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循環型社会を通じ中東と日本をつなぐ(2)
未来共創イニシアチブ

循環型社会を通じ中東と日本をつなぐ(1)

※本記事では、所属する組織ではなく、個人の見解として語っていただきました
※所属や役職は記事制作時(2025年11月)のものです
※取材場所は、MIRAI LAB PALETTE(MLP)

 

*(1)からの続き

中東5,000年の分母から俯瞰する超長期の視点

超長期の未来を考えるときに、過去をさかのぼって知ることも大切である。玉木(直)氏は、中東の長い歴史を振り返る重要性を、次のように指摘した。

「中東には、5,000年の文明の歴史があります。それを見渡せば、全く違う歴史観が見えてきます。

約1万2,000年前に農業革命が起こり、人々が定住して土地の所有が始まり、やがて王国の建設に発展。世界四大文明のうち、三つが中東で形成されました。チグリス・ユーフラテス川のメソポタミア文明、ナイル川のエジプト文明、インダス川のインダス文明。中東が栄えた大きな要因は、大河のある肥沃な土地があったことです。そのため食料を十分に確保できたし、豊富な木材を燃やしてエネルギーとし、人類の文明に役立てることができました。中東がアジア・ヨーロッパ・アフリカの結節点だったため、人、モノ、金が流れて文明・文化が交流し、発展しました」

 

玉木直季氏

つまり、早くから文明が発展する要素を全て持ち合わせていたのが、中東だったという訳だ。実は、直近100年の“火薬庫”のような状況を除けば、中東はむしろ世界の最先端を走る地域だったという。ではなぜ、現代の私たちは、中東にテロや戦争といった負のイメージのみを思い浮かべるのだろうか?

「それは、第一次世界大戦後の100年ほどの短期的な歴史しか見ていないからです。石油の世紀に入ったこともあり、中東では争い事が絶えず、『大国が石油の利権を争っている』イメージばかりが植え付けられました。

私たちは、つい自分たちの生きている20~21世紀を見るだけで判断してしまいます。しかし、それ以前の4,900年もの間、中東こそが世界の最先端でした。コーヒー、ワイン、ビールといった食文化も、中東からヨーロッパへ広がったものです。ヨーロッパで起きた『オリエンタリズム』というのは、中東、つまり『東の国から文化・文明を学ぶ』という意味なんです」

大局観を失った「分断」の弊害

玉木(直)氏は、中東諸国は、この100年で、欧州による植民地支配が行われ、半ば一方的に国境線を引かれたため分断されたが、その理由は「為政者たちが地域をコントロールするため」だったという。

「自然で起きている法則を見つけ出すのが、科学です。本来は、あるがままに感じ取ればいいはずなんですが、人間が自然界で起きていることを理解するために、どんどん細分化してしまったのです」

局所的な理解が進み、他の分野のことが分からず、全体を把握しづらくなるという弊害が起きる。その結果、物事の本質を見失ってしまうのだ。

玉木直季氏

企業も同様に、大企業になればなるほど、組織が細分化されている。他の部署が何をやっているか分からないので、ナレッジが共有されない。そうすると、全体を俯瞰したり、組織の総合力を生かして集まった叡智が発揮されなくなってしまう。

「しかし、組織が細分化されても、自分の信念や思想まで分けられる訳ではないですよね。そこに気づくと、『既存の枠を超えたつながりが必要だ』と考える人が、増えるのではないでしょうか?」

「つながり」に大事なのは、興味やワクワク

YOKOGAWAグループのパーパスは、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」だ。この「つなぐ力」を強化するため、世界中にネットワークを持つ玉木(直)氏は何を大事にしているのだろうか?

「それは、相手の人や国、その土地の文化や歴史など、『相手に興味を持つこと』だと思います。そこから人と人が出会い、つながるのだと思います」

同氏によると、人間を動かすエネルギーには、次の3要素があるという。

「食べること、睡眠、そしてワクワクです。義務感や受け身で仕事をしたり、お付き合いをしても、それ以上には広がらない。でも相手に興味を持てば、自分をすり減らすことなく、ワクワクしながら深掘りできる。このように人と接していけば、共鳴する人が集まってきます。そうして人と人がつながり、ネットワークが広がっていくのです」

玉木直季氏

GPPはTrusted Network(信頼のネットワーク)

最後に、未来共創イニシアチブの活動である「Green Phoenix Project(GPP)」に対する印象について、玉木(直)氏に聞いてみた。

「社会を良くしていく活動だな、と感じます。説明しなくても、話の方向性が合う。違うことをやっていても、根っこに流れているものは同じ。言わばGPPは、『Trusted Network』ですね。信頼された人たちが、また別の信頼する人たちを紹介することで、良質なコミュニティーとなっていきます」

加えて、GPPは「人の心を触るプロジェクト」とも感じたという。

「場に流れている空気も、参加者が醸し出しているオーラからも、そう感じたんです。彼らは“知識”というより、“叡智”を学ぼうとしているように見えます。かつて日本には、寺小屋という教育システムがありましたが、それに近いように思います。

明治維新以降、日本は大量生産・大量消費・大量廃棄の時代に入り、『心に触れる学び』を次第に失ってしまったように思います。

日本の高校では、15教科もの科目を学びますが、イギリスでは3~4科目に絞るんです。これは、広く浅く知識を得るのではなく、『考え方の学び』をするためです。そうすると、たとえ新しい状況に置かれても、自分の頭で考えられる。他人と違っていてもよく、そこには正解も不正解もないのです」

玉木直季氏

 

中東の長い文明の歴史と、近現代の分断統治という視点から、現代の企業組織が抱える課題について深く考えさせられた。また、未来だけではなく過去について超長期の視点で考えることや、「つながり」の重要性についても改めて認識することができた。

そして、その解決策の一つとして、日本が古来より持つ「もったいない」精神や自然との共生、寺子屋のような学びのシステムが、現代においても大きな価値を持つことを知った。

視座を高め、視野を広げるための学びは、人が思考する上で欠かせない。玉木(直)氏との出会いに刺激を受けて、未来共創イニシアチブの活動はさらに成長し、新たなつながりを生み出していく。

 

集合写真
左から:清水 香織(YOKOGAWA)、玉木 直季(チャタムハウス)、玉木 伸之(YOKOGAWA)、花井 良(YOKOGAWA)

 

 

 

玉木直季氏

玉木 直季
英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)
フェロー
ロンドンビジネススクール経営学修士、元ラクロス日本代表
地球在住(リヤド)

趣味:循環型社会の探究

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