横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

再生医療等製品の製造自動化プラットフォームを開発するコンソーシアムを構築

2026年4月13日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 取締役 代表執行役社長:重野 邦正)は、創薬シーズ保有機関※1や創薬装置メーカー、IT企業など複数の企業や機関とともに、QbD(Quality by Design)※2によって再生医療等製品※3の製造自動化プラットフォームの開発を進めるコンソーシアムを発足させましたのでお知らせします。このプラットフォームの研究開発テーマは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)の令和7年度「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」に採択※4されました。

発足の背景

 再生医療等製品の製造現場では、バッチごとの品質のばらつきや手作業への依存、標準化やデジタル化の遅れなどの課題があり、製造コスト削減と安定供給に対する構造的な障壁となっています。これらの課題を解決するために製造自動化の検討が国内外で進んでいます。製造自動化装置を含む再生医療等製品周辺産業の世界市場のCAGR(年平均成長率)は約12%※5に及ぶと言われています。しかし既存の製造自動化装置の汎用性や柔軟性は十分でなく、プロトコル変更時の負荷や現場作業員への依存、標準化や薬事対応での課題が残っています。高品質な再生医療等製品を安定かつ低コストで供給するためには、品質管理や省力化、生産効率向上によるコスト低減に加えて、国際規格適合といった複数の要求を同時に満たす製造基盤が不可欠です。また、多種多様な再生医療等製品が市場に出ているため、CDMO※6には1つの装置で複数の再生医療等製品の製造に対応したいというニーズがあります。
 このような背景から、当社は、分担研究機関である創薬シーズ保有機関や創薬装置メーカー、IT企業など複数機関とともに再生医療の産業化障壁を解消するためのコンソーシアムを立ち上げました。このコンソーシアムでは、QbD準拠・完全閉鎖系※7バッグを用いた再生医療等製品の製造自動化プラットフォームの開発を目指します。
 今回当社は、QbD、自動化、AIを組み合わせた再生医療等製品の製造自動化プラットフォームの構想を提案し、本プラットフォームの実現において強みとなる技術を保有する企業、機関に呼び掛けました。当社は、本プラットフォームが高品質化、生産安定化、コスト削減、多品種対応の4つの課題を同時に解決し、再生医療等製品の製造技術の底上げに貢献できると考え、AMEDの令和7年度「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療・細胞治療次世代製造技術開発)」に応募しました。事業期間は2025年12月から2028年3月31日までです。

目指す提供価値

 本プラットフォームで実現を目指す提供価値は次のとおりです。

  1. 高品質化
    QbD準拠と自動化によりあらゆる再生医療等製品の高品質化を目指します。
  2. 生産の安定化
    109細胞(10億個)オーダーの再生医療等製品の製造において、手作業で行った時と比較して逸脱数を削減することを目指します。(目標値:2028年3月までに75%削減)
  3. コスト削減
    人件費および培養関連消耗品を削減することで、手作業で行った時と比較して製造コストを削減することを目指します。(目標値:2028年3月までに65%削減)
  4. 多品種生産に対応可能
    モジュール型完全閉鎖系の製造自動化プラットフォームによって同時に2種類以上の創薬シーズの製造に対応することを目指します。

 本プラットフォームによって、国内外のCDMO、大手製薬会社、ベンチャー企業の生産活動におけるQbDの実現と、多品種の創薬シーズの高品質かつ低コストでの製造を支援します。また最終品質や薬効に基づく製造工程の設計・評価・改善のサイクルを循環させ、デザインスペース※8の再設計の継続を可能にすることで、工程の最適化に貢献することを目指します。これらにより再生医療等製品の国内外製造技術の底上げに寄与していきます。
 まずは、AMED事業内での開発状況を踏まえ、コンソーシアム内で販売体制を整備したうえで、国内のCDMO、再生医療等製品メーカー、バイオ医薬品メーカー、大学附属病院の細胞加工施設を対象に販売を開始することを目指します。

