横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

Vol.62 No.1 (2019)

No.1 SDGs 特集
-P&Wビジネス,アナライザービジネス-

巻頭言 来世代に向けた「持続可能な開発のアジェンダ」(PDF:223KB/2ページ)

  • 古川 千佳*1

*1 経営管理本部 経営管理センター サステナビリティ推進部長


「Three goals」を実現するYOKOGAWAの変革 (PDF:795KB/8ページ)

  • 上原 茂義*1

*1 IAシステム&サービス事業本部

   YOKOGAWAは,未来世代におけるより豊かな人間社会の実現に貢献していくために,2050年に向けて目指すサステナビリティ(持続性)目標を「Three goals」とする,サステナビリティ貢献宣言を定めた。創業の精神,それを受け継ぐ企業理念「より豊かな人間社会の実現に貢献」,およびその理念を基礎とする既存事業が,極めて「持続可能な開発」という考え方と親和性が高かったことから,YOKOGAWAはその貢献に向けた活動を認められつつある。しかし,Three goalsを実現するためには,多くの変革が必要である。
   本稿では,YOKOGAWAが6年にわたる中期経営計画の中で実現しようとしている変革を解説し,Three goalsの実現に向けた展望を述べる。


WEBFREX3ES電池電極向け厚さ測定システム (PDF:803KB/6ページ)

  • 岸野 貴昭*1
  • 萩原 芳彦*1
  • 原口 武大*1

*1 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター P&Wソリューション統括部

   SDGs(Sustainable Development Goals)をはじめとする近年の地球環境保護政策により,ガソリン自動車から電気自動車へのシフトが起き,それに用いられるLiイオン電池の更なる高容量化,高品質化のため,電池電極製造に対する品質管理要求はより厳しさを増している。
   WEBFREX3ESシステムは電池電極板の塗工量をオンラインで測定・制御するシステムである。WEBFREX3ESはリニアサーボ駆動方式の採用により,高速スキャンと高い同期精度を実現し,ローラ・ベルトレス機構によりクリーンに使用でき,保守の簡易化を実現した。また正極・負極の材質に対応したセンサのラインナップを揃えるとともに,幅方向の分解能を高める要望にも応え,塗工量の均一性と電池性能の品質管理向上に貢献してきた。本論文では,Liイオン電池市場,業界動向などにも触れ,WEBFREX3ESシステムの機能,特徴を説明する。


リチウムイオン電池製造・活用におけるソリューション (PDF:1537KB/8ページ)

  • 猪股 顕文*1
  • 田谷 英治*2
  • 大森 靖*3
  • 新福 敬介*1
  • 数見 昌弘*4

*1 横河ソリューションサービス株式会社 ソリューションビジネス本部 インダストリアルソリューションセンター4部
*2 横河ソリューションサービス株式会社 ソリューションビジネス本部 インダストリアルソリューションセンター
*3 IAシステム&サービス事業本部 システム事業センター プラント情報ビジネス開発部
*4 マーケティング本部 イノベーションセンター インキュベーション部

   昨今,EV(Electric Vehicles)の開発普及が盛んである。米国のカリフォルニア州や中国,欧州などは大気汚染に対する取組みとして,ガソリン車に対して規制を設けている。その中で,リチウムイオン電池はクリーンな動力としてEV に活用され,SDGs(Sustainable Development Goals)に対する貢献度は高い。また,車載用リチウムイオン電池は,EVの動力源としての役割を終えた後,リユースにより蓄電池としての活用が期待される。このことは,我が国が目指す循環型社会実現の上でも大きく期待されるところである。本稿においては,高性能なスペックを出すことが製造面・活用面ともに難しいとされるリチウムイオン電池の,製造を支援するソリューション,およびリユース領域での蓄電池としての活用を支援するソリューションを紹介する。


プラントビッグデータによる連携最適化ソリューション (PDF:880KB/4ページ)

  • 和田 健一郎*1
  • 宮本 浩幸*1
  • 佐々木 尚史*1

*1 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター P&Wソリューション統括部

   既設のプラントにおいては,操業の効率化を目指した制御性の改善活動が続けられている。しかし,その取り組みの多くは,個別のプロセスを最適化する観点にとどまっている。本稿では,プロセス全体を最適化する視点から,複数プロセスからなるプラントの制御性を改善する当社の取り組みを紹介する。現場オペレータの視点では不可能な,膨大なデータに対する解析および最適な制御パラメータの算出についての技術概要を示す。さらに,製紙工場および化学工場での適用事例を紹介する。


オンライン近赤外線厚さ計WG51S2 (PDF:752KB/6ページ)

