最先端のライフサイエンス研究に貢献する、超解像共焦点スキャナユニット「CSU-SR」を開発 ~超解像での動態観察を独自の技術で実現し、超解像顕微鏡市場に進出~

2016年6月10日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島剛志)は、光学顕微鏡と組み合わせて、細胞小器官など微細な細胞内構造体の動態観察が行える超解像共焦点スキャナユニット「CSU-SR」を開発しましたのでお知らせします。発売は、2016年9月を予定しています。

 これまで当社は、光学顕微鏡と組み合わせて、生きた細胞を高速、鮮明、かつ細胞に与える影響を抑えて観察できる共焦点スキャナユニット「CSUシリーズ」を製造販売し、実績を重ねてきました。今回は、光学顕微鏡の解像限界を超える超解像での動態観察が可能な「CSU-SR」で、最先端のライフサイエンス研究分野におけるニーズに応えます。

 なお、当社は本製品を、6月15日から17日まで京都テルサで開催される「第68回日本細胞生物学会大会/第11回日本ケミカルバイオロジー学会合同大会」に参考出品します。

※ 光学顕微鏡の解像限界:
一般的な光学顕微鏡の解像度を表す分解能の限界は約200ナノメートル(nm)です。

CSU-SR(デザイン図)
CSU-SR(デザイン図)

開発の背景

 生命科学の研究者には、組織や細胞を生きたまま、より細部まで観察したいという恒常的な要求があります。電子顕微鏡は光学顕微鏡の解像限界を超えた高い解像度の撮像が可能ですが、真空状態にする必要があるため、細胞を生きたまま観察することはできません。近年、光学顕微鏡でも光学的解像限界を超えた観察が可能な「超解像顕微鏡」技術が実用化され、注目を集めています。主要な超解像顕微鏡技術には、局在化方式(PALM、STORM)、誘導放出制御方式(STED)、構造化照明方式(SIM)がありますが、特殊な蛍光試薬や光源(レーザ)が必要となるという課題があります。

 今回当社は、共焦点スキャナユニット「CSUシリーズ」のスピニングディスク共焦点技術※1と光学的再配置(Optical Photon Reassignment 以下OPR)超解像方式※2を組み合わせた技術を独自に開発、搭載した、超解像共焦点スキャナユニット「CSU-SR」を発売します。

※1 スピニングディスク共焦点技術:
ニポウディスクという多数のピンホールのあるディスクを高速で回転させ、ピンホールを通じて多数のレーザビームを試料に照射して並行的にスキャニングし、高速に共焦点画像を取得する技術

※2 OPR超解像方式:
共焦点顕微鏡は、ピンホールを無限小にすれば解像度を1.4倍向上できますが、信号が得られなくなるのでピンホールを大きくしています。大きくなったピンホールの周辺を通る光が解像度を劣化させますが、その光を本来通るべき位置に補正することで解像度を回復することができます。これがOPR方式で、「CSU-SR」ではその補正をピンホールと同じディスク上のマイクロレンズで光学的に実現しています。ピンホールを小さくすることによる光学的ロスなく解像度を上げることができます。

新製品の特長

  1. 業界最速の超解像イメージングを実現
    フルフレームで毎秒200コマという、超解像顕微鏡向け共焦点スキャナとしては最高速の走査性能を実現しました。これにより、生きた細胞の反応などの高速な動作を超解像で観察できます。また、多数の弱いレーザビームを試料に照射して並行してスキャニングすることで細胞に与えるダメージが少ないという「CSUシリーズ」の特長も有し、生きた細胞の長時間観察に適しています。
  2. 試薬や光源の制約なく超解像観察を実現
    ライフサイエンス研究では、識別したい部位を蛍光染色した試料を観察する蛍光顕微鏡が広く用いられています。超解像顕微鏡のなかには、専用の光源(レーザ)、特殊な蛍光試薬、および特殊な試料作製が要求されるものもありますが、「CSU-SR」は、特殊な蛍光試薬やレーザを必要とせず、蛍光顕微鏡を使用する際と同じ方法で試料を準備することができます。

主な市場

生物学・医学の基礎研究

用途

生きた細胞内の微細な構造体の動態や生理反応のリアルタイム観察

共焦点スキャナとは

 共焦点顕微鏡は、蛍光試薬で染色した試料の1点にレーザを照射し、ピンホールでその点からの蛍光のみ取得し、スキャンして画像構築することで、鮮明な断層像を選択的に得ることができます。試料を切片にすることなく断層像を得て、さらにそれらを積層して3次元立体像を構築することができます。

 当社の共焦点スキャナは、通常の光学顕微鏡に取り付けて共焦点顕微鏡システムにすることができるユニットです。独自のスピニングディスク共焦点技術により、細胞に与えるダメージを抑えて高速かつ鮮明に撮像できること、また、使い勝手が良いことなどが評価され、生きた細胞観察(ライブセルイメージング)のデファクトスタンダードとして各社の顕微鏡システムに組み込まれ、ライフサイエンス研究者の間で広く活用されています。

この分野における当社の取り組み

 当社では、ニポウディスク(ピンホールアレイディスク)にマイクロレンズアレイディスクを組み合わせた独自のスピニングディスク共焦点方式の開発に成功し、その技術を採用した共焦点スキャナ「CSU10」(フルフレーム秒30コマ)を1996年に発売しました。現在は、「CSU-X1」と「CSU-W1」をラインアップし、これらの製品は市場で高く評価を頂き、CSUシリーズで累積納入台数2,500台を超えています。

以上

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