YOKOGAWAの役割
複雑な生産工程をもつさまざまな設備の効率的な運転と品質の安定化を支援
石油化学プラントでは、原油から取り出したナフサを原料とする石油化学製品を製造しています。化学反応により生成される副生物を取り除き、製品を精製していくこれらの工程は長く複雑なため、計測機器と制御システムには高い品質と信頼性が求められます。
YOKOGAWAは、貯蔵タンクや蒸留塔、配管、ポンプなどの設備や機器に設置する温度計、流量計、レベル(液位)計、圧力計などの計測機器に加え、計測データに応じて適正値になるように設備を管理し、運転状態を調整する制御システムを提供しています。数多くの製造現場で培ったノウハウと高度な技術力で、日々の安全かつ効率的な運転だけでなく、保守や保全など、プラントのライフサイクル全般にわたって支援しています。
石油化学製品ができるまで
陸上や海上の掘削リグ(プラットフォーム)の下にある 油井 に設置したウェルヘッド(坑口装置)から原油を生産します。パイプラインやタンカーで運ばれた原油は、石油精製プラントで蒸留され、ガソリン、灯油などの燃料やナフサに分離精製されます。ナフサを分解炉で熱分解し、蒸留してできるのが、エチレンやプロピレンなどの石油化学基礎製品です。そして、石油化学基礎製品を原料としたプラスチック、合成繊維原料、塗料原料などの石油化学誘導品ができます。これらは中間製品とも呼ばれます。さらに、これらを原料にして、私たちの身の回りにある製品が作られます。
石油化学プラントにおける計測と制御
エチレンプラント、石油化学誘導品プラントなどの設備や機器に取り付けられた温度計、流量計、レベル(液位)計、圧力計などの計測機器が、原料や製品の状態を常時計測しています。計測データや運転データは制御システムに収集され、中央制御室からプラント全体の監視、制御、管理などを行っており、24時間365日体制で、安全なプラントの操業、生産性の向上、設備の最大活用が図られています。
流量計
配管に設置し、単位時間当たりに中を流れる流体の体積や質量(流量)を測定します。

酸素濃度計
燃焼設備に設置し、燃焼炉内に含まれる酸素濃度を測定します。燃焼状態の監視や制御によって、CO2の削減や大気汚染物質の低減、省エネルギーが図られています。

ガスクロマトグラフ
多くの成分が混合した気体や揮発性の液体を分析します。クロマトグラフィーを利用して混合成分を個々の成分に分離し、それぞれの濃度を測定します。主に、原料や製品の品質管理に使用されます。

レベル計(圧力式)
タンクや反応器などの設備や機器に設置し、収容されている液体のレベル(液位)を測定し、残量の体積を容積に対する割合で算出します。

圧力計
機器や配管などに設置し、内部にある気体や液体の圧力を測定します。

中央制御室
制御システムに収集された計測データや運転データを元に、プラント全体の設備を集中的に監視、制御しています。重大な異常が発生した場合にはプラントを安全に停止させて、事故を未然に防ぐシステムもあります。

主要設備の計測と制御(蒸留塔)
物質ごとの沸点の違いを利用して、目的とする成分を取り出す設備が蒸留塔です。石油精製プラントの蒸留塔では原油からナフサやガソリンを精製し、エチレンプラントの蒸留塔ではナフサからエチレンやプロピレンなどの基礎製品を精製しています。蒸留塔とその周りの配管には、温度計、流量計、レベル(液位)計、圧力計などが取り付けられ、計測データが制御システムに常時送られています。制御システムは、それぞれの状態があらかじめ設定した目標値に近づくように、設備や機器の動作を管理し、運転の状態を調整します。例えば、急激な外気温の変化が沸点に影響して計測データが目標値から外れた場合には、制御システムがバルブを調節し流量を変化させて、蒸留塔の動きを正常値内に戻します。
蒸留塔入り口での原料の流量制御
ナフサを熱分解し、さまざまな成分が混ざった液体の原料が蒸留塔に入ります。原料の流量変動は、蒸留塔の制御の状態を乱す外的要因(外乱)となるため、流量計を使って配管内の流量を測定し、バルブで流量を調節することで、最適な状態を維持しています。
蒸留塔上部での蒸気の圧力制御
蒸留塔で精製されたエチレンは、塔頂部から気体となって出てきます。圧力の変動がエチレンの成分に影響しないよう圧力計で気体の圧力を測定し、リフラックスドラム(液体を還流させる装置)内の圧力と液面を調整します。冷やされて液体となったエチレンの一部を蒸留塔へ戻しながら純度を高めていきます。
蒸留塔から抜き出した液体の成分制御
目標とする純度のエチレンを効率良く取り出すためには、ガスクロマトグラフ内で液体を気化し、混合成分を個々の成分に分離させて分析する必要があります。リフラックスドラムを通って液体になったエチレンは、一定量をガスクロマトグラフで分析し、その結果をもとに、蒸留塔にポンプで戻す流量を制御します。蒸留塔の塔底部から留出させる混合液もガスクロマトグラフに送って成分を分析し、分析結果に応じて加熱機(リボイラー)を最適に制御することで、製品品質の維持と省エネルギーを実現しています。
関連業種
-
石油
日本の石油産業の各お客様は、プラントの老朽化や運転員の世代交代といった運転リスクの増大に対して、現場の保安力強化をはじめとする様々な取組みを進められています。
当社は、計測・制御・情報の分野で長年培ったノウハウと最新・最高の技術をベースに、日本の産業基盤を支えるお客様の課題解決ソリューションを提供し、お客様の将来の発展に向けた新たな価値を共創していきます。 -
化学
化学産業は石油化学、機能性化学、ライフサイエンスなど分野も広く、製造現場が抱える課題や解決方法は多様化しています。Digital Transformation (DX) により実現される「新しい働き方」についてお客様と共有し、共にプラントの価値最大化を目指します。
関連製品&ソリューション
-
ライフサイクルサービス
お客様に寄り添い、プラントの最適なライフサイクルと保全業務の効率化を実現する能力により、ライフサイクルに渡りプラントの長期安定稼働できるよう、保守・運用からトレーニングに至るまでのさまざまなサービスを提供します。
-
制御
コンパクトな装置から大規模プラントまで、あらゆる目的に応じた制御システムを提供します。また、特定の業種(アプリケーション)に特化した制御システムも取りそろえ、あらゆる生産現場のニーズにお応えします。
-
計測
生産プロセスの「現場」において、高品質と安全な操業を支え続けてきた計測技術を中核に、生産ライフサイクルを通して新しい価値を提供します。


