DTSXは、光ファイバケーブルを温度センサーとして用いる、ユニークで革新的な温度モニタリングシステムです。
現状の課題
樹脂などの反応炉内部の温度不均一による生産性、品質の悪化と経営に与える影響
反応炉内部で反応時の温度不均一の発生が、製品の生産性や、品質に影響を与えている場合があります。
一般的に反応炉に付帯しているのは、数台の温度計であるため、反応炉内部で発生している温度の不均一状態を確認することが困難です。
効率化によるプラントの統合と大型化が進み、生産性や品質が悪化した場合、単なる納期遅延に留まることなくサプライチェーンへ影響し、それはそのまま社会や経営へ直結します。
ソリューションとベネフィット
反応炉内部の温度ムラを、光ファイバケーブルで反応炉外部から見える化
既設のポイント型センサで、反応炉内部の温度を測定できても、数メートルおきに一定の方向に偏在し、数台の設置の場合、温度変化が把握できないがために、常に一定温度であることも珍しくありません。
樹脂などを同一材料、同一パラメータで製造しても、生産性や品質が悪化する場合があり、そのリカバリや、原因と対策に時間と労力を費やす必要があります。
反応炉内部の温度不均一を把握することは、要因解析の1つですが、その手段が無いのが実情です。
光ファイバ温度センサ DTSX は、反応炉表面に光ファイバケーブルを敷設して、炉表面温度を網羅的に収集し、反応炉内部の温度不均一を炉表面で相対的に見える化します。
DTSX は、反応炉内部の温度不均一の発生を把握し、運転指標にフィードバックすることで、生産性、品質向上に貢献します。
たとえば、年間生産量 30 万トンの 0.3 % を改善した場合、900 トンの生産増、および年間 9 千万円の収益改善が可能です。
(注)10 万円 / トン と仮定した場合。
DTSXによる「光ファイバセンシング」の特長
光ファイバケーブルそのものが温度センサーになります
1 m ごとの温度分布監視
- 監視距離:~ 50 ㎞
- 監視温度:-200 ~ 300 °C
- 最短監視周期:約 5 秒
- 温度分解能:0.03 °C
*: 各仕様は条件に依存
主な特長
- 広いエリア、普段人が立ち入らないエリアでも、24 時間 365 日監視可能
- 電源不要 / 防爆 / 電磁ノイズの影響なし
- フレキシブルな敷設
- DCS などの上位システムとの高い親和性(Modbus / TCP)
他のDTSXアプリケーション
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給電用バスバーの健全性監視
給電用バスバーの接合部分の健全性を監視します。バスダクトに内蔵され、かつ天井裏などの死角にある長距離のバスバーを網羅的に監視することで異常を見逃しません。
詳細は、「車載用リチウムイオン電池アプリケーション (給電用バスバーの健全性監視)」をご覧ください。
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高温の炉体健全性監視
高温の炉体内部の耐火レンガの健全性を監視します。炉体表面のホットスポットの発生から、内部の耐火レンガ損傷を監視することで、鉄皮破れにつながる異常の早期発見を実現します。
詳細は、「炉表面の温度監視」をご覧ください。
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セパレータ延伸炉 / 電極の塗工乾燥炉温度分布確認
リチウムイオン電池を構成するセパレータの延伸工程電極の塗工乾燥工程の炉内の温度分布を見える化します。最適な温度プロファイルにすることで生産性の向上を実現できます。
詳細は、「車載用リチウムイオン電池アプリケーション (セパレータ / 電極の乾燥炉温度分布監視)」をご覧ください。
業種
関連製品&ソリューション
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光ファイバ温度センサ DTSX200
DTSX200 は、温度測定対象や領域が小中規模で、光ファイバケーブルが短距離の場合に最適な、普及版機種です。低消費電力であることと、温度測定環境に左右されることが少ないため耐環境性に優れています。
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光ファイバ温度センサ DTSX3000
DTSX3000 は、「 1台で、もっと長距離で、もっと広範囲に渡っての温度分布監視がしたい」というご要望に応えて開発した光ファイバ温度センサです。長距離温度測定と、高い温度分解能に対応できる機能を備えたフラグシップモデルです。
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線形熱感知器 DTSX1
DTSX1 は、熱検知に必要な機能を 1ボックスに収納した熱感知器です。光ファイバケーブルで測定して温度データを高精度に解析し、高温の熱検出を行います。
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光ファイバ温度センサ DTSX
温度センサーに光ファイバを使用した光ファイバ温度センサ DTSXは、長距離・広範囲の生産設備を24時間もれなく温度監視することで、設備異常を素早く検知し、発生場所を特定します。精度の高い予知保全でダウンタイムを回避して工場の安定稼働を実現します。