suramin(0~50µM) およびCellTracker Red 5µMを添加し、37℃にて1時間反応
  4. 4倍対物レンズ・561nm蛍光励起でZ方向に12枚(764µm)撮像、撮像画像からMIP画像を作成
  5. タイル機能により4視野分の画像をつなぎあわせ、well全体を1枚の画像として再構成
  6. CQ1ソフトウェアの血管新生用解析プロトコルにて解析を行い、線状 オブジェクトの長さ、分岐ポイント数、枝数についてグラフ化
Length of line objects

 

血管新生に対するSuraminの作用

図2 血管新生に対するSuraminの作用
Suraminは血管新生を用量依存的に阻害することが知られている化合物である
(A)はコントロールとしてSuraminを添加していないwell、(B)はSuramin50µMを添加したwellの画像
(A)では網目状の血管構造がwell全体に形成されているが、(B)ではSuraminの作用により崩壊している

Suraminに対する用量応答曲線

図3 Suraminに対する用量応答曲線
CQ1ソフトウェアの解析メソッドの1つであるスケルトン処理を用いて解析を行い、線状オブジェクトの長さ(左)、分岐ポイント数(中央)、枝数(右)について1wellごとの総和をグラフ化
いずれもSuramin濃度依存的に減少していることが認められる

結果と考察

血管内皮細胞の血管構造形成に対するSuraminの影響を数値化することができました。CQ1を使用することで、撮影から解析まで自動化できるため、スループットよく定量性のあるデータを提供することが可能です。
マトリゲルのように表面の高さが不均一なサンプルであっても、Z方向に複数枚撮影することで細胞の 撮り逃しがありません。CQ1は細胞に優しい低退色・低光毒性のため、同一視野で複数回撮影しても サンプルへの影響を最小限に抑えられます。
4倍対物レンズ使用時には、4視野で96well plateの1well全体をカバーでき、タイル機能によって1枚の 画像に再構 成してから解析することが可能です。視野ごとに途切れることなく解析できるため、血管構造の総長に対する過小評価や枝数の過大評価を避け、より実態に近い結果を得ることができます。
CQ1は培養環境を保持したまま測定できるため、血管新生の経時変化を測定することも可能です。

 


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概要:

はじめに

細胞にはDNAが損傷を受けた場合にそれを修復する機構が備わっています。DNAの損傷部位には、DNA修復にかかわる蛋白質による複合体が形成されます。この複合体に含まれる蛋白質を蛍光抗体などで標識することでDNA修復プロセスを可視化できる他、様々な刺激によるDNA損傷の程度を評価する指標ともなり、細胞周期やDNA修復の基礎研究、抗がん剤研究、放射線の生物影響、タバコ成分などの環境物質の遺伝毒性モニターといった分野での基本的な研究手法となっています。このアプリケーションノートでは、DNAの二本鎖の切断部位に局在するγH2AX(リン酸化ヒストンH2AX)を免疫染色し、CQ1を用いて観察・解析した結果を紹介します。γH2AXの集合は、免疫蛍光染色によって可視化すると核内の顆粒として検出できます。顆粒の数や蛍光量を定量的に解析するには、焦点面に存在している顆粒のみをクリアに検出でき、焦点から外れた顆粒からの蛍光は排除できる共焦点顕微鏡が適しています。本実験では過酸化水素(H2O2)投与によってDNAに与えた損傷と、DNA修復機構の阻害剤 Wortmanninの効果を定量的に評価することを試みました。

図1 共焦点画像でのγH2AX 顆粒の検出

図1 共焦点画像でのγH2AX 顆粒の検出
(A) 過酸化水素を添加したサンプル
  右は左の広視野画像内に矢印で示した細胞の拡大
      核(Hoechst33342)とγH2AX顆粒(Alexa Fluor 488)が染色されている
(B) 過酸化水素なしのサンプル
(C) Wortmannin 処理後に過酸化水素処理したサンプル

図2 過酸化水素によるγH2AX顆粒生成とWortmanninによる顆粒形成阻害
図2 過酸化水素によるγH2AX顆粒生成とWortmanninによる顆粒形成阻害
CQ1ソフトウェアのテンプレートに含まれる「顆粒解析」を使用して、各ウェル(条件ごとにn= 5ウェル)でγH2AX顆粒の一細胞あたり平均数、顆粒の平均サイズおよび一細胞あたりの総蛍光量を算出
いずれも過酸化水素によって増加し、Wortmanninによって濃度依存的に減少していることが認められる
エラーバーは標準誤差

 

実験手順

  • HeLa細胞を96ウェルプレート(Greiner#655896)に10,000 cells/wellで播種し、一昼夜培養
  • Wortmanninを添加(最終濃度: 0~25 μM、10分、室温)
  • 過酸化水素を添加(最終濃度: 1 mM、45分、37℃)
  • ホルムアルデヒドで固定
  • 核をHoechst33342で染色し、γH2AXをウサギ抗γH2AX抗体(Enzo, No. ADI-905-771-100)とAlexa Fluor 488 標識二次抗体を用いて染色
  • CQ1で40倍対物レンズを用いて1 ウェルあたり25視野の画像を取得し、顆粒を検出

