天然ガス坑井の圧力監視の重要性
天然ガスが枯渇した坑井は、地層の変動や温度変化により周囲の地層から流体が再充填され、圧力が上昇することがあります。これにより、ガス漏れや爆発といった事故が発生する恐れがあるため、圧力の適切な管理が不可欠です。そのため、従来は坑井の坑口装置に取り付けられた圧力計を目視で確認し、バルブを操作して圧力を管理する必要がありました。しかし、海洋プラットフォームの坑井には専用の作業船やヘリコプターでの移動が必要となり、監視コストが高額になります。さらに、天候によっては現場に到達できない場合もあります。
問題解決に向けた現場の課題
監視コストの削減
巡回点検による監視は、圧力が正常であることを確認するだけでもコストがかかるため、監視システムの導入を検討せざるを得ませんでした。しかし、有線式センサで圧力を監視するには、通信線や電源線の敷設が必要となり、多額の工事費用が発生します。一方、リモートで監視を行うには、海を跨ぐ長距離無線通信インフラの構築が課題となりました。

産業用IoT向けソリューション Sushi Sensor

長距離・低消費電力通信に優れたLoRaWAN®
Sushi Sensorは長距離・低消費電力通信に優れたLPWAと呼ばれる無線通信規格のうちの一つである“LoRaWAN”を採用しています。通信環境の悪い場所でも約1Km、見通しの良い海上ではさらに長距離の通信が可能です。 電池駆動のため配線工事が不要で容易に設置できます。
耐環境性に優れたハードウェア
Sushi Sensorは厳しい環境で使用されることを想定した堅牢な設計です。防塵・防水性能IP66/67に準拠し、可燃性ガスなどを扱うエリアでも設置可能な防爆認証を取得しています。
監視頻度の向上
Sushi Sensorの無線圧力センサは、1分~3日周期でデータ収集が可能です。従来の巡回点検よりも高い頻度で圧力を監視できます。
ベネフィット
ある石油・ガス企業は沖合に数百の坑井を所有しており、数週間に1度の巡回点検の監視コストが大きな負担となっていました。
そこでYOKOGAWAは「産業用IoT無線ソリューションSushi Sensor」を提案し、坑口装置に設置した無線圧力センサから約4km*離れたゲートウェ イまでの無線通信を実現しました。これにより圧力監視にかかるコストを大幅に削減し、従来よりも高い頻度での監視が可能になりました。
現在では、圧力がしきい値を超えた際にアラートを受け取り、必要に応じてバルブを操作する運用に移行しています。海洋プラットフォームへの巡 回回数が減ったことで、作業員の安全管理にも貢献しています。
* 通信最大距離は設置条件により変わります
坑口装置のクリスマスツリー
上部は形がクリスマスツリーに似ていることからこう呼ばれる
システム構成例
業種
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ガス・LNG
最適な管理・制御・監視・支援システムや現場機器・分析計や計測器、保守サービスなどのソリューション・製品・保守を通じ、お客様のビジネスパートナーとしてガス事業の持続的な発展と環境保護の両立に貢献し、エネルギー産業の未来を支える重要な役割を果たし総合エネルギー供給事業の発展に貢献します。
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石油
日本の石油産業の各お客様は、プラントの老朽化や運転員の世代交代といった運転リスクの増大に対して、現場の保安力強化をはじめとする様々な取組みを進められています。
当社は、計測・制御・情報の分野で長年培ったノウハウと最新・最高の技術をベースに、日本の産業基盤を支えるお客様の課題解決ソリューションを提供し、お客様の将来の発展に向けた新たな価値を共創していきます。
関連製品&ソリューション
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無線圧力センサ
本製品はIndustrial IoT(IIoT)向け無線圧力センサです。XS110A無線通信モジュールとXS530圧力測定モジュールを組み合わせることで、電池駆動の無線圧力センサとして動作します。気体、液体のゲージ圧を測定し、無線で送信します。
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Sushi Sensor
省電力・長距離の通信を実現する広域無線通信方式LoRaWANに対応し、耐環境性に優れたIndustrial IoT(IIoT)向け無線ソリューション
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広域モニタリングシステム
操業の現場で現在起きている各種課題の解決を、集中管理/個別分散したデータをクラウド上に集約しデータの統合管理と遠隔監視を行うことにより、広域モニタリングシステムがサポートします。IT知識は不要です。クラウド活用を手軽に小さく始めてみませんか?