概要
エネルギー源から電力と熱を同時に発生させてエネルギーの総合熱利用率を高めるコージェネーションシステムが注目され,分散形 発電装置の原動機としてディーゼルエンジンの他にガスエンジンも広く使われるようになりました。ガスエンジンは熱効率が高いことや燃料とするガスの供給が安定していること等の特長がありますが,一方で,燃焼温度が高 いので汚染物質(特に NOx)が発生しやすく,公害防止のために排ガスを管理することが重要となります。 NOxの排出を抑えるためのアンモニア脱硝法においては,ランニングコストを削減するため NOx計を使用してアンモニアの注入量を最適に制御することが行われます。ここでの NOx測定に高感度・高信 頼性の「SG1000 煙道ガス濃度計」が採用され,好評を得ています。
お客様の期待
- ガスエンジン排ガスの中の NOx 濃度を測定したい
- 人手をかけずランニングコストを削減したい
- 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい
プロセス概略
排ガス中の NOx を触媒によって分解する方法には固体触媒の寿命が短いという欠点があるため,分解処理が安定に行える湿式の脱硝法としてアンモニア脱硝法が取り入れられています。この方法では,煙道の排ガスに還元剤であるアンモニアを添加し,化学反応によって NOx を無害な N2 と H2O に変え煙突から排出します。
NOX + NH3 + ( 触媒 ) → N2 + H2O
液体アンモニアはランニングコストが高いので,排ガス中の NOx 濃度を測定し,その値によってアンモニアの注入量を制御します。
ガスエンジン脱装置の概略フロー
YOKOGAWA のソリューション
測定システム
プローブ
- 酸露点(約 150℃)~400℃の場合
F形フィルタ付きプローブ
(部品番号:K9718VC) - 酸露点~700℃の場合
M1E形フィルタ付きプローブ
(部品番号:K9219ED)
煙道ガス濃度計 (NOx, O2)
- SG1000-A-103NNNNNN1□□□□ ..........
外付ドレンセパレータ
- 部品番号:K9641EA
サンプル導管
- SG8SAP
標準ガス充填ボンベ
- O2用ゼロガス(部品番号:G7001ZC)
- NOX スパン校正用ガス
- O2スパン― NOXゼロ校正用空気
ユーティリティ
- 電源: 100,110,115,200,230 V AC
50/60 Hz
消費電力:600~1000 VA(仕様によって異なります)
外部サンプリングシステム(標準)の設置要領
フィールドデータ
プロセス条件
測定点
脱硝設備の入口と出口(切り換えて測定)
測定レンジ
脱硝設備の入口測定時:0-5000 ppm
脱硝設備の出口測定時:0-200 ppm
導入効果
NOx 濃度を排出規制の上限値にコントロールすることにより,アンモニアの注入量が節減された。
参考:排気量 10000 m3の設備の場合,排ガス中の NOx (NO) 濃度を 100 ppm削減するには約2.5 kg の液体アンモニア(濃度 30%)が必要です。
留意点
- 外付ドレンセパレータは,次のような場合に付加します
- SG1000 の設置場所が測定点に近く,測定ガスが十分に冷却されない恐れがある。
- サンプル導管が長く,管内で生じるドレンにサンプル成分が溶解して測定誤差の生じる恐れがある。
- サンプル導管に必要な傾斜を持たせることができない。
- サンプル導管内にドレンが滞留する恐れがある。
- ガスエンジンの排ガスは水分が多いので,サンプル導管にドレンポケットができないよう注意してください。
- エンジンの振動が伝わる場所 SG1000 を設置する場合は,十分な防振対策を講じてください。
特記事項
- ガスタービンやディーゼルエンジンと同じように,ガスエンジンも NOx の排出規制が適用され,NOxO2 を測定する義務があります。
- ガス燃料には硫黄分がほとんど含まれないので,ガスエンジン排ガスに SO2はありません 。