ソリューション概要
- 従来の光遮蔽粒子計数法(LO法)では透明で検出されにくかったタンパク質凝集体の数、サイズ、濃度、形態に関するデータを取得、解析が可能
- 5μm以下の微小な粒子も検出し、粒子数や形状を含むデータのリアルタイム解析が可能
- 試験プロセスにかかる時間を飛躍的に短縮し、プロセス開発の効率を大幅に向上
会社概要
Protein Sciences社はSanofi社傘下のバイオ医薬品製造販売会社です。「革新的なワクチンやバイオ医薬品の創造を通じて、変化する世界に対応し、命を救い、健康を向上させる(save lives and improve health by responding to the changing world through the creation of innovative vaccines and biopharmaceuticals.)」 というミッションを掲げ、ワクチン、治療薬、遺伝子治療用製品を製造・販売しています。
導入の背景
同社の製剤および分析開発グループは、従来、薬剤の安定性評価のためにLO法と手動顕微鏡観察の2つの方法で透明なタンパク質凝集体を分析していました。しかし、LO法は透明なタンパク質凝集体を検出することが難しく、数やサイズなど知りたい情報を得ることができないという課題がありました。また、手動顕微鏡観察は時間がかかるだけでなく、観察者により誤差が生じるという課題がありました。そのため、それらを迅速かつ正確に分析し、より包括的な形態データを分析できる技術を求めていました。
複数の粒子分析装置について調査を行った結果、同社が必要としているデータの取得と分析には、YOKOGAWAのフローイメージング顕微鏡 FlowCamが最適な装置であると判断されました。FlowCamはLO法では検出されにくい透明なタンパク質凝集体検出やその数、サイズ、濃度、形態を正確に捉えることが可能で、毎分数万個の粒子をカウントすることでデータ解析の時間を大幅に削減します。
同社製剤・分析グループのデビッド・ローズ氏は、「複数の粒子分析装置を試してみましたが、5μm以下の範囲での粒子検出能力、粒子数や形状を含むデータのリアルタイム解析機能が優れていることが、FlowCam導入の決め手となりました。また、FlowCamによる解析は、米国食品医薬品局(FDA)が推奨するUSP <788>のテストよりもはるかに簡単かつ迅速に、多くのデータを取得できることが特徴です。さらに、FlowCamの導入により、研究費用を最大10分の1に節約できると考えています。」 と述べています。
FlowCamを用いた安定性評価
同社では、製造中の薬剤原料および製品の微細粒子の定期的な検査にFlowCamを使用しています。研究者が新しい製剤プロセスの安定性評価を行いたい場合、各工程の検査にもFlowCamを使用し、製品の潜在的な劣化プロセスを特定します。FlowCamを使用することで、一週後、二週後、一カ月後の凝集体の変化プロセスをモニタリングすることができます。また、粒子の数、サイズに加えて、形態イメージの取得も可能なため、新製品開発中に問題が発生した場合の対応も効率化できます。 実際、図1・2のとおり、FlowCamによる測定で、タンパク質とみられる粒子数の減少と、凝集体化が観察されました。これらは従来のLO法だけでは得ることができません。
表1. FlowCam による安定性評価データ。4週後には全体の粒子数が減少し、平均値と最大値を見ると粒子径が全体的に増加しました。
図1. 表1に示した研究の1日目にFlowCamで撮像したタンパク質凝集体
図2. 表1に示した研究の4週目にFlowCamで撮像したタンパク質凝集体
導入効果
従来、タンパク質の凝集体化の観察には、正確なデータ取得と検査時間の短縮を両立できる検査方法が存在せず、LO法と手動顕微鏡観察の2つの手法を組み合わせる必要がありました。検査にかかる工数とコストが現場の負担となっていましたが、FlowCamの導入により、1台で正確なデータ取得、およびリアルタイム解析による検査工数の短縮やコスト削減が可能になりました。さらに、製剤開発の工程において、FlowCamが正確な粒子の数値や形態データを素早く取得することで、品質分析と安定性評価に大きく貢献し、より一層品質の向上を実現しました。
お客様の声
「FlowCamを使用することで、従来のLO法では検出が難しいタンパク質凝集体の形態も正確に解析し、バイオ医薬品の開発品質を向上させることができます。」
デビッド・ローズ氏
製剤・分析グループ
業種
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