ゼブラフィッシュ稚魚の脳活動のリアルタイム観察

はじめに

 脳が外界からの感覚情報をどのように知覚しているのかを理解するためには、生体内での個々の神経細胞(ニューロン)の活動をリアルタイムで、かつ脳の広範囲を同時観察することが要求されます。そのためには高空間分解能・高時間分解能かつ広視野でのイメージングを可能とする装置が必要です。
 今回は共焦点スキャナユニットCSU-W1とカルシウムセンサーGCaMPを用いることにより、ゼブラフィッシュ稚魚の脳内の活動を非常に高い分解能でイメージングすることができました。

タイムラプスの抜粋

図1 (a)タイムラプスの抜粋
全タイムラプス動画 再生

タイムラプスを時間で重ね合わせ<

図1 (b)タイムラプスを時間で重ね合わせ
カルシウム反応が強くおきた箇所を赤く表示

3D 画像

図1 (c)GCaMP を発現させた脳部位(視蓋領域)の3D 画像

受精後5日目のゼブラフィッシュ稚魚

図1 (d)受精後5日目のゼブラフィッシュ稚魚 赤枠は視蓋領域

実験内容

 脳の視蓋領域にカルシウムセンサーGCaMPを発現させたゼブラフィッシュの稚魚(受精後3日目~5日目)をアガロース中に固定し、視蓋ニューロンの自発的な神経活動および視覚刺激依存的な神経活動をイメージングしました。

CSU System
サンプル Gal4-UASシステム*2を用いたUAS:GCaMP7aゼブラフィッシュ
(受精後3~5日の稚魚)
システム 共焦点ユニット: CSU-W1 (pinhole: 50μm)
レーザ: 488nm (solid-state laser)
顕微鏡: Axio Imager (Carl Zeiss)
カメラ: iXon 888 (Carl Zeiss)
対物レンズ: W Plan-Apochromat 40x, W B-Achroplan 20x
ソフト: Metamorph
撮影条件 視蓋部(深さ180μm)を100msec露光で600枚を連続撮影 
ータル152秒(3.94fps)

結果

共焦点スキャナユニットCSU-W1 を用いるとゼブラフィッシュ稚魚脳の広い範囲が単一視野内に収まるため、高い空間解像度で視蓋の個々の神経細胞の活動を同時観察でき(図1)、与えた視覚刺激に特異的に反応するニューロンを同定できました。また、脳深部(深さ300μm)からの神経シグナルも観察可能であることがわかりました。

まとめ

生体脳の神経細胞集団のネットワーク活動を可視化することにより、、神経細胞同士の機能的結合を調べることが可能になります。カルシウムセンサーを視蓋のみならず他の領域でも発現させれば、脳の領域をまたぐような機能的神経回路の解析においても共焦点スキャナユニットCSU-W1 が威力を発揮すると考えられます。また、より高速なカメラを選択することによりさらに時間分解能を上げることができます。

*1 視蓋:中脳の一部で、魚類では視覚情報処理や運動に関与する
*2 Gal4-UASシステム:酵母の転写因子GAL4とその標的配列であるUASを使った転写調節機構で、導入遺伝子を特定の部位で発現させることができる

データご提供:国立遺伝学研究所 初期発生研究部門 教授 川上 浩一 先生、助教 武藤 彩先生
参考文献:Muto et al., Real-Time Visualization of Neuronal Activity during Perception, Current Biology 23(4):307-311


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