横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

新薬開発を支援するバイオテストシステムを開発

2008年7月1日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、このたび新薬の開発現場で、新薬の開発や新薬の候補となる化合物のテストを自動化する「バイオテストシステム(開発コード:BTS1000)」を開発しましたので、お知らせします。
 当社は、この「バイオテストシステム」により、著しい成長が見込める創薬支援システム市場に参入します。
 当社は、本製品を2008年7月2日から東京ビッグサイトで開催される「第7回 国際バイオEXPO」に参考出品します。

BTS1000

創薬支援システムとは

 新薬開発の現場では、新薬の候補となる数十万から百万もの化合物の中から有望なものをふるい分ける(スクリーニングする)創薬支援システムの利用が拡がっています。
 創薬支援システムは、生物の基本的構成要素である細胞に薬の候補となる化合物を投与し、細胞内の対象分子の増減や局在の変化などをカメラで撮影、得られた画像を処理して化合物投与による影響を確認する自動テスト装置です。新薬の開発期間を短縮するため、創薬支援システムには、膨大な数の候補化合物を出来るだけ高速にテストすることが求められます。
 創薬支援システムは、機能の面からHigh Throughput Screening(HTS)システムとHigh Content Analysis(HCA)システムに大別されます。
 HTSは、化合物のスクリーニングを高速で行うことを主眼としたシステムで、個別の細胞を詳細に調べることは想定していません。一方、HCAは、対象の細胞を個別にかつ複数のパラメータについて調べる高精度な測定を目指しています。このため、テストの高速性はHTSが優れていますが、HCAの方が測定精度は勝っています。
 当社では、HTSシステムとHCAシステムを合わせた市場規模は、2015年に500億円に拡大すると予想しています。

YOKOGAWAの技術

 YOKOGAWAは、細胞を生きたままリアルタイムに観察できる共焦点スキャナユニットを生物学分野の研究者に提供してきました。2007年4月に発売した共焦点スキャナユニット「CSU-X1」は、2000フレーム/秒という高速撮影で、ミリ秒単位の高速な生体現象まで観察できるのが特長です。
 また、半導体や液晶製造装置向けに、ダイレクトドライブモータと精密測位技術を応用して基板を所定の位置に精度よく高速に動かす精密位置決め装置も販売しています。
 この二つの製品技術を応用し、HTS並みの高速スクリーニングが可能で、HCAのマルチパラメトリックテストが可能なバイオテストシステムを開発しました。将来は、再生医療や個の医療への応用も視野に入れています。

YOKOGAWAのバイオテストシステムの特長

「バイオテストシステム」は、共焦点スキャナユニットによる細胞を観察する画像観察機構、多数のサンプルを高速に観察するための駆動機構、サンプルとなる細胞を培養するインキュベーション機構によって構成しています。

  1. 業界最速のスクリーニング
     当社独自の高速精密位置決め技術と高速画像撮影が可能な共焦点スキャナユニットによって、従来のHCAシステムの2~10倍高速なスクリーニングを実現しました。
  2. 業界最高の分解能
     従来のHCAシステムの多くが、ラインスキャン共焦点などの簡易方式を採用しているのに対して、当社ではピンホールを用いた高分解能のリアル共焦点方式を採用。さらに、CSU-X1で培った鮮明な画像が得られる独自の光学系と背景光を低減する技術を採用し、バックグランドノイズを1/3に削減。業界最高レベルの高分解能と鮮明画像の両立を実現しました。
  3. 業界最先端のライブセル観察機能
     YOKOGAWAの共焦点スキャナユニットは、蛍光染色した対象細胞に弱いレーザを何度も照射しているため、レーザ照射による細胞へのダメージは最小限に抑えられています。これにより、生きた細胞の連続観察が可能になります。
     さらに、細胞を培養するインキュベータを一体化し、観察ステージ等の測定環境も全て温度、湿度、二酸化炭素濃度の制御を行い、生きた細胞の経時変化を長時間にわたって観察することができます。

主な市場

医薬品メーカの研究部門

用途

新薬のターゲット探索・スクリーニング、バイオ研究

以上

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