 

結果と考察

CQ1で撮影した共焦点画像の解析から、過酸化水素の添加によってγH2AXの顆粒の数、サイズ、総蛍光量ともに増加することが確認されました。また、過酸化水素によって増加したこれらのパラメータは、いずれもDNA修復機構を阻害するWortmanninによって濃度依存的に減少しました。DNA二本鎖が切断されると、その部位にDNA修復に関与する様々な蛋白質が集合してきます。この過程で、蛋白質リン酸化酵素によるH2AXのリン酸化が損傷部位周辺に広がっていくと考えられていますが、このようなγH2AX顆粒の生成機序と今回の実験結果はよく一致すると考えられます。
以上のように、CQ1を用いてγH2AX顆粒を検出し、定量的に解析することができました。

*γH2AX
DNAの高次の折り畳み構造のコアとなるヒストンタンパク群の一員のH2AXがリン酸基修飾を受けたもの。DNAの二重らせん構造の切断部位でのDNA修復反応に関与する。

 


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アプリケーションノート
概要:

はじめに

単層培養で動物細胞が増殖する過程において、細胞周期の進行に伴い細胞核の形態と高さ方向のポジションはダイナミックに変動を繰り返し、M期においてこの現象は顕著になります。
共焦点顕微鏡の光学系は焦点深度を限定することで細胞の微細な構造をシャープに撮影することに優れています。しかし、そのトレード・オフとして焦点深度範囲から外れた高さ方向の情報を排除してしまうという性質があり、高さ方向の幅が大きい細胞検体から高精細画像を取得しなおかつ定量情報も欲しいという、相反する要求を両立させることが難しい側面があります。
 CQ1にはZ軸方向に対物レンズを精確に移動させながら共焦点画像の連続撮像を行いかつ定量解析する機能を備えており、ヘテロな細胞周期ステージが混在する細胞層全体の定量情報を取得することが出来ます。しかも解析の基となった高精細な共焦点画像のファイルを利用することで細胞分裂に関与する分子の微細な構造の観察と解析を並行して行うことが出来ます(図1)。細胞集団レベルの統計解析と細胞個々の形態情報の観察・計測をシームレスに行える特性を備えたCQ1は、細胞周期に関わるメカニズムの解明と薬剤の探索に強力なツールとなります。

CQ1の画像取得の特長

図1 A)単層培養での細胞周期進行に伴う細胞核の形態および高さ方向の位置の変動と共焦点光学系の撮像範囲
    B)Z方向連続撮影像の模式図

基本例

Z軸方向に連続撮影した画像情報をCQ1ソフトウエアのSUM機能で合成したうえで細胞周期解析を行い、特定の細胞周期ステージにある細胞核を選択(図2)さらに選択した細胞核の詳細な観察を行いました(図3)。SUM機能はZ軸方向の輝度値を合計する画像処理方法で細胞全体の定量情報の解析に優れ、MIP機能は重ね合わせるイメージ間の最大輝度値を選択してZ軸方向に画像合成する手法で細胞の微細な形態の観察と解析に優れています。

A549細胞の細胞周期3D解析

図2 3D機能を利用したA549細胞の細胞周期解析
20X対物レンズを用い、X軸およびY軸方向に加えZ軸方向(11枚)の連続撮影を行った画像ファイルを取得し定量解析
96ウエルガラスボトムマイクロプレート内で培養した細胞をDraq7核染色(グレー)およびαチューブリン免疫蛍光染色(赤色)で可視化
1ウエルあたり6フィールド、約3X103個の細胞を撮影
A) Z軸方向連続撮影像から合成したSUM画像
B) 細胞核の蛍光量と凝集度で二次元展開した散布図
  凝集度の高いM期細胞を選択(グレー表示)
C) 選択されたM期細胞核(緑色表示)

Figure 3. Three display styles of Z-stack images. Enlarged Z-stack images shown in Fig 2.

図3 図2において選択したM期細胞を含む画像の部分拡大
CQ1ソフトウエアに搭載されているSUM機能およびMIP機能による表示、および3D画像の再構成を行った。M期進行の主要なイベントである紡錘糸形成の状態が観察される

M期阻害剤の影響

M期の進行を支配する細胞内分子群はガン化学療法剤のターゲットとして重要視されています。
ZM447439はオーロラキナーゼに対する阻害活性示すことで知られ、この化合物を投与された細胞は、M期における正常な細胞核分裂を完了出来ないだけでなく、そのままDNA複製を繰り返すため、核あたりのDNA量が倍加する現象を呈します。ZM447439で処理された細胞をCQ1で定量解析したところ、4Nで停止した細胞の集積に加えて、8Nの細胞核の存在がヒストグラムから確認されました。これらの細胞核では染色体の凝集が明瞭ではなくまた紡錘糸の形成も認められず、薬剤によるM期進行の分子メカニズムの阻害が発生していることが写真画像からも推察されます(図4)

Polyploidy analysis

図4 A)ZM447439を投与されたA549細胞の細胞周期ヒストグラムの変化
     薬剤投与以外は図2の実験条件に同じ
  B)解析に使用した細胞画像の一部とヒストグラムから倍数体を選択する手順の説明


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