
今回は、学校教育の変革に挑む31歳の若きリーダー、森俊介氏を紹介する。一般社団法人国際エデュテイメント協会代表の同氏は、小学・中学・高校・大学向けの教材開発や教育プログラムを提供している。 学校教育市場への参入の壁は高く、さまざまな立場のステークホルダー対応や資金面での苦労を伴う。 しかし、学生たちに向けて「今、これからを生きる力を。」という強い信念を掲げ、日々、教育界の変革に挑戦している。
国際エデュテイメント協会とYOKOGAWAは、2021年から未来共創イニシアチブを通じ、関係を構築。本記事では、森氏が描く独自の教育ビジョンと、未来共創イニシアチブとの共創で期待される価値や、未来への想いを伝える。
※本記事では、所属する組織ではなく、個人の見解として語っていただきました
※所属や役職は記事制作時(2025年8月)のものです
※取材場所は、MIRAI LAB PALETTE(MLP)
日本の学校教育が抱える課題
「いじめ」「教育格差」「教師の過重労働」など、日本の学校教育が抱える課題は山積みだ。
戦後に制定された学制改革(1946年)や、教育基本法(1947年)を基盤とする、現代日本の学校教育。その後、時代の変化に応じて見直されたというが、その内容は社会のニーズに応じたカリキュラムとなっているのだろうか? 森氏は、現状について語る。
「いまだに“知識の詰め込み”や、正解を求める授業が多く存在しますね。しかし変化が激しい現代、正解があるものなど、世の中にほとんどありません。また今は生成AIの登場で、ネットを使えば『答えらしきもの』が簡単に得られます。僕は『自ら課題を設定し、問題解決ができるようになる』教育の方が、はるかに重要だと考えますね」

文部科学省は、2022年度から高校で「総合的な学習(探究)の時間」を導入。だが、それでも「課題は多い」と森氏は指摘する。
「この授業では、最も難しいとも言える『自分の人生』について考える機会が得られます。各教科で教養を身に付けたものを探究の時間に活かす。その中で、深い問いを立て、自分がやりたい領域を見つけられるはずです。でも実際には、授業が1週間に1~2時間程度しかなく、十分ではありません。また、各教科も分断されて、知識詰め込み型が中心のまま。これでは、せっかく学んだ知識も、探究の時間で活用できないんです」
このような課題を改善し、実社会に活かせる教育プログラムを提供すべく、国際エデュテイメント協会が2018年に設立された。森氏は、2020年4月から代表を務めている。教育(エデュケーション)と楽しさ(エンターテインメント)を掛け合わせた造語「エデュテイメント」を組織の名称にし、“楽しみながら学ぶ重要性”を掲げている。
「VUCAの時代、『幸せに生きるために必要なことは何か?』と、常に考えています。激しい変化の時代、若者たちが『今、これからを生きる力』を学べる環境づくりを、支援したいんです」

ベルギーで培った自由な発想、そしてビジネスコンテスト優勝へ
現在は、海外での経験を活かして若きリーダーとして活躍する森氏だが、千葉で生まれ、小学校から地元の公立校に通い、地元だけを知る子ども時代を過ごした。しかし、中学2年生の夏休みに、父の仕事の都合でベルギーへ引っ越した。そこは、これまでに体験したことのないグローバルな世界が広がっていた。
「首都ブリュッセルのインターナショナルスクールは、約80カ国の生徒が通う多国籍な環境でした。学校での多様な考え方や、日本と違う生活スタイルを通して、視野が広がりました。そして、価値観が大きく変わり、自由な発想を持てるようになったのです」

森氏は、そこで「国際バカロレア(IB)」の教育を受けた。IBはスイス発の教育プログラムで、生徒が主体的かつ探究的に学び、グローバル社会で求められる資質や能力を伸ばすことを目指している。
約3年間、ベルギーで過ごした後に帰国し、高校3年次から日本の高校に編入。大学には帰国子女枠で合格した。入学を待つまでの約3カ月の間に、「高校生のための起業家講座」に参加。これが彼にとっての、大きな転機となる。
「毎週、起業家から学び、まだ存在していないサービスをゼロから生み出して社会に貢献できることを知りました。すごく新鮮で、衝撃的だったんです。当時は、ちょうどガラケー(旧式の携帯電話)からスマートフォンに切り替わるタイミングでした。そこで考えたのが、不要になったガラケーを寄付してもらい、その中に教育動画をインストールして、カンボジアの村に映像授業を提供するというビジネスモデルです」
このアイデアでビジネスコンテストに応募したところ、見事に優勝。賞金100万円を獲得した。そこから森氏のアントレプレナーシップに火が付いた。幼稚園から高校までサッカー中心だった彼の人生が、ビジネスへと大きく舵を切ったのだ。

“Being(在り方)”の探究
森氏は現在、ビジネスリーダーとして、日本の学校教育に変革をもたらそうと、日々挑戦を続けている。現場をよく知る彼に、日本の学生や教師が抱える課題を聞いてみた。
「それは、“Being(在り方)を考える機会が少ないこと”ですね。これは、生徒だけでなく、教師も同様です。
『Be-Do-Have』という考え方があります。Doは『何をしたいか』、Haveは『何を持ちたいか』、Beは『どう在りたいのか』を示します。例えば、部活に行くとか、資格を取るという行動はDoやHaveの領域で、これは学生が普段やっていることです。でも、予測不可能な時代において“Being”について考える事こそが重要なのに、それを考える十分な時間や機会がないのです。
生徒は、授業や塾、部活で忙しく、先生も『教師としてどう在りたいか』を考える余裕がない。どんな人生を歩みたいのか?自分にとって何が幸せか?という、“Being”の部分が欠けている。実社会では、“自分らしく”と言われ始めていますが、教育現場で行われていることとの間には、まだ乖離があるように感じます。
日本の学生は、『将来、どうなりたい?』と聞かれても、『公務員になりたい』とか『TOEICで高い点を取りたい』、『良い会社に就職したい』という返事しか出てきません。『こんな人生を歩んで幸せになりたい』というような言葉が出てこないんです。自分で仕事も選べる時代になっているのに、多くの若者たちは与えられたレールの上を進もうとする傾向があります」

ここに問題意識を持った森氏は、さまざまな方法を模索していた。その時に出会ったのが、「未来共創イニシアチブ」だったのである。彼は、この活動の魅力をどのように感じたのだろうか?
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インタビュー
「未来共創イニシアチブ」に関わる社内外の関係者が、対話を通じ、多様な視点で語る活動の価値や意義

活動概要
シナリオプランニングを活用した次世代リーダー育成と、境界を超えた共創ネットワーク構築を目的とした活動の紹介

活動への想い
「正解のない時代」に生まれた、活動発足の背景や志

未来シナリオ
未来を担う若手社員たちが、シナリオプランニングと共創的な対話で描いた「未来シナリオ」

シナリオアンバサダー
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未来共創ネットワーク
YOKOGAWAグループ内外のサポーターやパートナー、個社と緩く繋がり、産官学連携で築くネットワーク

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米国発テックカルチャー・メディア『WIRED』に掲載された、「未来共創イニシアチブ」の英文記事
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