大容量蓄電池を併設する六ヶ所村二又風力発電所
青森県の下北半島南側に位置する上北郡六ケ所村。 ここで世界で初めて 大容量蓄電池を併設したスマートグリット型の風力発電所「六ケ所村二又風力発電所」が2008年5月に運転を開始しました。
新エネルギー導入の優れた 取組みに対し、経済産業省が表彰する「新エネ百遺』に選ばれ、「風車の郷』と 呼ばれています。また六ケ所村次世代エネルギーパークの1つとして、発電所の 一般見学者、年間1500名の方にご参加いただいています。
一般的な風力発電 は出力の変動が大きく、安定した電力供給を行うことは出来ませんが 当発電所では発電した電気を NAS電池に蓄電し、発電量の予測と組み合わせることで計画的な送電をすることが可能となっています。
この発電所から生まれた電力は日本卸電力市場などで取引されています。 また環境付加価値を証書化した 『そらペあグリーン電力証書』としても販売され、 多くのグリーン電力をお客様にご活用いただいています。
一般的な風力発電所では、風速に応じて発電出力が変動するため、系統への送電電力も変動します。蓄電池を併設する六ケ所村二又風力発電所では、発電機出力と蓄電池入出力(充放電)を組合わせることで、系統への送電電力を一定に制御するとともに、夜間充電・昼間放電も可能となっています。
また、パワーエレクトロニクス技術の進歩により、高速度で出力一定制御も行えます。
導入の背景と経緯 -大容量蓄電池制御型風力発電に最適なシステムを求めて-
蓄電池併設型風力発電は、風車設備・電力連系設備・蓄電池設備・電力変換装置で構成されており、制御システムもそれぞれ設備毎に構築されています。風力発電は風況による変動があり、より安定した電力供給を実現するためには出力を一定に制御する必要があります
風車の発電量と蓄電池の充放電量を制御し、発電所各設備の稼動状況の把握も必要となります。そこで各設備の上位システムとして電力監視制御装置を設置することとなり、そのシステムの検討を開始しました。もともと風車関連設備監視システムなどを導入いただいた東京電機産業からシステム要件を満たす、最適なシステムの提案があり、STARDOMを採用することとなりました。
「電力監視制御装置はとても重要な位置づけ、STARDOMの信頼性と二重化システムが選定の決め手となりました。」
導入システムと効果 -出力一定制御から風車・蓄電池の監視・管理まで統合システムを実現-
系統への一定かつ安定した電力供給の実現に向けて、電力監視制御装置および蓄電池制御システムには「STARDOM」二重化コントローラを採用。分散している風車設備の監視にレンジフリーコントローラ「FA-M3」を採用しています。
風車制御監視システムや発電計画システムにおいても標準インターフェース(OPC)にてマルチベンダー間の情報一元化を実現し、電力監視制御を行っています。発電計画システムによる風況を考慮した発電計画を基に、運転計画とそれに伴う電力出力パターンを算出し、各制御システムに出力値が送信されます。計画に対する出力実績値をトレンドグラフで監視できます。
また、34基の風車および17ユニットの蓄電池の個別運転状況や電池残量なども監視。すべての機能は遠隔地に設置した監視センターからも監視・制御が可能です。
今後の展開 -電力制御技術を海外展開! 地球のために、未来のために-
新たなステップとして、蓄電池を併設した風力発電所で培った電力制御技術のノウハウを活かし、海外へ展開していきたい。
そのためには、システム・装置の高速化など更なる進化が必要となります。今後も横河電機と東京電機産業にシステム・装置の開発に協力いただきたいと考えています。
日本風力開発株式会社は今後も次世代エネルギーとして、風力発電の拡大を進め、地球のため、未来のため、子供たちのために、次世代により良い環境を残していくためフロンティアに立ち続け時代を切り拓きます。