株式会社カネカ 様 BTGにおける最適化制御 導入事例

BTGの高度制御による省エネ制御の実現

グローバル企業として飛躍的な成長を遂げている株式会社カネカ様では、成長分野で競争力のある事業を強化すると同時に、地球環境対策への取組みも経営課題として積極的に取組んでいます。
その取組みの一つである、BTGの最適化制御による省エネルギー事例について株式会社カネカ 生産技術本部とエネルギー部の皆さんに語っていただきました。
(注) BTG (Boiler Steam-Turbine Generator) : ボイラー、蒸気タービン、発電機の略
インタビュー日:2010/08/31

 

ユーザ紹介

株式会社カネカ 高砂工業所

株式会社カネカを中心とするカネカグループでは、1949年の創業以来、化成品・機能性樹脂・発泡樹脂製品・食品・医薬品・医療機器・電子材料・合成繊維などの幅広い分野でスペシャリティの高い製品を提供しています。また、グローバル企業として競争力のある事業を創出すると同時に、「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します」という企業理念に示すように、地球環境対策へも積極的に取組んでいます。

製品写真

具体的には、省エネルギー・地球環境対策の認証取得計画や産業廃棄物の削減、更には生産活動におけるリスクを生産技術部門にて統合管理するなど、カネカグループ全体で推進しています。

 

導入の背景と狙い

株式会社カネカ 高砂工業所 BTG / 高砂工業所 エネルギー部 部長 林様 

金融危機に端を発した世界同時不況の中、株式会社カネカは徹底的にコスト削減を進め、高砂工業所としては 「アドバンス17」 と称してコストダウン活動を推進してきました。この活動はコスト削減だけではなく、同時に省エネルギーも視野に入れた環境経営の一つとして活動を行い、多量のエネルギーを消費している高砂工業所では、様々な取組みを実施しました。

生産技術本部 技術部 幹部職 木村様 / 高砂工業所 生産技術グループ 幹部職 倉本様 

特に着目した点は、エネルギー部門で管理するほとんどのエネルギーがBTGでの燃料・購買電力であった点です。原油価格の高騰もあり、この分野での対策は急務でした。
また、人の介在によってコストロスが発生していた事などから、このBTGの運転を最適化させてコスト削減と排出CO2削減の両立を目指しました。

 

横河電機を選んだ理由

ハード面での省エネルギー対策や既設DCSと運転支援パッケージによる改善活動を従来から実施してきている高砂工業所では、省エネルギー対策に行き詰っていた状態でした。
PID制御やシーケンス制御での改善では限界を感じており、以前から運転支援やPIMSの活用など積極的に改善を進めていたところへ更に計装関係でできる省エネルギー対策を模索していました。そこへ、他の製造プラントにて採用実績のあった高度制御を組み合わせる事で、更なる効果が期待できる改善案を横河電機と協働して検討しました。
手動で行っていた運転操作を高度制御と共に自動化することによって提案通りの効果を実現できるのではないか、という感触はありましたが、既にBTGの運転は非常に厳しく負荷調整していた事や、現場に高度制御の知識が不足していたこと等から、机上で検討した通りの効果を実現する自信にはなかなか繋がりませんでした。

生産技術本部 技術部 主任 北村様 / エネルギー部 動力課 職長 代様
エネルギー部 動力課 係長 森角様 / エネルギー部 技術 主任 中島様

しかし、更なるコスト改善と環境経営実現の活動は急務であるという危機意識は高く、DCSを中心に現場を熟知した横河電機と協働してチャレンジすることにしました。
その結果、既設DCSと運転支援パッケージに高度制御を連携させ、運転・監視・制御の総合システムを実現することができました。現場社員の危機意識と横河電機の提案力が大きな推進力となりました。

 

対策と導入システム

高砂工業所のBTG設備は、ボイラー2基とタービン発電機4基で構成され、各機器間にはエネルギー効率に差がありました。また、購入電力単価は季節や時間帯によって大きく異なります。この設備は生産現場が要求する蒸気と電力の需要を満たしながらコストを最小とする最適な運転が求められ、運転を担当するオペレータは時々刻々変化する需要と設備の稼動状況を監視しながら負荷調整をしていました。

BTGシステム構成図

右図に示すように複数の運転パターンが存在し、それぞれの運転パターンにおいてコストを最小にする最適運転の方法が異なっていました。

  • 昼、夜で自家発電割合が変わる
  • 負荷によりボイラ台数やタービン台数が変わる
  • メンテナンスなどのため設備台数が変わる

このような運転を手動による負荷調整だけでは、最適化運転への改善に限界がありました。

複数の運転パターン

そこで、多変数モデル予測制御を適用することであらゆる運転パターンに対応した最適制御を実現し、ボイラとタービンの運転台数変更時に多変数モデル予測制御の設定を短時間で切替える機能を加えて大幅なコスト削減と省エネルギーを実現しました。

導入後のBTGシステム構成図

運転パターンは非常に複雑な変化をするため、『多変数モデル予測制御』技術を使ったシステム設計では非常に苦労しましたが、DCSと運転支援パッケージの組み合せに更に高度制御を連携させる事で、様々な運転パターンに応じたオペレーションできるようになり、これによって年間を通じて常に最適な状態でBTG設備を稼動できるようになりました。

