横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

新中期経営計画「Transformation 2020」を策定

2018年5月8日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、収益性の向上とさらなる変革に向けて、2018年度を開始年度とする新たな中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2020(略称:TF2020)」を策定しましたのでお知らせします。

 当社は2015年度に中期経営計画「Transformation 2017(以下 TF2017)」を策定し、中長期の成長基盤構築に向けて変革に取り組んできました。TF2017での3年間、事業環境は想定を越える大きさと速さで変化し、当社の主要市場であるエネルギー産業を取り巻く環境は激変しました。また、デジタル技術革新の波は産業構造に異次元の変化をもたらし、当社の事業環境においても大きな転換が進んでいます。

 TF2017では、「お客様フォーカス」「新しい価値づくり」「高効率グローバル企業」の3つの変革を掲げ、グローバル市場でこれまで構築してきた強固なお客様基盤を生かしたビジネスの拡大と成長を目指すとともに、最重要課題である収益性の向上に取り組みました。得意とする業種で価値提供の幅を広げ、また財務面においてはバランスシートの改善が進んだものの、収益性の向上には課題を残す結果となりました。

 激変する事業環境下で中長期的に企業価値を向上していくためには、TF2017で目指した変革を進化させるだけでなく、抜本的な事業構造の変革が必要です。「TF2020」では、デジタル技術を最大限に活用することにより、既存事業の成長と収益性向上の実現、新事業創出による新たな成長分野の確立、またそれらを支える事業基盤での飛躍的な生産性向上に取り組み、さらなる企業価値の向上を目指します。

1.TF2020で目指す経営指標

 中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー(*)の創出、株主資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。
 EPS成長7~9%/年以上、オーガニックフリー・キャッシュ・フロー850億円以上創出(3年間累計)、ROE10%以上の達成を目標とし、市場の期待を上回る利益成長、キャッシュ創出、資本効率を実現していきます。(成長率は2017年度の一時要因(のれん等減損損失、貸倒引当金計上、資産売却等)を除いた実質ベース)

指標 目標値
受注高・売上高成長 3~5%/年
1株当たり当期純利益(EPS)成長 7~9%/年
営業利益率(ROS) 10%以上(2020年度)
自己資本利益率(ROE) 10%以上(2020年度)
オーガニックフリー・キャッシュ・フロー 850億円以上(3年間累計)

(*) オーガニックフリー・キャッシュ・フロー = フリー・キャッシュ・フロー + 戦略投資(700億円:3年間累計)

2.サステナビリティ目標と長期経営構想

 当社は2015年度に、10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として策定し、YOKOGAWAが目指す方向性を表現する「ビジョンステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、「注力する事業領域」を定めました。
 その後、同年度9月に「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で採択され、また同年度12月には気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択されるなど、社会課題解決に向けたニーズの高まりという大きな変化がありました。これらの変化を受け、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿をサステナビリティ目標「Three goals」として定め、そこに向けてYOKOGAWAが自らを変革していく方向を示すとともに、それらの実現にもつながる長期経営構想で目指す方向性を、今からおよそ10年以上先の「ありたい姿」として見直しました。

[サステナビリティ目標:Three goals]

「YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Circular economy、Well-being の実現を目指します。」

[長期経営構想]

<ビジョンステートメント>
「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”を通じて、お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」
このビジョンのもと、お客様の経済価値最大化と社会課題解決をともに実現し、お客様の事業を通じて社会・環境価値を創出していくことを目指します。

<コアコンピタンス>
お客様と課題を発掘し価値を共創する力など:「強化すべき3つの力」
高い信頼性を作り込み現場に適応させていく能力など:「基礎となる3つの力」

<注力する事業領域>
「資源・エネルギー・マテリアル関連産業」は継続し、「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」について、TF2020では医薬品・食品産業向けの新事業として注力します。また、長期的な視点で、注力する事業領域における「バイオエコノミー」への取り組みを追加します。

3.中期経営計画TF2020の基本戦略

 当社グループは、サステナビリティ目標及び長期経営構想を踏まえ、収益性の向上とさらなる変革に向けて、新中期経営計画「Transformation 2020(略称:TF2020)」を策定しました。
 TF2020では、当社が目指す事業のあるべき姿を「計測と制御と情報の技術をコアに、幅広い産業のビジネスプロセスに対して、デジタル技術革新とお客様との共創による生産性向上を通じて持続可能社会を実現する事業」とし、その確立に向けて次の基本戦略に示す3つの変革に取り組みます。

