横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

組織横断のワイガヤとDPIによる解析で、独自の課題解決メソッドを確立

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概要

大阪ガス株式会社のグループ企業である大阪ガスケミカル株式会社は、日本がけん引する炭素繊維産業の一翼を担う化学会社です。同社CF材料事業部の炭素繊維製造現場では、YOKOGAWAのDigital Plant Operation Intelligence (DPI) の導入を機に、ベテランから若手までのワイガヤとデータ解析によって長年の課題解決に取り組み、オペレーション効率を向上し、組織の知を育て活用する態勢を構築することに成功しました。

大阪ガスケミカル株式会社

 

お客様の課題とソリューション

現場の課題

大阪ガスケミカルでは、炭素繊維製造プロセスの一部である加熱工程において、ときどきトラブルが起こることが長年の課題でした。トラブルは生産効率・コスト効率の低下や、オペレータ負荷の増加につながります。そのため、プラントではこれまでも継続してプロセスの改善に取り組んできており、大きく改善効果が出ていましたが、あと一歩、完全な解決には至っていませんでした。
また、今回のプロジェクトの発起人である設備技術チームの吉田裕希様は、社内の組織の壁や役割を超えてもっと自由にアイディアを出し合い、ともに課題にチャレンジすることで、組織として「知」を共有し育てる風土を広げていきたいと考えていました。

そこで、データ解析とワイガヤによってトラブルの要因を特定し課題を解決してみようと、YOKOGAWAにDPIのトレーニングを兼ねたコンサルティングを依頼しました。

ワークショップを通じた課題解決を提案

YOKOGAWAは、大阪ガスケミカルの希望に対し「仮説検証型の解析ワークショップ」を提案しました。YOKOGAWAのファシリテーションのもと計4回のワークショップを開催し、仮説の立案・検証を通じてプロセス課題の解析を行うというものです。

  • 全員が知見やアイディアを出し合いながら、課題の要因を仮説として定義
  • DPIを用いてデータを解析し、自ら仮説を検証
  • 解析結果の確からしさを、プロセス知見をもとにワイガヤで議論
  • 改善アクションを立案

ピラミッドストラクチャ・アプローチによる課題解決
ピラミッドストラクチャ・アプローチによる課題解決

Day1:仮説を立てる

2019年9月、YOKOGAWAのファシリテータと解析エンジニアが訪問しての第1回ワークショップが開催されました。ワークショップには、製造、生産管理、設備技術、品質管理、開発などから、若手・中堅・ベテランのメンバーが参加しました。
解くべき課題として「加熱工程のトラブル」を設定し、その要因についてのワイガヤが始まりました。はじめは互いに一歩引いて傍観するような雰囲気もありましたが、次第に「開始温度との関連があるのではないか」「特定の温度上昇のパターンのときに起こるのではないか」 など、それぞれが経験として持つ知識が積極的に語られるようになりました。当該プロセスだけでなく前後のプロセスも含め、さまざまな要因の可能性について活発な議論が行われ、中にはベテラン同士でも互いに知らない知識があることや、役割によって異なる視点を持っていることなど、新たな発見も多くありました。

ワイガヤを整理し、9つの仮説が立てられました。
また、この日はDPIを用いたデータ解析の方法についても説明が行われました。

仮説ピラミッド
仮説ピラミッド

Day2:仮説検証

11月に行われた2回目のワークショップでは、DPIによる解析を通じて仮説検証が行われました。
立案した仮説ごとに、原料データ、イベントデータ、およびDCSから取得したプロセスデータをDPIに入力して解析し、解析結果を全員で見ながら、データが十分に検証しきれているか、実態や自分たちの実感と合っているかなど、仮説の確からしさをワイガヤで議論していきました。YOKOGAWAは豊富な解析ノウハウをもとに、それらの作業をサポートしました。

ワイガヤでは、さまざまな役割のメンバーが各自の持つ知見を踏まえて、見える化されたデータをどのように解釈しているか話し合うなど、活発に意見交換が行われました。ベテランの豊富なノウハウなど、伝承すべき知識・技術についても数多く語られました。議論の中で気になったデータは、ワイガヤの途中でさらなる解析を行い、互いにアイディアを出し合いながら検証を進めていきました。