 

対策実施後の効果

CO2削減効果 年間1,000t以上

付帯効果:監視・操作削減 85%

今回の取組みによって効率が向上し、エネルギーコストの0.21%削減を実現することができました。これは、予定通りの効果であり、年間1,000t以上ものCO2削減を実現しています。 今後計画している設備的な課題を解決して行くことで、CO2排出量も更に削減効果を上げることが見込まれます。
DCS・運転支援パッケージ・高度制御を連携させ、システム全体を自動化することでオペレータの操作負荷及びプロセスアラームを減少させる付帯効果(対象設備の監視・操作:85%削減)にも繋がりました。実施前は予想していなかった効果であり、殆どオペレータの介在を必要としなくなったものもありました。

 

まとめと今後の展開

各システム間でのデータの受け渡しなどシステム設計上の工夫の余地は一部ありましたが、横河電機の担当者と協力して進めることで、運転パターン毎で異なる複雑な負荷調整や短納期での対応など、難しいエンジニアリングを実現出来ました。今回の取り組みを通して、センサー、操作端などの改善も必要であることが見えてきたため、継続して設備の改善を進めて行きます。
今後は、低負荷時の更なる安定化や、アラーム解析からの制御性改善、また昼夜間での切替時間の短縮など、人と技術の創造的融合を図りながら常に更なる改善に取組んで行きます。

 

お客様企業

株式会社カネカ様 ロゴ
 

お客様名称 株式会社カネカ
事業内容 化成品・機能性樹脂・発泡樹脂製品・食品・医薬品・医療機器・電子材料・合成繊維等の製造及び販売
事業所 大阪本社、東京本社、営業所(名古屋)、海外拠点(アメリカ、ベルギー、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、中国、インドなど)
工場 高砂工業所: 兵庫県高砂市高砂町宮前町1-8
大阪、滋賀、鹿島(茨城県)
URL http://www.kaneka.co.jp

 

関連ソリューション及び導入製品

関連ソリューション

►BTG最適化による省エネ

大規模プラントや工場では、24時間連続生産のために大量の電気、熱(蒸気)を使用します。その電気や熱はBTGという設備で種々の燃料により作り出され、工場内のあらゆる装置に送られています。DCSによる運転制御に加え、多変数モデル予測制御Exasmocや高度運転支援システムExapilotによる運転モード切替の自動化を適用し、BTG設備のエネルギー効率最適化とCO2排出量の削減を実現します。

BTG最適化による省エネ

導入製品

►多変数モデル予測制御パッケージ「Exasmoc」

Exasmocは、各変数間に拘束条件や経済効率などの相互関係を与えることで最適運転と経済運転を同時に満足するソフトウェアパッケージです。SGSIとの業務提携により横河電機がShellの技術を全世界に独占販売します。 Exasmocコントローラは、各種制約条件を守りながら、以下の制御をします。

  • 電力単価、CO2換算係数の差により、買電と自家発電の最適割合を演算
  • 演算された最適割合となる自家発電の発電量を運転限界値とする限界運転
  • タービン効率向上のため、主蒸気温度・圧力をタービン仕様上限で限界運転
多変数モデル予測制御パッケージ「Exasmoc」

►運転効率向上支援パッケージ「Exapilot」

Exapilotは、熟練オペレータの運転手順を簡単にシステム化できる,運転自動化パッケージです。運転手順を高いレベルで標準化することにより運転効率を向上させ,お客様のオペレーションコスト低減を実現します。

運転効率向上支援パッケージ「Exapilot」

►生産制御システム

横河電機のプロセス制御システムCENTUMシリーズです。小規模から大規模までシームレスなシステム構築、長期間にわたる安定供給と保守を可能にし、柔軟性とオープン性を備えた最新の生産制御システムにより、お客様の理想的な操業を実現します。

生産制御システム

 

関連製品&ソリューション

CENTUM VP

統合生産制御システム 「CENTUM VP(センタム・ブイピー)」は、プラントの設計から、エンジニアリング、システム・機器の据え付け、生産立ち上げ、さらには稼働後の改修や変更を経て運転を終了するまで、プラントのライフサイクルにわたり最適な操作・エンジニアリング環境をお客様に提供します。

Platform for Advanced Control and Estimation(高度制御ソリューション)

高度制御ソリューションは、エネルギー消費を抑え製品収率を改善することで、運転利益を生み出します。 
Advanced Regulatory Controlモジュール、多変数モデル予測制御、ソフトセンサーやAdvanced Monitoring & Diagnosisツールをコンサルティング・エンジニアリングサービスと併せて提供し、高度制御導入期間を劇的に短縮すると共に、ロバスト性に優れた制御性能を維持し保守を容易にします。

運転効率向上支援パッケージ Exapilot

運転員主体で行われている運転領域を、熟練運転員の運転ノウハウをもって高い運転レベルで標準化・自動化することにより、運転効率の向上を実現します。

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