更新日:2024年5月
イノベーションセンターが描く食のナラティブ“Food for Well-being”
YOKOGAWAが掲げるThree goalsの一つである”Well-being”を目指すべく、食に関わるテーマとして“Food for Well-being”のナラティブをつくり上げました。食をテーマとして取り上げたのは、そこにはYOKOGAWAの「これまで」「いま」「これから」の技術を食の分野に対して大いに生かせるという思いがありました。食の分野でWell-beingを実現するために、YOKOGAWAが貢献できることをイノベーションセンターが検討し、目指す未来を”Food for Well-being”というナラティブに仕立て上げたのです。
「これまで」とは、YOKOGAWAの「測る力」と「つなぐ力」で積み重ねてきた技術と貢献の蓄積ことです。なかでも食品分野では、連続稼働するプラントの運転を高信頼・高品質の制御技術で支えることにより“顧客の操業を止めない”という価値の提供のみならず、原料の品質管理からサプライチェーンの構築といったバリューチェーンの最適化までを提案し、顧客に貢献し続けてきました。
「いま」は、培ってきたこれらの技術を新たな市場や分野に応用することで新たな顧客に貢献する挑戦のことです。例として、YOKOGAWAが幅広い産業で培ってきた計測・制御・情報の技術を、食品プラントでの量産化プロセスの確立や品質確保・管理などに応用することができると考えています。また、食糧危機の解決策の一つとして注目されている細胞農業の分野でも、YOKOGAWAがライフサイエンス分野で培ってきたバイオセンシング技術を、高度な食肉培養技術などに応用することで新たな価値を提供できると考えています。
「これから」は、産業だけでなく個人にも目を向け、食のバリューチェーンの逆転が起きるという想定のもと、自律型フード社会の実現というビジョンを掲げました。計測・制御・情報の技術のフード領域への応用に加え、YOKOGAWAが共創のインテグレーターとして活躍していくというYOKOGAWAが実現したい世界観です。イノベーションセンター は、食のバリューチェーンの将来像を予想し描き、生産を起点とした流通や消費への流れが、消費を起点とした流通や生産に変化していくと考えました。これは、消費者一人ひとりの食の嗜好や消費行動がデータとして集約され、それをもとに生産のあり方が定まるという、まさに従来とは逆向き且つ個人を尊重したバリューチェーンの姿です。さらにその先には、一人ひとりの健康状況や幸福感に適応し、かつ作り過ぎや不足、無駄な輸送を生じさせない一人ひとりがWell-beingかつSustainableな社会、つまり自律型フード社会があります。ただし、その実現は個の組織で実現できるものではなく、社会のつながりを通じた共創が必要です。この共創においてYOKOGAWAはインテグレーターとしての役割をつとめ、例えば独立性のあるシステム同士を連携させて単独のシステムでは不可能なことを実現させる「システム・オブ・システムズ(SoS)」の構築を通じ、自律型フード社会の実現に貢献します。
Food for well beingの扉を開く
ナラティブを基に“Food for Well-beingの扉を開く”というYOKOGAWAの食に関わる思いを表現したコンセプト動画を作成しました。
研究テーマ紹介
◇AI農業
地球温暖化による不作や品質悪化、発展途上国の人口増加や経済レベル上昇による需要拡大に起因する食料不足等、食の安定供給に対する将来不安要素が多数あげられています。AI技術により人工光型植物工場、太陽光型植物工場に適した栽培レシピを提供し、食料安定供給に貢献します。
◇海洋牧場システム
沖合深層域に眠っている大量の栄養資源を利用して、世界全体としての水産資源増産を目指します。 沖合の生物生産性が極めて低い海域に新たな生態系を構築することで水産資源の拡大と安定生産を目指します。具体的には、自然エネルギーを最大限利用する形で栄養豊富な海洋深層水を汲み上げ、太陽光を効率的に照射することで植物プランクトンを発生させます。それを起点に食物連鎖を通して動物プランクトン、小魚、大魚などを効率的に生産することで、目的とする水産物を安定的に生産します。
◇乳牛モニタリングシステム
酪農家様に代わって乳牛の体調スコアを自動判定します。 体調スコアは乳牛の肉づきや採食状況を数値化したもので、乳牛の飼育状態の把握に用いられます。体調スコアは体つきや胃袋の膨らみといった乳牛の外見から酪農家様が感覚的に数値化しており、練度が必要なことやデータとして管理できていない、といった課題があります。これら課題の解決を目指し、酪農家様の数値化する感覚を深層学習し乳牛の映像から体調スコアを出力するシステムの開発に取り組んでいます。
リンク
・「地球の物語の、つづきを話そう。」
https://www.yokogawa.co.jp/special/planet/stories/scenario_for_the_future_that_open_the_door_to_well-being_in_the_food_field/
・YOKOGAWAの考える未来シナリオ ~2035年の未来シナリオ 時を超えた旅~
https://www.yokogawa.co.jp/library/resources/white-papers/future-scenario-2035-a-journey-through-time/