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東北大学大学院 生命科学研究科 杉本 亜砂子先生

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遺伝学研究の素材としての線虫に出会った1992年以来、卓越したLive Imaging技術と独自にハイスループット化に成功したRNA干渉法とを駆使して、 線虫の初期胚から形態形成に至る発生過程の詳細な解析で世界をリードする杉本亜砂子先生(理研CDB発生ゲノミクス研究チームリーダー)をお訪ねしました。

杉本先生のご研究について、教えてください

受精卵から生物としての形が完成するまでの発生過程において、ゲノムにコードされた約2万のタンパク質が生体のどこでどのような役割を果たし、どのように協調的に働いているのかを 突き詰めたいと考えています。そのためには、細胞内の個々の分子を“生で観る”こと、その“時間的・空間的な動態を解析する”ことが必須であり、Live Imagingはその重要な手段です。
ポスドクでの留学(Wisconsin大学:Joel Rothmanラボ)で出会って以来慣れ親しんでいる線虫は、ゲノム配列情報や細胞系譜が全てに明らかになっており、私の研究に最適なモデル動物です。
特に、線虫に独特なソーキングによるRNA干渉法(線虫を二本鎖RNA溶液に浸すことでRNAiを行う方法)の高効率化が成功したことで、発生過程で重要な役割を果たす遺伝子群を網羅的に同定し、さらに表現型のプロファイリングを効率良く進めることが可能になりました。現在は初期発生における細胞骨格系の動態制御や非対称分裂のしくみに着目した解析を中心に行っています。

ご研究における共焦点スキャナユニットCSUの役割について

発生過程の細胞内ダイナミクスの観察には、空間分解能も重要ですが、特に微小管やアクチンが関与する細胞骨格の早い変化を捕らえるためには時間分解能が高いことが必須です。
線虫に限らず、多様な実験系で細胞骨格系のダイナミクスを追及する研究者にとって、時間分解能と空間分解能の双方の条件を満たしてくれるイメージングシステムとして、 CSUシステムはすでに世界的に最高の評価を得ていると思います。私たちは、空間分解能撮影用の冷却CCDカメラと、時間分解能を優先させた撮影用のEM-CCDカメラを それぞれ装着した2種類のCSUシステムを使い分けてフル稼働しています。
線虫胚は透明で、50µm×30µmという比較的小さなサイズであることから、胚全体の3次元ライブ(4D)撮影が可能です。線虫胚の観察対象としての特徴とCSUシステムの特性は非常に相性が良いと考えています。
CSUシステムは拡張性の高い点がメリットの一つだと思いますが、その反面、新規ユーザがシステムを組み上げるには敷居が高い面があると思います。
効率の良いフィルタや、カメラの選択、FRAPなどの機能アップのための情報提供など、更に細やかなユーザサポートをしていただきたいと要望します。Web上でのFAQ公開などのCSUユーザ間の情報交換の仕組みを提供していただければ、CSUが更に有効に活用されるのではないでしょうか?

 

EM-CCDカメラがついたシステム

EM-CCDカメラがついたシステム

冷却CCDカメラがついたシステム

冷却CCDカメラがついたシステム

線虫の発生過程のLive Imagingを目指す方へのアドバイスをいただけますか?

私たちは様々なタンパク質をGFP等の蛍光タンパク質で標識してライブ観察していますが、万能プロトコールというものは存在せず、タンパク質ごと・実験ごとに条件検討を繰り返しています。
今まで見えなかったものを観るためには、システムの最高性能を引き出すことが必要です。自分が何を知りたいかということを明確にし、時間分解能と空間分解能のどちらを優先するか、等の細かな点を微修正しながら条件検討を行う地道な作業は欠かすことが出来ません。

C.elegans

線虫初期胚: GFP結合EBP-1(微小管プラス端結合たんぱく質、EB1のホモログ)の
動態観察
play

C.elegans

線虫初期胚:前後極性確立過程における、細胞皮質上のGFP結合RHO-1の動態観察
play

今後のご研究について教えてください

特に力を入れたいのは、発生過程の全体像を、胚という3次元的な物体の時間変化として捕らえて4次元的に解析することです。そのためにも、Live Imagingはますます重要な手段になります。さらに時空間分解能を上げることを追求しつつ、タンパク質機能の細胞内局所的操作などの新規技術も導入し、生物がつくりあげられていく際の細胞内ダイナミクスについてさらに明らかにしていきたいと考えています。

Dr.Asako Sugimoto


既に発生研究の業績で高名な杉本先生ですが、それに加えて、日本ではまだまだ数少ない女性研究リーダーとして(2009年7月現在、理研CDBには33の研究室がありますが、女性リーダーは4名です。)後に続く女性研究者のロールモデルとしても、ますますご活躍いただきたいと願っています。
杉本先生には東京大学理学部助手の時代に、全身にGFPを発現して美しく光輝く線虫をご供与頂き、カタログ写真に使わせていただいてから大変お世話になってきました。今回も大変有用なアドバイスを頂きありがとうございます。何らかの形での実現を目指したいと思います。
学生時代のご趣味は乗馬とか。時には“最愛の”線虫とのミクロの世界を離れて、青空の下でマクロな闊歩を楽しまれますよう!


杉本 亜砂子(すぎもと あさこ)先生
ホームページ: http://www2.lifesci.tohoku.ac.jp/lab-www/sugimoto_lab/
東北大学大学院 生命科学研究科 生命機能科学専攻 発生ダイナミクス分野 教授

こちらのインタビューは理化学研究所発生・再生科学総合研究センター発生ゲノミクス研究チームご所属時に取材いたしました

取材:2009年7月

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