各社の役割と提供価値

  コンソーシアムに参加する各企業や各機関の役割は下記のとおりです。

  • 横河電機株式会社
    役割:全体統括および産業化・技術実装のけん引(研究代表者)、細胞画像解析プラットフォームの提供
  • 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
    役割:基礎および臨床研究のけん引(副代表者)、iPS細胞由来骨格筋幹細胞の自動製造法の確立/対象疾患:筋ジストロフィー
  • 東洋製罐グループホールディングス株式会社
    役割:自動化用細胞培養バッグおよび細胞はく離装置の開発
  • ローツェライフサイエンス株式会社
    役割:分注モジュール※9およびインキュベーションモニタリングシステムの開発
  • 藤田医科大学国際再生医療センター
    役割:CAR-γδT※10細胞の自動製造方法の確立/対象疾患:多発性骨髄腫、骨肉腫
  • 株式会社幹細胞&デバイス研究所(SCAD)
    役割:ES細胞※11由来シュワン細胞※12の自動製造方法の確立/対象疾患:脊髄損傷、手根管症候群などの神経損傷
  • 株式会社SBX
    役割:QbD支援ソフトウェアおよび最適化アルゴリズムの開発
  • 株式会社幹細胞イノベーション研究所
    幹細胞の培養と分化技術、シーズ設計、画像AI評価、工程連携、CPPs※13/CQAs※14抽出などに関する助言
  • アステラス製薬株式会社
    自動化システム連携・制御、データ連携、各種創薬応用に関する助言
  • 株式会社ロートセルファクトリー東京
    CDMOとして全開発項目に対する現場適用・社会実装観点での課題抽出および助言
  • セルリソーシズ株式会社
    CDMOとして全開発項目に対する現場適用・社会実装観点での課題抽出および助言

本コンソーシアム体制図

本コンソーシアム体制図
本コンソーシアム体制図

※1 創薬シーズ保有機関
創薬技術をもつ大学や企業
※2 QbD(Quality by Design)
事前の目標設定に始まり、製品および工程の理解や工程管理に重点を置いた、立証された科学および品質リスクマネジメントに基づく体系的な開発手法
※3 再生医療等製品
再生医療の分野で使用される製品
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/ctp/0007.html
※4 採択された研究開発課題名:
「細胞画像による品質評価機能を備えたQbD準拠・全閉鎖系バッグ自動培養プラットフォーム」
※5 2025年版 再生医療・細胞医薬品製造技術の最新動向とビジネス展望(株式会社BBブリッジ)参照
※6 CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)
医薬品の開発業務や製造業務を受託する企業
※7 完全閉鎖系
外部からの汚染を防ぎつつ、細胞や薬剤の生産を行う技術
※8 デザインスペース
品質を確保することが立証されている入力変数(原料の性質など)と工程パラメータの多次元的な組み合わせと相互作用のこと。QbDにおいて、製品の特性や製造プロセスに関連する重要な要素を考慮し、最適な条件を定義するための枠組み
※9 分注モジュール
試料を正確に一定量ずつ吐出・分配するモジュール
※10 CAR-γδT(カーガンマデルタティー)
CAR-T細胞療法はT細胞に人工的な受容体であるCARを導入することでがん細胞を特異的に認識し攻撃。CAR-T細胞療法の治療効果は患者内でのCAR-T細胞の状態に強く影響する。γδT細胞は疲弊化が起きにくく、体内の生存に有利に働くことから治療効果が持続することが期待できる
※11 ES細胞(Embryonic Stem Cell)
ヒトや動物の発生初期段階である胚盤胞から取り出して作成される未分化な多能性幹細胞株
※12 シュワン細胞
末梢神経に存在する細胞で神経信号の伝達を助ける細胞、傷害を受けた時には神経修復にも働く
※13 CPPs(Critical Process Parameters)
工程パラメータのうち、その変動が重要品質特性に影響を及ぼすもの。したがって、その工程で要求される品質が得られることを保証するためにモニタリングや管理を要するもの
※14 CQAs(Critical Quality Attributes)
要求される製品品質を保証するため、適切な限度内、範囲内、分布内であるべき物理学的、化学的、生物学的、微生物学的特性または性質

以上

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