  • 市沢 康史*1
  • 節田 和紀*1
  • 西田 和史*1

*1 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター P&Wソリューション統括部

   オンラインでのフィルム厚さ測定方式には接触式/非接触式の二つの方式があるが,製品への傷付き問題から非接触式が多く採用されている。非接触式にはベータ線,X線などを使った放射線方式と赤外線方式がある。近年,脱放射線の観点から赤外線式の採用が増えており,今回,市場要求に呼応した赤外線を用いた非接触式のフィルム厚さセンサを開発した。
   開発した厚さ計は,薄膜化の進むフィルムに対応し,横河独自の光学系の採用により,放射線並みの測定精度と高いロバスト性を実現した。本稿では,紙,フィルム,複合素材などの多岐にわたるシート状の対象物に対応した新製品と,新製品を実現する技術を紹介する。


環境保全に貢献する次世代液分析計FLXA402/SA11 (PDF:752KB/6ページ)

  • 石井 誠*1
  • 土井 英夫*2
  • 日野 賢一*1

*1 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター 開発部
*2 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター プロダクト分析部

   横河電機では,pH計や溶存酸素濃度計,導電率計など様々な液分析計を販売している。これらの分析計は,排水処理における水質管理や汚水処理の過程で使用され,環境保全に貢献している。環境測定においては,汚濁物質が公共用水域に排出されないように,また,上下水を効率良く処理するために,連続して測定することが要求される。しかし,連続した測定が要求される一方で,センサは劣化や汚れにより定期的な校正や交換が必要である。また,排水や上下水管理を行うためには,複数台の分析計の購入や維持が必要でありCAPEX(Capital Expense),OPEX(Operating Expense)両面で問題がある。
   今回,これらの課題解決のため,複数のセンサ入力を持ち,保守効率を向上した液分析計「FLXA402」と,センサ部分のみを交換することを可能にしたSENCOMスマートアダプタ「SA11」を開発し,周辺機器とともにSENCOM4.0プラットフォームとしてリリースした。本稿では,これらの製品の特徴について紹介する。開発した厚さ計は,薄膜化の進むフィルムに対応し,横河独自の光学系の採用により,放射線並みの測定精度と高いロバスト性を実現した。本稿では,紙,フィルム,複合素材などの多岐にわたるシート状の対象物に対応した新製品と,新製品を実現する技術を紹介する。


新レーザガス分析計による燃焼効率向上とCO2削減(新レーザガス分析計プローブ形)(PDF:680KB/6ページ)

  • 中野 直人*1

*1 IAプロダクト&サービス事業本部 アナライザーセンター プロダクト分析部

   加熱炉やボイラーの燃焼効率を向上させるためには,排ガス中のO2やCOの濃度を測定して炉の操業の制御を行う必要がある。従来は,ジルコニア酸素計,赤外線分析計,コンバスティブル計などの分析計を使用してO2やCOを測定していたが,消耗品のコストやメンテナンス,応答性などの面で課題がある。
   横河電機は,レーザ光を炉内に透過させ,その吸収量でO2やCOを測定するレーザガス分析計TDLS8000を2015年にリリースし,これらの課題を解決した。しかし,この分析計を使用するためには,炉の両側に位置精度よく分析計取り付けフランジを施工する必要があった。
   この問題を解決するために,我々はプローブ形レーザガス分析計TDLS8100を開発した。TDLS8100はフランジ施工が片側だけでよく,また架空配線も不要のため設置コストが半分以下に抑えられる。本稿では,TDLS8100の特徴を説明し,上述の課題をどう解決したかについて述べる。


プレシジョンパワーアナライザWT5000 (PDF:2386KB/8ページ)

  • 橘 勝也*1
  • 塩田 敏昭*1
  • 鈴木 裕之*1
  • 柴田 光輝*2
  • 河野 正司*1

*1 横河計測株式会社 技術開発本部 第1 技術部
*2 横河計測株式会社 技術開発本部 共通技術部

   電力測定確度が世界最高レベルの±0.03%,かつ測定帯域がDCおよび0.1 Hz~5MHzのプレシジョンパワーアナライザWT5000を開発した。従来機種(WT3000E)に対し,サンプルレートを50倍,分解能を4倍と基本性能を大幅に向上させた。さらに,モジュラー形式を採用し,入力エレメント数を最大で7エレメントまで装備できるよう利便性,拡張性を向上することで, EV(Electric Vehicles)/PHV(Plug-in Hybrid Vehicles)などの入・出力間の効率測定を1台で行えるようにした。また,最大4モーターの回転速度,トルクによるメカニカルパワーの変化も同時に測定できる。さらに,大画面タッチパネルを採用し,視認性と操作性を大幅に向上させている。本稿では,世界最高レベルの性能を実現した技術とアプリケーション例について述べる。



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