中期経営計画TF2020

<基本戦略> 以下の3つの変革を実現していきます。

  1. 既存事業の変革
    お客様との関係をさらに深化させ、生産性革命を共に実現します。
    1. OPEX(*)ビジネスの拡大
      既設設備の生産性向上に向けた課題解決と運用保守を中心とするOPEXビジネスの拡大と収益性の向上に注力します。TF2017で取り組みを進めてきた課題解決型ビジネスの確立とグローバル展開を目指します。(*) OPEX:Operating Expenditure の略語
    2. 注力業種のさらなる強化 日本で高いシェアを獲得している化学業種の海外展開に引き続き注力するとともに、今後の成長が期待でき、また社会的意義の大きい再生可能エネルギー関連の市場開拓に取り組みます。
    3. 計測事業の変革
      競争力のある製品に集中することで一定以上の収益を確保するとともに、新たな成長市場へ挑戦します。
    4. 航機その他事業の変革
      保有技術とお客様基盤を生かし、成長事業への変革に挑戦します。
  2. 新事業とビジネスモデル変革への挑戦
    イノベーションを通じ、サステナブルな価値を創造します。
    1. 医薬品・食品産業向け新事業の確立
      TF2017では長期経営構想の中で今後注力すべき事業領域の一つとして「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業」を設定しました。TF2020では今後も市場成長が期待でき、当社の強みが生かせる医薬品・食品産業の研究・開発・生産・物流などのバリューチェーン全体の生産性向上を実現するサービスビジネスの確立に挑戦します。
    2. ビジネスモデル変革
      製品やサービスを売り切る従来型のビジネスモデルから、お客様の初期導入コスト負担を軽減する成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスへの変革を進めます。IIoTを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげます。
  3. グループ全体最適による生産性向上
    グループ全体最適の視点で、経営効率を飛躍的に高めます。
    1. 継続的なコスト競争力の強化
      グループ横断のコストダウン活動が継続的に実行される仕組みを構築し、RPA(Robotic Process Automation)などIT技術も活用し、コスト競争力を強化します。
    2. 人財力の強化
      社員一人ひとりが、世の中の変化や最新の技術動向を理解し、より高い付加価値を生む業務を担える人財へと自らを変革するために、新たに求められる能力とスキルの再開発・訓練プログラムを企業内大学として整備・提供し、社員が自ら学び能力を高め続ける会社へと変革していきます。

<デジタルトランスフォーメーション>

 3つの変革の基盤として、自社及びお客様の生産性向上を実現するため、デジタル技術を最大限に活用したアーキテクチャーの構築に積極的に取り組みます。AI、IIoT、クラウドプラットフォームなどを活用した製品・ソリューションの付加価値向上などによりお客様の生産性革命を支援し、成長機会の創出につなげるとともに、RPA、デジタルマーケティング、モバイルワークスタイルの活用とそれらを支えるネットワークやセキュリティの強化を通じて自社の成長基盤を確立します。また、これらを実現するための投資も積極的に行います。

4.TF2020の資本政策及び財務戦略

TF2020では、持続的な企業価値の向上を実現するための最適資本構成(*)を維持することを前提に、創出したキャッシュを中長期的な企業価値の最大化に向けた資本性成長投資に優先的に配分しながら、積極的な配当還元の向上も図ります。
TF2020の事業戦略・成長投資と配当還元により、株主資本コストを上回るTSR(Total Shareholder Return:株主総利回り)の持続的な実現を通じた株主価値の最大化を目指します。
(*)最適資本構成:格付Aを維持できる株主資本水準を保持するとともに、次の成長に向けた一定のリスク投資余力を確保できる水準

  1. 資本性成長投資(戦略投資)
    最適資本構成維持を前提とした資本性成長投資枠を3年間累計で700億円とします。 主に上記基本戦略 (1)、(2)及びデジタルトランスフォーメーションに対する戦略的成長投資を強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行います。

     

  2. 配当政策(利益処分に関する基本方針)
    以下の新たな配当方針に基づき積極的な配当還元の向上も図ります。
    「株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要施策の一つと認識し、利益成長を通じて安定的かつ継続的な増配を目指します。具体的には、業績及び中長期的な株主価値の最大化に向けた投資資金の確保、成長投資を支える財務基盤の維持を総合的に勘案しながら、連結配当性向30%を上回る配当水準の確保に努めます。また、一時的な要因で業績が悪化した場合においても、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持を図ります。」

     

以上

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