2022年7月28日発表
横河計測株式会社(本社:東京都八王子市 社長:山崎 正晴)は、近赤外から中赤外の光スペクトルを高精度に測定でき、かつ従来製品より操作性を飛躍的に向上させた光スペクトラムアナライザ「AQ6375E」、「AQ6376E」を開発、7月29日に発売しますのでお知らせします。
「AQ6375E」および「AQ6376E」は、分散分光方式※1を採用した業界唯一※2のベンチトップ型光スペクトラムアナライザです。「AQ6375E」は近赤外1.0~2.5 µm (マイクロメートル)、「AQ6376E」は中赤外1.5~3.4 µmの測定向けにそれぞれ最適な設計がなされており、半導体レーザやファイバレーザなど、光デバイスの光波長成分を分解し、波長特性を評価するために使用できます。
これにより、二酸化炭素やメタンガスなどの濃度測定が必要な環境計測分野、血糖値を算出するために血中グルコースや血中コレステロールの濃度測定が必要なヘルスケアおよび医療分野などの近・中赤外光デバイスの開発や性能向上に貢献します。
光スペクトラムアナライザ「AQ6375E」
拡大
開発の背景
近年、地球環境問題への社会的関心の高まりから、温室効果ガスや有毒ガスを削減する取り組みが本格化しています。環境計測分野では、温室効果ガスの濃度を測定するセンサー技術として、レーザ吸収分光法※3の開発が拡大しています。
また、ヘルスケアや医療分野においては、身体を傷つけずにレーザ技術を用いて血中グルコースや血中コレステロールを測定する、ヘルスモニタリング用センサーや、光を使った身体の断層構造の撮影(OCT)に関する技術開発が進められています。
温室効果ガスの濃度測定やヘルスケアモニタリング用のセンサーを開発するには、測定対象の吸収波長に合った波長2 µm帯 や3 µm帯の高性能なレーザが不可欠であり、高精度にレーザ光を測定でき、高い波長分解能で広い測定ダイナミックレンジの光スペクトラムアナライザが求められています。また、OCTの技術開発には約1~2.4 μmと幅広い範囲を一括測定できる光スペクトラムアナライザが必要とされています。
新製品の特長
- 3種のラインアップで多様なニーズに対応 (AQ6375E)
「AQ6375E」は、測定波長範囲1.2~2.4 µmの「標準モデル」と、測定波長範囲1.0~2.5 µmの「波長拡大モデル」、生産ラインでの使用に適した「リミテッドモデル」の3種を開発しました。波長拡大モデルはOCTなどで使用される2 µm帯SC(Super Continuum)光源の光スペクトル測定に最適です。 - 業界最高クラスのダイナミックレンジ
「AQ6375E」および「AQ6376E」の測定ダイナミックレンジは、干渉計型光スペクトル測定器と比較して約1万倍の広さに相当する80 dB(デシベル)以上を実現し、近傍ダイナミックレンジ※4は、約300倍に相当する55 dBを実現しました。これにより、半導体レーザのサイドモード特性※5の測定に十分な性能を実現しました。ともに業界最高クラスの性能※6です。 - 操作性の向上
マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルを搭載した10.4型LCDディスプレイにより、直感的な操作がさらに容易になりました。タブレット端末を操作しているかのような感覚で、全ての操作を行うことができます。また、測定条件設定から解析結果出力までの一連の操作をナビゲートする測定対象固有のテストアプリケーションソフトウェアを提供します。これによりお客様は光スペクトラムアナライザの細かな設定を容易に行えます。
※1 分散分光方式:広範囲の波長の光を回折格子で分散させ、細い隙間を通らせることで狭い範囲の波長を取り出す分光方式の一種
※2 2022年7月現在、当社調べ
※3 レーザ吸収分光法:ある分子にレーザ光を当てたとき、分子の種別によって特定の波長の光を吸収することを利用し、光スペクトルを分析してその分子の量を測定する方法
※4 近傍ダイナミックレンジ:被測定光のピーク光と近接したスペクトル(サイドモード)を分離し測定する性能
※5 サイドモード特性:半導体レーザ発光時に出力を求められている波長と、求められていないものの発生してしまう波長の差
※6 2022年7月現在、当社調べ
ただし、測定ダイナミックレンジは性能を示す参考値(代表値)であって保証値ではありません。
主な対象ユーザー
医療分野や環境計測分野などの大学・研究機関および光半導体デバイスメーカ、光モジュールメーカなど
用途
半導体レーザ、ファイバレーザや広帯域光源の発光スペクトル評価
FBG※7などの光フィルタの波長透過特性測定
※7 FBG(ファイバー・ブラッグ・グレーティング):光ファイバーのコアの屈折率に周期的な屈折率変化が形成されているファイバー型デバイス
以上
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