横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

ペーパレスレコーダ・データロガー「SMARTDAC+」向けにAI搭載「設備・品質予兆検知ツール」を発売

2022年4月19日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、OpreX™ Data Acquisitionのラインアップとして、ペーパレスレコーダ・データロガー「SMARTDAC+™(スマートダックプラス)」の「GXシリーズ」、「GPシリーズ」、「GMシリーズ」上に設備・品質予兆検知システムを構築するための、AIを搭載したソフトウェア「設備・品質予兆検知ツール」を本日、発売しますのでお知らせします。本ソフトウェアにより、AIの専門知識やコンサルティングを必要とすることなく、製造現場で設備や品質の異常の予兆を検知するシステムを構築することができます。工場などの設備故障や品質劣化を早期に発見することで、生産効率向上に貢献します。

設備・品質らくらく予兆検知ツールの使用イメージ
設備・品質予兆検知ツールの使用イメージ
拡大

開発の背景

 レコーダおよびデータロガーは、さまざまな産業の生産現場や開発現場等において、電圧、電流、温度、流量、圧力などのデータの収集・表示・記録に使用される機器です。当社はレコーダ・データロガーのリーディングカンパニーとして、多くのプラント・工場での設備・製品品質の異常予測や、原因特定解析において、記録データと機械学習技術などを活用したコンサルティングサービスを提供してきました。
 近年、工場でのAIによる生産効率の改善や、課題発見などのニーズが高まっています。しかし、AIの応用にはデータサイエンスなどの高度な専門知識が必要となり、導入障壁が高くなっています。そこで、産業界で広く利用されているレコーダ・データロガー上で、高度な専門知識やコンサルティングを必要とせず、手軽にAI技術を利用できる、「設備・品質予兆検知ツール」を開発しました。

製品の主な特長

  1. 専門知識がなくても、既存の記録データを用いて、AIによる予兆検知モデルを作成可能
    お客様がお持ちのデータを本ソフトウェアで読み込み、各データを「正常データ」「異常データ」のいずれかに選択するだけで、予兆検知モデルを作成できます。機械学習やアルゴリズムなど、AIの専門知識やコンサルティングは不要です。当社製品のみならず、他社製品で記録したデータも使用できます。また、AIがどのようにデータを判定するか、事前にシミュレーションすることも可能です。

    予兆検知モデルのシミュレーション画面
    予兆検知モデルのシミュレーション画面
    拡大

  2. 予兆検知モデルを用いて、簡単に設備・品質予兆検知システムを構築可能
    本ソフトウェアで作成した予兆検知モデルを現場にあるSMARTDAC+へ読み込むことで、設備や品質の異常の予兆を検知するシステムを構築することができます。設備や品質の健全性を表す「ヘルススコア」の推移により設備の劣化度合いを確認することができます。この「ヘルススコア」を用いてメンテナンス時期を、運転員にアラームやEメールでお知らせします。これにより生産活動への影響を最小限に抑えることができます。

    ヘルススコアの推移による異常予兆の検知
    ヘルススコアの推移による異常予兆の検知
    拡大

  3. クラウド版およびオフライン版の両方を発売
    「設備・品質予兆検知ツール」は、クラウド版およびオフライン版の二種類のパッケージを発売します。お客様は、クラウド版とオフライン版のいずれかを使用して、設備・品質予兆検知システムを構築できます。クラウド版は、PCにソフトウェアをインストールする必要がなく、より手軽にご使用いただけます。

使用例

  1. タイヤ製造(加硫工程)の温度・圧力の管理
    タイヤのゴムを加工する際に、熱と圧力を加える工程で使用される加硫機において、パッキン劣化などによる圧力リークが課題となっています。「設備・品質予兆検知ツール」により、加硫機の圧力値からパッキン劣化を数値化したヘルススコアの推移から、圧力リークの兆候を事前に検出することができます。
  2. 航空宇宙や自動車部品の熱処理管理
    航空機部品や自動車部品の熱処理を行う工程において、バーナー故障や炉の密閉性異常などにより、製品の品質不良や炉のダウンタイムが発生することがあります。「設備・品質予兆検知ツール」により、温度異常の兆候をアラーム発生前に捉え、製品ロスを回避するとともに、メンテナンス時期を予測することができます。
  3. 食品や医薬品の滅菌工程管理
    医薬品や食品の滅菌後の真空引き工程において、予期せぬ設備故障によるライン停止、製品ロスが発生することがあります。「設備・品質予兆検知ツール」により、バルブの緩み、パッキン劣化などの兆候をアラーム発生前に捉えることで、設備故障を未然に防ぐとともに、製品ロスを削減することができます。

主な市場

  • 鉄鋼、電力、化学、紙パルプ、食品、薬品、上下水道、電気・電子など幅広い産業の生産現場
  • 家電、自動車、半導体、新エネルギーなどの開発部門や大学および公的研究機関

用途

生産設備劣化および製品品質の低下を判定・数値化

SMARTDAC+の概要

 「SMARTDAC+」はSMART Data Acquisition and Controlの略で、多彩な信号源等に対応した入出力モジュールやオプションを提供しています。パネルマウントタイプのペーパレスレコーダ「GXシリーズ」、ポータブルタイプのペーパレスレコーダ「GPシリーズ」、データアクイジションシステム「GMシリーズ」、データロギングソフトウェア「GA10」をラインアップし、製造プロセスの監視、性能評価試験でのデータ収集制御を幅広くサポートしています。

OpreXとは

 OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation、OpreX Control 、OpreX Measurement 、OpreX Execution 、OpreX Lifecycle の5つのカテゴリーから成り立ち、「SMARTDAC+」はOpreX Measurementの製品・ソリューション群の一つであるOpreX Data Acquisitionに属しています。OpreX Measurementは、高精度な測定、データ収集、分析を可能にする現場機器やシステムを意味します。

以上

本文中で使用されている会社名、団体名、商品名、サービス名およびロゴ等は、横河電機株式会社、各社および各団体の登録商標または商標です。

本件に関するお問い合わせ

関連製品&ソリューション

  • AI Product Solutions

    プラント等のお客様の課題に対し、AI技術を活用した具体的な解析実績を積み重ねてきました。これらの実績と要素技術を活かし、現場で手軽に使えるAI製品群をご用意しました。予兆検知や未来予測などのAI機能を手軽に導入することができ、効率改善などが期待できます。

    さらに見る
  • データアクイジション システム GM

    SMARTDAC+ データアクイジションシステム GM は、簡単に必要なモジュールを自由に組み合わせられるYOKOGAWA独自のブロック構造を採用した、汎用性と拡張性に優れたデータロガーです。設置後もすべてのモジュールが独立して着脱できるため、メンテナンス性にも優れています。

    さらに見る
  • ペーパレスレコーダ(記録計) GP10/GP20

    SMARTDAC+ GP10/GP20は、直感的なタッチパネル操作を実現した、ポータブルタイプ、のペーパレスレコーダです。入出力はフレキシビリティの高いモジュール構造で、さまざまな測定対象に対応します。AIを活用したレコーダです。

    さらに見る
  • 記録からAIによる予兆検知までペーパレスレコーダ(記録計) GX10/GX20

    SMARTDAC+ GX10/GX20は、直感的なタッチパネル操作を実現した、パネル取付タイプのペーパレスレコーダです。入出力はフレキシビリティの高いモジュール構造で、さまざまな測定対象に対応します。AIを活用したレコーダ(記録計)です。熱処理や医薬規制 データインテグリティなどの厳しい規格にも対応した機器です。

    さらに見る

トップ