共焦点スキャナユニットの海外販売でカール・ツァイスと提携

2008年10月1日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、共焦点スキャナユニット「CSU-X1」の海外販売に関して、このたび高性能顕微鏡で世界最大手のカール・ツァイスと提携しましたのでお知らせします。
 カール・ツァイスは、当社の「CSU-X1」を自社の共焦点顕微鏡システム“Cell Observer SD”に組み込み、医学、生物学等の分野で生細胞観察を行う研究者向けに2008年11月から販売を開始します。

 当社は、1996年に共焦点スキャナユニットを発売して以来、世界中で1400台以上を販売し、生きた細胞の画像観察(ライブ・セル・イメージング)分野では世界シェアトップとなっています。
 今回、生物観察用顕微鏡で世界最大手のカール・ツァイスと販売提携を結ぶことで、当社は共焦点スキャナユニット「CSU-X1」の販売がさらに加速すると期待しています。当社では、2008年度の販売数を、従来計画から25%増の250台に修正し、2009年度の計画を上方修正し300台を販売目標とします。

提携の背景

 医学、生物学などの研究分野では、分子生物学の目覚しい進展に伴い、細胞の生理的な機能解明が重要視されるようになってきています。そのため、生きた細胞内のたんぱく質の動きや生理反応をリアルタイムで観察し、多くの生物学的な情報を得たいというニーズが、研究者の間で高まっています。
 通常の光学顕微鏡では、細胞をすりつぶしたり切片に加工したりするため、生きた細胞の反応を見ることができません。しかし、共焦点顕微鏡は焦点面を連続的に変えることで細胞などの立体的な対象を観察することができ、細胞を切片にする必要がありません。そのため生きた細胞の観察に適していますが、一般的にスキャンスピードが遅く、高速な現象を捉えにくい欠点がありました。
 当社の共焦点スキャナ「CSU-X1」は、1秒間に2000コマの高速撮影が可能なこと、低出力レーザの使用で蛍光の褪色が少ないことが特長であり、生きた細胞の画像観察分野で、なくてはならないツールとなっています。
 ライブ・セル・イメージング分野で圧倒的シェアを持つ「CSU-X1」を自社の共焦点顕微鏡システム“Cell Observer SD”に組み込むことで、カール・ツァイスは自社製品の適用範囲を広げることができます。当社にとっても、カール・ツァイスのブランド力や販売・サービス網によって「CSU-X1」の更なる拡販が期待できます。

「CSU-X1」について

 「CSU-X1」は、CSUシリーズの特長である高速走査性と高分解能で鮮明な画質をさらに発展させた製品で、2000コマ/秒という世界最高速の走査性能を実現しました。これは、当社従来製品に比べ2倍の速度です。
 また、光学系の設計を一新し、励起効率(レーザ光の利用効率)2倍(※)に、背景光も3分1(※)まで軽減し、さらに微弱な蛍光も観察できるようになりました。(※ 当社比)
 これにより、これまで以上に高速な生体反応でも鮮明な画像を取得することができるようになりました。

この分野における当社の取り組み

 当社では、1980年代にレーザ光を利用した共焦点スキャン技術の実用化に成功し、これを共焦点顕微鏡分野に応用すべく研究を重ねてきました。その成果として、ニポウディスクとマイクロレンズアレイを組み合わせた画期的な方式の開発に成功し、それを採用した共焦点スキャナ「CSU10」(フルフレーム秒30コマ)を1996年に発売しました。2000年には秒1000コマのCSU21、そして2003年には更に性能を向上させたCSU22を発売するなど、継続的な製品開発を進めてまいりました。そして2007年には「CSU-X1」で秒2000コマの業界最高の撮像速度を達成、業界におけるトップメーカの地位を不動にしました。

以上

参考

共焦点スキャナとは

 共焦点スキャナは、レーザをレンズで集光して平面上の一点にあて、その反射光(または蛍光)を連続的に観察するための走査ユニットです。試料を切片にすることなく生きたまま断層(スライス)画像を得ることができるのが特長です。また、スライス画像データを画像解析処理し3次元立体像を構築が出来ます。蛍光試薬等で染色した試料にレーザを照射し、蛍光を観察することで、きわめてコントラストの高い、鮮明な画像を選択的に得ることができます。
 これらの特長により、共焦点スキャナは生きた細胞をリアルタイムで観察する有力なツールとして広くライフサイエンス研究者に利用されています。

原理

 光源側のピンホールを出た光は顕微鏡対物レンズを通り、サンプル上の一点(対物レンズの焦点面上)に集光します。ここで発生した反射光または蛍光は再度、対物レンズを通りビームスプリッター(ダイクロイックミラー)によって曲げられ、観察側に置かれたピンホールに集光され、検出器に達します。
 サンプル内では光が集光していない部分からも光が出てきますが、これらは観察側に置かれたピンホールを殆ど通ることができません。その結果、対物レンズの焦点面の情報だけを観察することができます。

 ただし、このままではピンホールに対応する点情報しか得られないため、面情報を取り込むためにはレーザビームを平面上で動かしてスキャンすることが必要です。
 従来の共焦点顕微鏡は、機械的なスキャン機構を用いてレーザビームを動かしていること、1本のレーザビームで観察領域をスキャンしていることから、スキャンスピードに限界がありました。

 YOKOGAWAのCSUシリーズは、ニポウディスクという高速回転のマルチピンホール・ディスクによって、およそ1000本のレーザビームで観察領域を同時にスキャン(マルチビームスキャン)し、秒2000コマという高速性を実現しています。

 CSUは、ニポウ(Nipkow)ディスクという“多数のピンホールが渦巻き状に配置された回転円板(ディスク)”を使用し、マルチビームスキャンにより共焦点画像を得ています。横河のCSUは、このニポウディスクに“マイクロレンズ・アレイ・ディスク”を加えることにより、高速スキャン性能を保ったまま、光の利用効率を大幅に改善することに成功しました。

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