横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

光ファイバ温度センサ - 火災検知/火災予防 -

広範囲の一括温度監視を実現、光ファイバ温度センサ DTSX

DTSX は光ファイバセンサケーブルを用い、長手方向に最大 50 km の温度分布をリアルタイムに抜け目なく監視することができます。従来の熱電対、測温抵抗体や放射温度計では難しかった広範囲の火災検知、火災予防あるいは設備の予防保全を実現します。プラントや社会インフラの HSE(Health、Safety and Environment)+保全を支え、安全操業や運用に貢献します。

広範囲温度監視/安全操業

 

  • 監視距離: ~ 50 km
  • 監視温度: -200 ~ 300 °C
  • 最短監視周期: 約 5 秒
  • 温度分解能: 0.03 °C
  • 火災検知規格(EN 54-22)認証取得(DTSX1)

*: 各仕様は条件に依存

 

火災事故や設備異常によるはかり知れない経済的、社会的損失を最小限に抑えます

大規模火災や機器故障による生産ライン停止など起こると、お客様の資産や機会損失だけに留まらず、サプライチェーンにも影響が及びます。その際の経済的、社会的損失ははかり知れません。DTSX は光ファイバセンサケーブルを測定対象に沿って敷設することで、異常熱の箇所をピンポイントで特定できます。それによって迅速な初動が可能となり、プラントや社会インフラの操業維持と共に、お客様の資産と社会的信用を守ります。
例えば、次のアプリケーションがあります。

  • 火災検知: 車載用リチウムイオン電池エージング棚のスマート監視
    エージング工程の大量のリチウムイオン電池に、熱暴走が発生した場合の早期発見は可能でしょうか?
    発見が遅れ被害が拡大することで、自動車産業のサプライチェーンに与える影響は甚大となります。線形熱感知器 DTSX の活用により、ポイント型センサでは困難であった早期発見の実現だけでなく、工期の長期化、初期および維持管理費増などの課題を解決し、予期せぬ操業停止の回避、安定操業の確保に貢献します。
火災検知: 車載用リチウムイオン電池エージング棚のスマート監視
  • 設備保全: ベルトコンベアローラ異常検知
    広大な鉱山プラントの長距離ベルトコンベアのローラ故障による火災発生は予期せぬ操業停止の大きなリスクです。例えば、大規模鉱山ではたった一時間の操業停止でもその生産ロスは約5千万円にもなります。光ファイバ温度センサ DTSX 活用で、人的点検やポイント型センサでは困難であったコンベア全ローラの常時リモート監視の実現により、予期せぬ操業停止の回避、安定操業の確保に貢献します。
    その他のアプリケーションは下表を参照ください。
鉱山コンベア

 

アプリケーションのマトリックス表

カテゴリ

アプリケーション 業種







/
IPP




/



/



/






/







火災検知/
火災予防
*1                         *2
コンベア   *3 *3,4 *4              
ケーブル
ダクト *5   *6               *7 *5    
トンネル/
洞道
                   
設備保全 バスバー              
コンベアローラ                
高炉/
熱風炉/
焼却炉
                   
パイプライン/
配管
      *8   *9 *8              
品質/
生産性向上
乾燥炉/
熱処理炉/
オーブン
*10                 *11 *12 *12    
電力線
(VSD*13
                         

IPP: Independent Power Producer (独立系発電事業者)

*1: エージング棚
*2: 自動倉庫棚
*3: 石炭コンベア
*4: チップ、バイオマスコンベア
*5: 金属加工集塵ダクト
*6: ヒュームダクト
*7: 半導体清掃装置ガス排気ダクト

*8: LNGパイプライン
*9: 塩素配管、アンモニアパイプライン、エチレンパイプライン
*10: 電極塗工乾燥炉
*11: 製菓オーブン
*12: 部品熱処理炉
*13: Variable Speed Drive

 

CAPEXとOPEXに優れたソリューション

光ファイバケーブルが温度センサとなるため、現場にはそのケーブルを敷設するだけで電源などの供給、工事は不要です。光ファイバセンサケーブルに機械的要素はないため故障することもありません。広範囲の温度監視する場合、他の温度センサに比べてCAPEX(導入費用)とOPEX(運用費)を抑えて防災、保全コストを最適化します。

  • 線形熱感知器 DTSX1

    DTSX1 は、熱検知に必要な機能を 1ボックスに収納した熱感知器です。光ファイバケーブルで測定して温度データを高精度に解析し、高温の熱検出を行います。

    さらに見る
  • 光ファイバ温度センサ DTSX3000

    DTSX3000 は、「 1台で、もっと長距離で、もっと広範囲に渡っての温度分布監視がしたい」というご要望に応えて開発した光ファイバ温度センサです。長距離温度測定と、高い温度分解能に対応できる機能を備えたフラグシップモデルです。