DPIの画面例

Day3:仮説検証と改善アクションの立案

次のワークショップまでの間には、現場でもDPIを用いた解析が進められ、仮説検証はどんどん本質へと迫っていきました。12月に行われたワークショップでは2回目と同様にワイガヤが行われ、仮説が絞り込まれました。そして最終的に、もっとも影響が大きいとみられる要因が特定されました。

仮説検証結果
仮説検証結果

続いて、その要因に対してどのような改善アクションを行うべきかについてのワイガヤが行われ、センサの追加や、プロセス値を監視し必要に応じて対策を行うようマニュアルを見直すなど、いくつかの対策が立案されました。また、今後の予知保全に向けて、制御システムに新たなタグを追加し監視することなども提案されました。

 

Day4:改善アクションの実施にむけた活動の振り返り

年明けの繁忙期を挟んで2020年3月に行われたワークショップでは、ワークショップ全体の振り返りを行い、今後の継続的なデータ活用と改善活動の方針について、全員であらためてワイガヤを行いました。DPIで解析されたデータと、ワークショップメンバーのさまざまな知見・経験とを融合して立案された改善アクションは、ワークショップ後に実施されることが決まりました。

活動の振り返りでは、「未然にトラブルが防止できる知見が得られて良かった」、「対策を行うための予算立案の強力なバックデータができた」、「経験則として感じていたことが、データと議論によって証明されて嬉しい」、「ベテランの方がたくさん話してくれ、技術伝承になった」などの声が出され、ワークショップは成功裏に終了しました。

 

結果

ワイガヤを通じた仮説検証および改善アクション策定により、以下のようにさまざまな成果が得られました。また、ワークショップ終了後も、現場では独自に「ワイガヤ」が継続されており、次の課題にチャレンジし続けています。

  • トラブル抑制による製造プロセスの安定化
  • オペレーション効率最大化
  • コスト削減
  • 互いのノウハウを共有し、「組織の知」として技術伝承
  • 継続した改善活動のための方法論「ワイガヤ」と解析スキルの会得
  • より活発な組織間コミュニケーション

集合写真

 

お客様の声

森様(製造):
トラブルが起こってしまうとオペレータの負荷が高くなります。製造装置が大きく処置するまでに時間がかかってしまい、前後のプロセスにも影響を及ぼしてしまいます。今回、解析をやると初めて聞いたときは、本当にできるのかなとは思いました。しかし、YOKOGAWAの二人はワイガヤを楽しく進めてくれましたし、なにより現場を良く見て、現場を重視しようとしてくれました。これほど多くの部署から人が参加しての改善活動は初めてでしたが、熟練者がぼんやりと感じていたトラブルの傾向を互いに話し合い、データで裏付けることができました。自分たちの経験則に基づいた検証をワイガヤしながら行い、トラブルの要因を明らかにすることができましたが、これまでやってきたことが間違いではなかったと分かってとても良かったです。ワークショップ終了後も、同じメンバーで自主的にワイガヤを継続しています。

森様

 

加藤様(生産管理):
DPIを用いた解析を担当しました。プロジェクト参加時は新入社員でした。大学でMS-Excelを用いてデータを解析したことはありましたが、ここまで体系立った解析を行うのは初めてでした。私たちの製造プロセスはパラメータが非常に多く、運転条件もよく変わるので、単にデータを並べて比較するだけではうまくいきません。ベテランの方の経験則を聞いて、どこに着目して解析するかの参考にしています。現在は、同じデータを見方を変えて解析してみたり、原料に着目した解析をしてみたりしています。解析を行って自分で仮説を発見したときは、とても面白いと感じます。発見した仮説はワイガヤで皆さんに報告しています。私はもともとオフィスにいることが多く、製造プロセスを知る機会があまりありませんでしたが、ワイガヤを通じて製造プロセスを理解することができましたし、データ解析を勉強することができて、とても良かったです。

加藤様

 

奥田様(シニア):
私は、当社の炭素繊維事業立ち上げの頃から製造、生産技術および品質保証等に携わってきました。ピッチ系炭素繊維の製造プロセスには表に出ていないノウハウがたくさん含まれています。それらをマニュアル化したり、社員に対する勉強会を行ったりして技術伝承に努めていますが、ローカルルールのようなノウハウがまだまだあります。今回明らかになった要因は、そこまで重要性に着目していなかったものでしたが、今思えば、以前行った製造設備の増強の結果とも関連があり、生産性にも影響があると分かっていたものでした。要因に関わる現象がデータによって定量化され、メンバー全員のノウハウになったと思います。ワイガヤは技術伝承としても、とても良かったと思います。誰かが一方的に話すのではなく全員で話すことで、若手はノウハウを持っている人の話を聞いて学ぶことができたのではないでしょうか。今後も若手にはどんどん自分で考え、いろいろとチャレンジしてみてもらいたいですね。

