生産ラインのポンプやマニホールドの保全における「見える化」
長距離で複数の生産ラインを状態に合わせて保全することは、安全な操業行ううえで欠かせないものです。生産ラインには多種多様な生産設備があり、測定対象も多岐にわたります。そのような中で、長年使用してきた生産設備に新たな測定機器を追加することは簡単ではありません。人員不足で年々作業員の確保が難しい状況下でもトラブルを未然に発見できるようにするにはどうするべきか。この困難な課題に対する解として、トラブルや不具合の兆候を事前にとらえる「予知保全」に注目が集まっています。
生産設備の老朽化や人手不足が生産ラインの安全を脅かしている
DX(デジタル・トランスフォーメーション)が社会的なキーワードになっている現在、「ものづくり」の現場ではデータとIT を活用して業務を変革する動きが加速しています。しかし、多くの企業が置かれた現状をみると、慢性的な人手不足による保全人員の確保難や各種生産設備の老朽化、さらにコロナ禍による影響の深刻化と、DX 推進に先んじて解決しなければならない課題が山積しています。
これらの課題を克服するため、これまで人(担当者)が行ってきた生産設備機器の診断、測定業務をデジタル装置に置き換えて自動化する取り組みが進められています。ところが長年にわたって稼動する旧型の生産設備においては、その仕様上、新たな測定機器の追加が困難、設置するスペースが確保できない、といった理由で、装置の導入が進んでいない状況が発生しています。
そして、測定されたデータは生産ライン全体で一元的に管理する必要があるのですが、すべての測定データを単一システムに統合することは容易ではありません。また、新旧の生産設備が混在するラインでは、自動化された部分と人手に頼る部分を切り離して管理する形になってしまうため、これが効率化を妨げる要因となっています。
DX の実現をめざし、企業は積極的に生産設備の更新を実施していますが、すべてを一度に行うことは現実的ではありません。とりわけ複数、長距離のラインを保有する企業では、生産性を落とさず業務を継続する観点からもエリアを分けて部分的に更新を行っています。このような場合、既存の生産設備にも簡単に追加可能な測定装置を導入することは、大きなメリットを持っています。

保全管理の「自動化と省力化」が抜本的な見直しのためのキーワード
お客様が抱えるこれらの課題を解決するため、当社では多彩なソリューションを開発し、ご提案しています。生産ラインで発生しうるトラブルの予兆を検知し、安全な操業を実現するための方法について、3つの事例を挙げてご紹介しましょう。
【事例 1】生産設備の点検や交換をタイミング良く行いたい
あらゆる生産設備は、長期間稼動することにより次第に劣化していきます。その兆候を把握するためには、生産設備のさまざまな場所に測定ポイントを設置し、データを高速に同時測定することが重要です。信頼性の高いデータの提供によりメンテナンス工数を削減し、機会損失の低減を図ることで、最適なタイミングで点検・交換の実施が可能です。
【事例 2】劣化診断を行いたいが、性能的に現在の生産設備に設置できるサイズのものがない
生産設備は主に省スペースの観点から、すき間や空きスペースを設けない構造となる場合が多く、特に旧型の生産設備では新しい装置を組み込むことが難しいケースが少なくありません。測定機器は可能な限り小型なものが望ましいため、既存の生産設備のすき間に設置することができる「名刺サイズ」の製品をご提供します。
【事例 3】ノイズ環境下にある生産設備の故障を防ぎたい
稼動中にノイズが発生する環境では正確な測定データの把握が難しく、結果として生産設備のチョコ停(空転ロス)や故障といった状況に陥る危険性が高くなります。入力チャネル間の絶縁と耐ノイズ性を高めることにより、安全な運用を実現します。
VZ20X の導入で高精度の測定と監視体制を実現し予知保全を促進する
当社の「マルチセンシングリモートI/O アナログセンシングユニットVZ20X」は、高速・高精度・高耐圧で多チャネルの同期測定が行える超小型ユニットです。
測定したアナログ入力データはイーサネット経由で上位システムへ送られます。確かなセンシングにより、デジタル化されていない既存の生産設備の状況を「見える化」し、IoT やAI を取り入れることで劣化兆候をとらえ、予知保全などを促進します。
具体的な効果をご紹介します。
VZ20X は、直流電圧、統一信号、4線式抵抗、熱電対(TC)、3 線式/4 線式 測温抵抗体(RTD)を1台で8チャネルまで高速1ms サンプリングで測定し、多チャネル(15台120チャネルまで)で同時測定することができます。そのため分散している生産設備をリモートで監視するのに最適です。1台でマルチ測定に対応するため、種類ごとの在庫は不要です。また、入力間は絶縁されているため、ノイズ環境でも安心です。
その他にも、複数のVZ20X をデイジーチェーンで接続することにより、複数の長い生産ラインの生産設備を、データロギングソフトウェア GA10 で集中監視する環境が構築できます。小型・軽量の本体は、測定対象の近くにコンパクトに設置することが可能です。生産設備の状態を正確なセンシングによって的確に捉え、故障リスクの軽減に貢献するとともに、お客様が取り組まれている生産性向上や生産設備保全の効率化といった課題解決に貢献します。

管理が大変な長距離の生産ラインこそ省力化と安全の両立を
「ものづくり」の現場において、生産設備の停止や性能低下は業務に多大な影響をもたらします。このような事態を未然に防ぐ方法のひとつが、故障や不具合の兆候をあらかじめ察知し、最適なタイミングで保全を行う「予知保全」であり、そのための材料を測定データとしてご提供するのがVZ20X です。
生産設備の更新や人手不足の解消は簡単なものではありませんが、こまやかな管理や保全が困難な複数、長距離の生産ラインの各所にVZ20X を設置し、生産設備全体を一元管理できる仕組みを整備することは、予知保全、そしてDXを実現するための有効な第一歩となります。
アナログセンシングユニットVZ20X の製品情報はこちらからご確認ください。
詳細はこちらよりお気軽にお問い合わせ下さい。
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VZ20Xは、生産設備の性能低下や故障を未然に防ぐ「予知保全(予兆保全)」に貢献するデータ測定機器です。設備の点検や交換を最適なタイミングで実施するソリューションとして、故障による稼働率や安全性低下の課題を解決します。