横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

ネットワークベース生産システム「STARDOM」機能強化版を開発・発売

2017年11月20日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、ネットワークベース生産システム「STARDOM™(スターダム)」の機能強化版を開発、2018年度第1四半期に発売しますのでお知らせします。

 今回は、「STARDOM」の中核をなす自律型コントローラ「FCN-500」の高信頼性を確保しつつ、増設可能なユニット数を増やし、ユニット間の距離を大幅に延長できるようにすることで、拡張性を強化して広域な分散設置が可能なシステムにしました。

 なお、本製品は、11月29日から12月1日まで東京ビッグサイトで開催される「SCF2017/計測展2017 TOKYO」に出品します。

STARDOM
STARDOM

開発の背景

 「STARDOM」は、自律型コントローラ「FCN」とWebベースHMIの監視制御ソフトウエア(SCADAソフトウエア)「VDS」で構成されるネットワークベースの生産制御システムです。当社は2001年の発売以来、お客様のニーズに対応して「STARDOM」の機能を継続して強化してきました。

 今回当社は、広域に分散設置された多くのI/O点数を持つアプリケーションを一括して監視制御したいというお客様のニーズと、信頼性を保ちながら配線コストやメンテナンスコストを低減したいというニーズに対応し、Excellent Scalability(エクセレント スケーラビリティ:高い拡張性)とExcellent Reliability(エクセレント リライアビリティ:高い信頼性)をキーワードに機能を強化しました。

機能拡張の概要

  1. Excellent Scalability:最大ユニット数を従来比3倍、最大伝送距離を従来比100倍に
     モジュール型コントローラである「FCN-500」には、CPUモジュールを搭載した制御ユニットと、I/Oモジュールのみを搭載した増設ユニットがあります。制御ユニットと増設ユニットを接続する拡張バスの新たなラインアップとして、「E2バス」を開発しました。E2バスは各ユニット上に実装するE2バスインタフェースモジュールと、汎用のEthernetケーブルで構成されます。「E2バス」によって、従来比3倍の9ユニットまで増設が可能になり、その結果、最大I/O点数が同比約3倍になります。2016年3月に発売した高速なCPUモジュールによって、より大規模なシステムに対応します。また、ユニット間の距離を100メートル(m)まで拡大しました。最大増設ユニット数である9ユニット構成時の最大伝送距離は800mとなり、従来製品の最大伝送距離8mと比較して100倍に拡大しました。市販の光ファイバケーブルとメディアコンバータを導入すると、さらに数キロメートル延長することも可能です。センサなどの近くに増設ユニットを設置できるため、ユニットとセンサ間の配線コストと、配線に関するメンテナンス工数の削減に貢献します。
     また、既存の10モジュールを挿入可能なロングベースモジュール、5モジュールを挿入可能なショートベースモジュールに加え、3モジュールを挿入可能なコンパクトベースモジュールを開発しました。お客様は、必要なI/O点数や設置スペースに応じて、3種類のユニットを自由に組み合わせることができます。

    [新旧拡張バスの比較]
      拡張バスインタフェースモジュール名 最大増設
    ユニット数
    最大増設時の
    最大伝送距離
    既存品 SBバスリピートモジュール 2ユニット
    (制御ユニットを含め、合計3ユニット)
    8m
    (ユニット間の最大伝送距離8m)
    新製品 E2バスインタフェースモジュール 8ユニット
    (同、合計9ユニット)
    800m
    (ユニット間の最大伝送距離100m)
  2. Excellent Reliability:バスの二重化と耐環境性の強化
     今回開発したE2バスは二重化が可能です。「FCN-500」が持つCPU、電源、制御ネットワーク、内部バスの各機能の二重化とあわせて、E2バスを用いたより大規模なシステムでも、高信頼なシステム構成を実現します。
     高信頼なシステムを維持するためにはメンテナンスが重要です。分散配置した増設ユニットも、従来と同様にモジュールごとの稼働状態をSCADAソフトウエア「VDS」などで把握できるため、迅速に異常を把握することができます。また、モジュールに故障が発生して交換が必要な場合は、「FCN-500」を稼働したまま、そのモジュールのみ取り外して交換することができます。 さらに今回は、耐環境性も強化し、拡張バスインタフェースモジュールの使用周囲温度を従来の0~55℃から-20℃~70℃まで拡大しました。これにより、厳しい環境下でもモジュールの増設や、増設ユニットを設置することが可能になります。

STARDOMについて

 「STARDOM」は、制御、操作、監視などの機能別コンポーネントで構成するオープンネットワーク制御システムです。分散形制御システム(DCS)の信頼性とPLC計装の汎用性・経済性を両立させたシステムとして高い評価を得ています。STARDOMの中核をなす自律型コントローラ「FCN-500」は、二重化を簡単に実現できる高い堅牢性を持った自律型コントローラとして、国内外合わせて累計2万台の納入実績を重ねてきました。中小規模プラントといった高い信頼性と汎用・経済性の両立を要求される市場はもとより、海外においては、石油・ガス上流工程(Upstream)およびパイプライン(Midstream)などの広域に分散する設備向けに、インテリジェントRTU(Remote Terminal Unit)として納入されています。当社は2001年の発売以来、お客様のニーズに対応して「STARDOM」の機能を継続して強化してきました。2016年3月には、“より速く、より強く、よりスマートに”をコンセプトに、新しいCPUモジュールを発売しました。

主な市場

石油・天然ガス田、パイプライン、上下水道などの広域に分散する設備
石油、化学、鉄鋼、紙・パルプ、食品、薬品などの中小規模プラント
中小型発電設備(風力発電・蒸気タービン・水力発電)

用途

生産設備の監視、操作、制御、データ収集、記録など

以上

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