奥田様

 

高橋様(事業推進部):
IoTプロジェクトの事務局として業務系のIT化や社内へのプロジェクトの広報を担当しています。私は製造に在籍していたこともありましたので、トラブルについては知っていました。データがあるので解析すれば何か原因が分かるのではと思っていましたが、初めての取り組みでしたので、私たちだけで解析できるか不安でした。今回YOKOKAWAのサポートを受けながら並走できたことで成果に結びつき非常に良かったと思います。DPIを用いたワークショップは技術伝承の狙いもあり、ベテランと若手の有益なコミュニケーションの機会となりました。各自が持つ感覚的なものがデータで裏付けられることは意味のあることです。私たちは材料メーカーですが、これからは、ただものを作っているだけでは生き残れません。保有するデータを活用し既存製品の新たな用途展開や新製品開発につながればと思っています。メーカーはサービス業でもあるとも考えており、今後得られるデータを活用すれば、お客様の課題に新しい発想でソリューション提案ができるのではないかと、今後の取り組みにも期待しています。

高橋様

 

吉田様(設備技術):
DPIは自社のメンバーだけで課題解析に活用することを目的に導入しました。ところが、体制を構築して始めようとしたところ反発がありました。データ解析やツールの使用方法について実績が無かったためです。そこで、上司と相談して他社事例なども調べた結果、コンサルタントを入れてやってみることにしました。DPI選定のポイントは、YOKOGAWAはプラントの会社で、そこがデータを扱えるというのが大きかった。議論するための題材をあらかじめ用意して持ってきてくれるなど、ファシリテーションが良く期待に応えてくれました。ワークショップ初日にはメンバーは確かに一歩引いているような感じでしたが、YOKOGAWAの二人が私たちと一緒に理解し、課題を解決しようとしているのが感じられ、すぐに皆の雰囲気が変わりました。ワイガヤでは技術伝承となるノウハウがいろいろと聞けたのが良かったです。また、これまではデータとプロセス知見が結び付いていませんでしたが、これらを合わせ込むことで客観的な理屈が生まれました。おかげで改善のための予算も取りやすくなりました。
ワークショップ終了後は、私が司会でワイガヤを継続し、新たなテーマについて解析とワイガヤを行っています。継続と水平展開が今後の課題です。理想は「楽して儲ける会社」 になることです。苦労しても儲からないというのが一番良くありません。ムダをなくし、頑張ったらその分成果が出るように、これからもワイガヤを通じた改善活動を行っていきたいと思います。

吉田様

 

藤原様(酉島製造センター所長):
加熱工程のトラブル対策はこれまでも行ってきており、特に2013~14年に行った設備改善では一定の成果が出ていました。今回の解析で明らかになった要因は、当時の改善と関連のあるものでした。製造ラインにはデータが大量にありましたので、これを有効に使い改善に繋げたいと考えていましたが、正直なところ今さら原因が分かるのだろうか?とも感じていました。しかし実際には、経営陣からも高く評価されるような結果を出すことができ、若手のメンバーも成長しました。なかでも加藤さんは解析スキルを身に着け、現在は生産量をアップするというテーマにも同じメンバーで取り組んでくれています。私たちのプラントには、積極的な人が多くいます。これからも楽しみながら、興味を持って取り組んでいってもらいたいと期待しています。

藤原様

 

 

大阪ガスケミカル株式会社様について

大阪ガス株式会社のグループ企業である大阪ガスケミカル株式会社は、大阪ガスが石炭から都市ガスを製造していた時代から受け継がれた石炭化学技術を活かし、石炭ピッチ系炭素繊維、国内トップブランドの活性炭「白鷺」、およびフルオレン誘導体など、さまざまな独自の製品を製造・販売する化学会社です。
大阪ガスケミカルの炭素繊維ドナカーボ®は、原料の石炭ピッチを独自の紡糸技術によってカールさせたユニークな短繊維炭素繊維です。その断熱性、摺動性、導電性、耐摩耗性に優れた特性を活かして、各種工業炉の断熱材、鉄道車両の吸音断熱材などさまざまな用途に用いられています。

ワイガヤメンバーの皆さんと
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