光ファイバは軽量・柔軟・耐雷性・長寿命・防爆などの特長をもち、主に光通信に使われていますが、光ファイバをセンサとして使うと、長い光ファイバの全長にわたる温度、歪み(ひずみ)、振動の分布を測定できます。
光ファイバセンサのこの特長を生かして、橋梁やトンネルなどの社会インフラ設備や大型構造物の健全性診断ツールとして利用することを目指しています。さらに別の応用として、石油や化学のプラントにおいて、設備の故障などを早期に発見することを目指しています。
橋梁やトンネルなどの社会インフラ設備に光ファイバを敷設して歪み・振動分布センサとして用いることにより、次のことの実現を目指しています。
BOCDR/BOCDAはセンチメートル単位の空間分解能(光ファイバ長手方向の分解能)で、温度・歪み・振動を測定することができます。この技術は、光ファイバ内で生じるブリルアン散乱光の周波数が温度や歪みにより変わる性質を用いています。光ファイバの片端を測定装置につなげば、光ファイバ全長における温度・歪み・振動を高速・高空間分解能に測定できることが特長です。
[1] 手塚, 古川, 塚本, 松浦(横河電機), 岸, 保立(東京大学), “偏波ダイバーシティ技術と時間ゲート法を用いたブリルアン光相関領域反射計測法による距離11 kmにおける歪み分布測定”, 電気学会計測研究会, IM-16-034, 2016.
[2] 古川, 手塚, 塚本, 松浦, 岸, 保立, “偏波ダイバーシティ技術と時間ゲート法を用いたブリルアン光相関反射計測法による距離21mでの歪分布測定”, 電気学会論文誌A, Vol 137, No. 1, pp32-37, 2017.
[3] 古川, 志田, 手塚, 松浦, 足立, “偏波ダイバーシティを用いたブリルアン光相関反射計測法による歪測定の速度改善”, 電子情報通信学会 信学技報, OFT2017-3, 2017.
[4] O. Furukawa, S. Tezuka, Y. Kumagai and S. Matuura, “High-temperature Measurement Using Brillouin Correlation Domain Reflectmetry”, The 24th Congress of the International Commission for Optics(ICO-24), 2017.
[5] 手塚, 塚本, 古川, 松浦, “BOCDRの温度分布空間分解能を向上する光ファイバ配線の面は一の提案”, 応用物理学会 光波センシング技術研究会 第60回講演会, 28, 2017.
[6] 三浦, 今井, 手塚, 古川, 松浦, “BOCDR方式分布型光ファイバ―センサによるひずみ計測―コンクリート梁試験体での検証実験―”, 土木学会 平成30年度全国大会, 第73回年次学術講演会, CS9-013, 2019
[7] 古川, 志田, 手塚, 松浦, 足立, “BOCDRのランダムアクセス機能を用いた遠隔測定とIoTシステム”, 電子情報通信学会 2019年総合大会, BI-8-6, 2019.
[8] 早坂, 松本, 今井, 古川, 手塚, 松浦, “BOCDR方式分布型光ファイバーセンサによるひずみ計測”, 土木学会 令和元年度全国大会 第74回年次学術講演会, CS9-18, 2020.
[9] 手塚, 本間, 松浦, 足立, “BFSスロープ検出法によるBOCDRシステムの高速測定”, 電子情報通信学会 信学技報, OFT2019-68, 2019.
※BOCDRは東京大学 保立研究室で発明されました。本研究開発の一部は独立行政法人 科学技術振興機構 (JST) 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム (A-STEP) の委託により行いました。