    さらに見る
  • 光ファイバ温度センサ DTSX200

    DTSX200 は、温度測定対象や領域が小中規模で、光ファイバケーブルが短距離の場合に最適な、普及版機種です。低消費電力であることと、温度測定環境に左右されることが少ないため耐環境性に優れています。

    さらに見る

詳細

光ファイバ中の散乱現象

光ファイバ中の散乱現象

  • 光パルスはセンサ用光ファイバ中を進むと、それに伴い各位置で散乱光が発生します。
  • 散乱光の一部は後方散乱光として光パルスの進行方向とは逆方向に戻り、時系列信号として受信されます。
  • 当社の光ファイバ温度センサは、次の散乱光の中で特に温度感受性の高いラマン散乱光を利用して温度分布を測定します。
散乱光の種類 特徴 応用分野
レイリー散乱
(Rayleigh)
●媒質内の密度揺らぎにより発生
●入射光と同じ周波数成分
●損失分布(OTDR)
ラマン散乱
(Raman)
●媒質内の分子振動との相互作用により発生
●主にアンチストークス光の強度が温度に依存
●温度分布(DTS)
ブリルアン散乱
(Brillouin)
●媒質内の音波との相互作用により発生
●周波数が歪みと温度に依存
●歪み分布(DSS)
●温度分布

OTDR:Optical Time Domain Reflectometer
DTS:Distributed Temperature Sensor
DSS:Distributed Strain Sensor

 

測定原理

ラマン散乱光
  • ラマン散乱光はストークス光/アンチストークス光の両方に発生しますが、アンチストークス光の方が温度感受性は高く、両者の強度比から温度が求められます。
ラマン散乱光強度の時系列分布
  • 光ファイバの温度が高いときはアンチストークス光の強度は増大し、低いときには減少します。
強度比(Ias/Ist)を温度に変換
  • 光ラマン散乱光(ストークス光/アンチストークス)強度は温度に変換されます。
  • 光パルスを発光し、ラマン散乱光を受信するまでの往復時間から距離情報に変換することが出来ます。

片方向測定(シングルエンド)方式

片方向測定(シングルエンド)方式

  • 光パルスをセンサ用光ファイバの片端からのみ入射する方式で、測定対象が長距離の場合に有効な測定方式です。
  • ただし、双方向測定方式のようにセンサ用光ファイバの損失変化による測定温度への影響を補正することは不可能なため、高確度な温度測定が要求されるような用途には不向きです。
  • 外力や温度変動に起因する損失変動が比較的少ない火災検知や電力ケーブル監視等において有効な測定方式です。

 

双方向測定(ダブルエンド)方式

双方向測定(ダブルエンド)方式

  • ループ状に敷設されたセンサ用光ファイバの両端から光パルスを入射する方式です。
  • 測定可能な距離は片方向測定に比べて半減しますが、接続部や外力を受けて生じるセンサ用光ファイバの損失変化による測定温度への影響が相殺されるため、高精度な測定を実現します。
  • さらに弊社の双方向測定方式では、センサ用光ファイバの一部に温度同一区間を設けることで、ダークニング(腐食性ガス等によるセンサ用光ファイバの損失変化)や接続部分の損失変動による測定温度への影響を大幅に低減しています。
  • 高温測定や信頼性・安定性が必要なケースには双方向測定方式を推奨します。

 

測定方式の比較

測定方式 メリット デメリット
片方向測定方式 ●センサ用光ファイバの敷設が、双方向測定に比べて容易
●光スイッチが不要
●光ファイバが断線しても断線位置までは継続して測定可能
●位置による損失の変動は補正不能
●温度校正方法が双方向測定より複雑
双方向測定方式 ●光ファイバに沿った損失分布を自動的に相殺
●弊社方式ではダークニング等の影響を低減
●光ファイバが断線した場合、片方向測定に自動切替
●センサ用光ファイバをループ状に敷設する必要がある
●光スイッチが必要
●実質的な測定可能距離は片方向測定方式の半分

温度センサの種類と特長

種類 特徴
光ファイバ温度センサ 光ファイバを温度センサとして使用するため、長距離・広範囲の温度監視に適しています。光ファイバに沿ってサンプリング間隔毎に具体的な場所の特定と、その場所の温度を監視することが可能です。
サーモカメラ 対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出して、温度測定・計測を行なう装置です。非接触で、幅広いエリアの温度分布を測定できるため、工業炉や回転体等の温度監視に適しています。
測温抵抗体 金属の電気抵抗が温度にほぼ比例して変化することを利用した温度センサです。精度の良い温度測定が可能なため、工業用精密温度測定に適しています。
熱電対 2種類の異なる金属を接続して、両方の接点間にその温度差により生じる起電力を利用した温度センサです。安価で広い範囲の温度測定が可能なため工業用温度センサとして広く使われています。
放射温度計 物質から放射される赤外線の強度を測定して温度を測定する温度計です。非接触式温度計であること、遠隔測定が可能であることから、超高温域の温度測定に適しています。

