YOKOGAWAの役割
人々の健康と豊かな暮らしの実現に欠かせない医薬品。安全な医薬品を安心して使用できるように、医薬品プラントでは原材料の入荷から製造、出荷に至るまで、製造管理や品質管理の基準(GMP:Good Manufacturing Practice)に沿って、高品質で信頼性の高い製品が製造されています。
YOKOGAWAは医薬品プラント向けに、流量計、レベル(液位)計などの計測機器、pH計や導電率計などの分析機器、制御システム、情報システムを提供しています。情報システムでは、各製造工程での作業手順の指示、製造作業の記録および管理、品質情報や品質保証の管理業務を中心に、情報の活用と業務効率の向上を支援しています。
医薬品ができるまで
医薬品にはさまざまな種類と形態があり、化学合成や細胞培養によって製造されます。YOKOGAWAは従来の低分子医薬品(一般医薬品)、中分子医薬品(ペプチド医薬品など)、高分子医薬品(バイオ医薬品)の原薬の製造から製剤まで、幅広く貢献しています。
※ここでは低分子医薬品(一般医薬品)と高分子医薬品(バイオ医薬品)について紹介します。
低分子医薬品のうち、経口固形製剤の場合、医薬品の有効成分となる原薬は製剤プラントに運ばれ、使用用途、期待される効果、投与後に効果が現れるタイミングなどに合わせて、適した形状の製剤に加工されます。製剤工程の担当者は原材料の種類、必要な量、作業手順を確認しながら、作業を進めていきます。作業記録は製造実行システムによって管理されます。品質試験の結果と製造実行システムの記録により、適切に製造されたかを確認した後、医薬品は出荷されます。
原材料の入荷、保管
原薬や添加剤、包材など、医薬品の製造に必要な原材料の品質を確認した上で、製剤プラントに搬入し、原材料倉庫に保管して管理します。

秤量
製造計画に基づいた作業指示に従って、決まった原材料を必要な量だけ正確に量ります。

造粒
秤量した原材料を粉末の状態から 顆粒 の状態に加工します。条件、手順に従って、顆粒の大きさや形状が均一になるようにします。

混合
造粒した顆粒に添加剤を加えて混合機に入れ、成分が均一になるように混ぜ合わせます。

打錠
均一に混ぜ合わせた顆粒を打錠機に入れ、錠剤に成型します。成型した錠剤は定期的にサンプリングし、重量、厚さ、硬度などを測定します。

コーティング
光や湿気から錠剤を保護し、投与後に効果が現れるタイミングを調整するために、打錠した錠剤の表面に糖衣や薄いフィルム状の膜を作ります。

外観検査
カメラを使って、錠剤の形状、汚れ、欠け、割れ、色の変化などを検査し、不適合品を取り除きます。検査に合格した錠剤は包装工程に送られます。

包装
錠剤をあらかじめ決められた形態に包装します。添付文書とともに、個装箱を段ボールに入れて梱包し、製品倉庫に入庫します。

製品の保管
段ボールに梱包した錠剤を保管し、管理します。倉庫管理システムを使って、在庫の管理、入庫、出庫、搬送の指示を行い、誤出荷や作業ミスを防止します。

製品の出荷
出荷判定を行った後、医薬品の専門商社や卸売会社などへ製品を出荷します。

医薬品製造における情報管理
高品質で信頼性の高い医薬品を安定的に市場に供給するためは、GMPに則った製造管理や品質管理、品質の保証を徹底する必要があります。YOKOGAWAは、さまざまな情報システム製品の提供を通じて、生産活動と製造工程に関する情報を統合し活用することで、属人化を防ぎ、生産性の向上と品質の保証に貢献しています。
各情報システムの役割
生産活動を全般にわたり管理する(生産管理システム PMS:Production Management System)
生産、販売、購買、原価などの医薬品の生産に関連する情報を統合し、生産計画から製造・在庫・品質管理まで、製薬業務の効率化を実現します。また、生産計画に基づいて製造するために、製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)や品質情報管理システム(LIMS:Laboratory Information Management System)と連携します。
品質を保証する(品質マネジメントシステム QMS:Quality Management System)
変更や逸脱などの品質や安全性に影響を与える可能性がある事象が発生した場合や年次照査に備えて、品質情報管理システムや製造実行システムを含むあらゆる品質保証活動に関するデータの記録と管理を行い、品質と安全を確保します。
品質を検査する(品質情報管理システム LIMS:Laboratory Information Management System)
原料や製品の品質試験で測定する項目と規格、およびその結果を管理します。分析機器からのデータを使用して試験を行い、その実績を試験成績書として管理することで、検査データの不備や改ざん、不整合を防止し、品質検査の正確性を担保します。製造実行システムや生産管理システムと連携し、品質試験業務の効率化を支えています。
製造工程を管理する(製造実行システム MES:Manufacturing Execution System)
医薬品の製造にはさまざまな厳しい規制があり、製造管理や品質管理の徹底が求められます。製造実行システムは、製造計画に沿った製造の各工程における作業指示、実施内容、進捗状況、製造データを可視化、記録し、GMPに則った製造を可能にします。
物流を管理する(倉庫管理システム WMS:Warehouse Management System)
医薬品プラント内の原材料、中間品、完成品の管理場所、保管状態、容器の搬送指示、在庫を管理します。原料の取り違いや誤投入を防止し、作業の効率化を支援します。
環境を監視する(環境モニタリングシステム EMS:Environmental Monitoring System)
医薬品プラントでは、温度、湿度、室間差圧などの環境データのモニタリングが求められます。環境モニタリングシステムは、温度計、湿度計、圧力計からデータを収集し、記録計と連携することでリアルタイムにデータを記録、保存します。医薬品の製造が行われていない時間帯も含め、常に環境に問題がないかを監視することで、規制への対応とリスク管理に貢献します。
関連業種
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医薬品
変化の激しい現代では、今迄以上に経営判断には、スピードと正確性が求められています。
医薬品業界においても、ICT技術を活用したパラダイムシフト(QbD、連続生産)が起き、そうした潮流の中で如何に情報をキャッチアップしていくかが企業の課題です。
YOKOGAWAは、原薬・製剤・バイオ領域への1000を超えるシステムの導入実績を礎に、これからも医薬品産業の更なる発展に貢献して行きます。


