背景
今日、石油精製産業では、製品品質と製造プロセスに関する規制がますます厳しくなっています。世界各地の精油所において、操業効率を改善してプラント資産からの利益を最大にするための努力が重ねられる一方で、製造プロセスをすべての規制に適合させるよう特段の注意が払われています。
操業効率を最大化しようとする取組みとして、ある大手製油所は、可能な箇所にはすべて渦流量計を導入するというプロジェクトを実施しました。この取組みは、ISO14000への適合、漏出の防止、また大気汚染管理に関する現地の厳しい規制にも十分対応することも目指していました。
課題
正確な流量計測
正確な流量計測は、製油所全体の生産性を左右する重要な要素です。製油施設ではさまざまな流量計が用いられていますが、圧倒的に数が多いのがオリフィス板と差圧伝送器です。しかし、オリフィス式流量計をある種のアプリケーションに用いるには制約があり、また頻繁な保全が必要です。
定期検査と凍結防止策
オリフィス式流量計は低流量計測には適さず、温度や圧力が設計仕様を超えて変動するとゼロ点やスパンのドリフトを生じます。オリフィス式流量計に不可欠の導圧管は定期検査と凍結防止策が必要で、設置、操業、保全に余分なコストがかかることになります。
オリフィス式流量計にはこうした制約があるため、お客様はさまざまな代替手段を検討し、最終的に渦流量計の採用を決定しました。渦流量計は低流量でも高流量でも測定することができ、ほぼメンテナンスフリーです。しかし、この切替えのためには、厳しい安全方針と外部規制の両方を満たすために格段の努力を惜しまないサプライヤーを探す必要がありました。またサプライヤー側には、この困難なプロジェクトのために、市販に至っていない特殊用途向けの各種渦流量計を提供できる技術力が求められました。
ソリューション
ISO14000規格と現地の大気汚染規制法に適合するために、お客様は、漏出危険箇所を減らせる新たな流量計測技術を探していました。渦流量計は、ライン組込み形で導圧管が要らず、可動部分がありません。この2点がオリフィス式流量計に比べ大きな利点でした。オリフィス式流量計では
漏出が起こり得る箇所が約30あるのに対し、渦流量計には 3 箇所しかありません。
外部規制に加えて、お客様は厳しい安全方針をとっており、多くの重要なアプリケーションではプロセス信号もアラームも完全に冗長とする(二重化する)必要がありました。当社は、特殊なデュアルセンサー形渦流量計を開発し、測定点そのものを二重化するようにしました。
当社は、材質の認証、溶接の認証、非破壊検査、ケース品質の認証、ロイズが立会う多くの工場出荷試験など、お客様独自の安全基準に適合するよう、特に注意しました。
計測の安全性と安定性を向上させ設置コストを削減するために、配管の径を細くする役目も果たすレデューサ形渦流量計を設置する精油所もあります。これによって渦流量計の設置が簡単になり、低流量域で正確に計測できるようになります。
お客様のニーズに応え、当社は、検出器の両側にレデューサを溶接した、レデューサ形渦流量計を提供しています。
このタイプは、渦流量計にとっては計測が困難な低流量領域に計測レンジを広げ、安定的で正確な出力を実現しています。
図 従来の設置/新しい設置
レデューサ形渦流量計の特徴
- 縮小管・拡大管や、直管長を確保するための短管が不要
- 安全性向上と設置コスト削減
- 他の機器を設置する余地を確保
結果
操業・保全コストの削減と、生産プロセスの品質と安全性の向上
この意欲的なプロジェクトが1990年代半ばに完了して、お客様の精油所では、重要生産設備の完全ノンストップ操業期間を3年超に延ばすことができました。この精油所では、現在、すべての流量計の60%近くが渦流量計となっています。このように、渦流量計はフィールドでの実績が確認されています。
お客様は、その後世界各地の精油所でも当社のYEWFLO渦流量計を採用され、操業・保全コストの削減と、生産プロセスの品質と安全性の向上を実現しました。
渦流量計のパイオニアとして、当社は、さまざまなプロセス産業のお客様に革新的な流量計測ソリューションをお届けするよう、今日も挑戦を続けています。
業種
関連製品&ソリューション
-
digitalYEWFLO 渦流量計
標準形とあわせて、レデューサ形、マルチバリアブル形、高温用・極低温用など、様々なモデルを取り揃えています。
-
渦流量計
渦流量計の発売以来、その長期安定性と高精度によってお客様の生産性向上に貢献してきました。標準形、レデューサ形、マルチバリアブル形、高温用・極低温用など、さまざまなモデルをご提供しています。