 

比較事例:ケーブル温度モニタリングの場合

  光ファイバ温度センサ
光ファイバ温度センサ
サーモカメラ
サーモカメラ
ポイントセンサ(熱電対)
ポイントセンサ(熱電対)
概要 光ファイバセンサによる
広範囲モニタリング
サーモカメラによる
表面温度モニタリング
ポイントセンサによる
多点モニタリング
検出方法 接触 非接触 接触
モニタリング温度範囲 -200~300°C
(センサケーブルによる)
常温~2000°C
(レンジ切り替え要)
-200~1000°C
(K熱電対)
エリア 超広範囲
DTSX200:~6km/ch
DTSX3000:~50km/ch
狭い
視野角20°
広範囲
メリット 超広範囲、ブランクエリアなし 小エリア検出 小エリア検出
デメリット 小エリアへの制約 ブランクエリアあり ブランクエリアあり
補償導線敷設、メンテ

光ファイバ温度センサの性能を表す代表的なパラメータとして、空間分解能と温度分解能があります。両者は一般的にトレードオフの関係にありますが、弊社では信号処理技術によって高性能を実現しています。

 

空間分解能

空間分解能

  • 空間分解能は温度変化を捉える最小長になります。(「応答距離」と呼称されることもあります。)
  • 空間分解能の定義は、センサ用光ファイバの10~90%の温度変化を識別したときの長さになります。
  • サンプリング分解能は測定データの間隔であり、空間分解能の定義とは異なります。

 

温度分解能

  • 温度分解能は、均一温度環境(恒温槽)下における一定長のセンサ用光ファイバ長手方向の測定値の標準偏差(1σ)で定義されます。
  • 温度分解能は測定ばらつきの指標であり、温度確度とは異なります。(基準温度計を用いて校正することにより高い温度確度で測定が可能となります。)
  • 後方ラマン散乱光は非常に微弱な信号であり、光ファイバ温度センサは測定を繰り返して平均化処理することにより温度分解能が向上します。

DTSX200温度分解能
測定結果の例(DTSX200)

光ファイバセンサケーブルには、用途により最適な種類を選択できます。

  ; ケーブル構造 温度範囲の例 アプリケーションの例
金属保護管
(SUS、インコロイ等)
金属保護管 低温(-200°C~)
常温(-20~+70°C)
高温(~+300°C)
高温鉄皮温度監視
LNG設備温度監視
ケーブルラック温度監視
ベルトコンベア火災監視
石油&ガス井温度監視
金属保護管+樹脂被覆 金属保護管+樹脂被膜 -20~+70°C ケーブルラック温度監視
ベルトコンベア火災監視
トンネル温度監視
フレキメタリック フレキメタリック -20~+70°C ケーブルラック温度監視
ベルトコンベア火災監視
室内温度監視
ノンメタリック
(難燃ポリエチレン)
ノンメタリック -20~+70°C ケーブルラック温度監視
ベルトコンベア火災監視
室内温度監視

 

金属保護管

  • 金属管の中に光ファイバが入っているタイプで、最も適用温度範囲が広いです。
  • フレキメタリック、ノンメタリックと比べると強度が高いです。
  • 使用する環境により金属の種類を選択します。
  • 他のケーブルより高額になります。

金属保護管+樹脂被覆

  • 樹脂被覆があるため海の近くなどでの使用も可能です。
  • フレキメタリック、ノンメタリックと比べると強度が高いです。
  • 樹脂被覆を用いるため適用温度範囲が制限されます。

フレキメタリック

  • ケーブルにいちばん柔軟性があり、取扱いが容易です。
  • 強度を求められる環境では注意が必要です。
  • 樹脂被覆を用いるため適用温度範囲が制限されます。

ノンメタリック

  • ケーブルに柔軟性があり、取扱いが容易です。
  • 強度を求められる環境では注意が必要です。
  • 樹脂被覆を用いるため適用温度範囲が制限されます。

関連情報

概要:

エージング棚のスマート監視(車載用リチウムイオン電池アプリケーション)

概要:

電池組立工程の排気ダクト防災 (車載用リチウムイオン電池アプリケーション)

概要:

給電用バスバーの健全性監視 (車載用リチウムイオン電池アプリケーション)

概要:

セパレータ / 電極の乾燥炉温度分布監視 (車載用リチウムイオン電池アプリケーション)

概要:

ベルトコンベアローラ監視のデジタル化(ローラの健全性監視により火災の回避、生産性の確保)

ドキュメント&ダウンロード

動画

概要:

広大なプラントのオート監視における技術面、コスト面の課題をDTSX光ファイバ温度センサが解決します。

ニュース

本件に関する詳細などは下記よりお問い合わせください

お問い合わせ

トップ