2023年8月22日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、OpreX™ Profit-driven Operationのラインアップである「OpreX Digital Plant Operation Intelligence(モノづくり変革ソリューション)」を強化するため、その中核システムとしてアクショナブル意思決定支援システムを開発し、本日から国内で発売しますのでお知らせします。
「OpreX Digital Plant Operation Intelligence」は、工場を取り巻く環境の変化に迅速で柔軟な対応を可能にするもので、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのソリューションの一つです。アクショナブル意思決定支援システムは、経験の浅いオペレーターでも、制御システムのアラーム機能では捉えきれない品質異常の兆候をとらえ、かつタイムリーに表示されるその原因の候補や対策案を参考にして、ベテランオペレーターと同等の適切な対策を施せるようにします。これにより、品質不良品を削減し、歩留まり向上が可能になります。
当社は、長年にわたり培ってきた製造業のお客様のビジネス、プラント操業への理解と、最新のデジタル技術を組み合わせることで、お客様のDXを支援します。
アクショナブル意思決定支援システム
拡大
開発の背景
近年、サプライチェーンのグローバル化に伴い、原料サプライヤーのサイレントチェンジ(原料の仕様は契約品質範囲内であるが製造設備や工程などが変更されていること)による予期せぬ原料品質の変化や、納入先からのさらなる高品質製品の要求など、工場を取り巻く環境が大きく変化しています。そのため、いつもと同じ原材料から同じ設定で生産しているにもかかわらず、製品の品質のばらつきや歩留まりの悪化が生じてしまうことがあります。これらの事象が生じると、現場のベテランオペレーターが長年の経験に裏打ちされた運転ノウハウで対応し、製品の品質を維持してきました。しかし、近年は定年退職などによりベテランオペレーターが不足し、多くのプラントでは人財育成、若手への技能伝承が喫緊の課題となっています。
経験に基づく勘やこつを手順書やマニュアル化することは困難ですが、すでに当社はベテランオペレーターが持つ勘やこつと運転実績や品質データを掛け合わせて機械学習で解析してその効果を実証し、形式知化することを実現しています。今回当社は、形式知化した勘やこつを「知恵」と称して組み込むことで、オペレーターを支援するシステムとなるアクショナブル意思決定支援システムを開発しました。経験の浅いオペレーターでも本システムを活用することで、ベテランオペレーターと同等に、製品品質を維持したプラント運転が実現します。
アクショナブル意思決定支援システムの特長
経験の浅いオペレーターでもベテランと同等のプラント運転が可能
現場に蓄積された、温度や流量などのプロセスデータ、検査部門に蓄積された品質データ、および原料データをPQCDS(Productivity:生産性、Quality:品質、Cost:原価、Delivery:納期、Safety:安全性)と4M(Material:材料、Method:手順、Machine:装置、huMan:人)といった全体最適の視点で解析し、品質に関わる新たな管理指標(KPI)を作成します。これに加え、ベテランオペレーターの勘やこつを形式知化した「知恵」を本システムに組み込みます。本システムは、そのKPIをリアルタイムで監視・評価し、製造中に製品の品質が逸脱しそうな予兆を捉えます。オペレーターは、本システムからの品質異常の兆候となるアラートを監視し、逸脱を確認した場合には、その原因の候補や対策案がタイムリーに表示され、ベテランと同等の対応ができるようになります。
さらに本システムでは判断を支援するだけではなく、適切な対策をシステムで実行することも可能です。このように、本システムは、データ解析によるノウハウの見える化だけではなく、その「知恵」を利活用し、さらには「知恵」の蓄積、研鑽するといった変化へ追従するためのPDCAサイクルを回す支援を行い、現場力向上に貢献します。
主な市場
プロセス産業全般(機能性化学、石油・天然ガス、石油化学、鉄鋼、電力、ガスなど)
用途
- 制御システムオペレーターに製品の品質を保つ高度な判断支援
- ベテランオペレーターのノウハウの形式知化
- モノづくり視点でのデータの蓄積、および「知恵」の研鑽
- 品質を保つための対策の実行
OpreX Digital Plant Operation Intelligence(モノづくり変革ソリューション)の概要
OpreX Digital Plant Operation Intelligence に操業改善ソリューションとして提供してきたコンサルティングサービスを合わせ、2023年5月、制御事業の包括ブランドOpreXのソリューションとして提供を開始しました。国内のお客様への提供は横河ソリューションサービス株式会社が行い、2022年に設立した横河デジタル株式会社がOTとITの知見やノウハウを生かして、本ソリューションのシステム開発およびコンサルテーションサービスを提供します。
本ソリューションでは、今回発売するアクショナブル意思決定システムに加え、お客様がこれらを使いこなし、効果を出せるよう仮説検証型ワークショップも合わせて提供します。プラントのDXの実現に向けて、YOKOGAWAのコンサルタントが伴走型の支援を行います。
OpreXとは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation 、OpreX Control 、OpreX Measurement 、OpreX Execution 、OpreX Lifecycle の5つのカテゴリから成り立ち、「OpreX Digital Plant Operation Intelligence(モノづくり変革ソリューション)」は、OpreX Transformationの製品・ソリューション群の一つであるOpreX Profit-driven Operationに属します。
以上
本文中で使用されている会社名、団体名、商品名、サービス名およびロゴ等は、横河電機株式会社、各社および各団体の登録商標または商標です。
本件に関するお問い合わせ
- 製品に関するお問い合わせ・資料請求先
横河デジタル株式会社 ソリューションビジネス事業本部 コネクテッドインダストリーズビジネス開拓センター - 本プレスリリースに関するお問い合わせ先
横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター 広報課
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モノづくり変革ソリューション
モノづくり変革ソリューションは、お客様の製造現場のシステムをつなぎ、人をつなぐことによって、“変化への柔軟な対応力”を実現するDXソリューションです。