運転支援の事例
運転員作業負荷の大幅削減の達成
お客様紹介
住友化学工業株式会社殿(以下、住友化学殿と省略)は日本を代表する化学会社の一つです。2003年度の連結売上高は約1兆1,158億円です。1913年に現在の愛媛県新居浜市において銅精錬から排出される副産物を原料として肥料の生産を開始したのが住友化学殿の事業の始まりです。住友化学殿は現在、各種基礎化学製品を生産しています。住友化学殿愛媛工場の電解ソーダプラントに運転支援パッケージExapilotが導入されました。
Exapilot導入の理由
製造現場の急速な世代交代により、オペレータのノウハウを次の世代に伝承することが重要な課題となっています。全てのオペレータが同じレベルの操作を行えるように、オペレータのノウハウは整理されて全てのオペレータの間で共有されていなければなりません。この課題を解決するためにオペレータの手動操作自動化し、そのノウハウを整理するツールとして住友化学殿は次のような理由でExapilotを導入しました。
- Visual Basic等のプログラミング言語を使わないため、誰もが容易にシステムを構築できる。
- システムのロジックが理解しやすいフローチャート形式で記述されているので、誰もが理解でき、保守が簡単である。
- Exapilotのデータを表形式の汎用ソフトウェアと容易に結合することができる。
お客様の声
6ヶ月間でExapilotのシステムを完成させたご担当者様は次のようなことから、Exapilot導入に大変満足されています。
- 電解ソーダプラントの自動運転を実現した。
1日平均56回も必要だったオペレータ操作がExapilot導入による皆無となった。 - オペレータが、創造的で知的な作業に集中できるようになった。
電解ソーダプラントの概要
電解ソーダプラントは図1に示すように塩化ナトリウム水溶液(以下、塩水と省略)からイオン交換膜法により、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水素ガス、塩素ガスを生産します。塩化ナトリウム水溶液は工業塩水を水に溶かした後、各種フィルターでイオン交換膜と電極に悪影響を与える不純物を除去して作られます。愛媛工場では年間10万トンの塩素ガスを生産しており、その塩素ガスは愛媛工場の各種プラントの主要原料として使用されています。
図1 電解ソーダプラント概要
Exapilotによる自動運転の実現
Exapilotはフィルター再生時とプラント処理量変更時における塩水流量の自動調整を実現しました。さらにExapilotは、一部設備の自動スタートアップと自動シャットダウンを実現しています。図2に示すExapilotのロジックで塩水流量が自動調整されています。フィルター再生時のExapilotで良好に制御されている供給塩水レベルを図3に示します。図4に示したExapilot導入前の全ての操作が手動で行われている時と比較して、Exapilot導入によりレベル低下を小さく抑えるとともにレベルが正常値に戻るまでに要する時間を約2時間短くすることができました。Exapilot導入前はオペレータはこの塩水流量調整のために1日平均56回もの操作が必要でしたが、Exapilot導入後はオペレータはその作業から完全に解放されています。
図3 Exapilot導入後のフィルタ再生時の塩水タンクレベル変動
図4 Exapilot導入前のフィルタ再生時の塩水タンクレベル変動
システム構成
システム構成を下図に示します。Exapilotに加え高度制御(APC)のExasmocが導入されています。
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業種
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