電解プラントでは、pH 計・ORP 計・導電率計・密度計などのプロセス分析計が使用されます。これらは、各工程における溶液の濃度管理などで重要な役割を担いますので、長期間安定に動作することが要求されます。しかしながら、電解プラントでの測定液は、腐食性が強い、液温が高い、検出器を汚すといった分析計にとって非常に厳しい性状を持ちますので、機種の選択には慎重さが必要です。
横河電機の分析計(検出器)には、電解プラントでの実績を積み重ねてきたものがあります。例えば、pH 測定のための“PH4C、PH4CT 化学プロセス用検出器”、塩酸・硫酸・苛性ソーダの濃度管理に使用する “ISC40GJ 電磁導電率検出器” などです。
機種 | 測定点 | 測定目的 |
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pH 計 | 1. 原料塩溶解槽の過飽和塩水出口 *1 | 不純物除去のための pH 管理 (管理値:pH10.8 ~ 11.0) |
2. 精製槽の精製塩水出口 *2 | 不純物沈降分離能力の監視 (pH 値が酸性領域であること) |
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3. 電解槽の精製塩水入口 *3 | 精製塩水の pH 管理 (管理値:pH3 ~ 6) |
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4. 電解槽の戻り塩水出口 *4 | 脱塩素槽の効率管理 (管理値:酸性領域) |
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5. 脱塩素槽の淡塩水出口 *5 | 淡塩水の管理 | |
6. 塩酸プラントの排水ライン *6 | 排水の pH 監視 | |
電磁導電率計 | 1. 原料塩溶解槽の過飽和塩水出口 *7 | 塩水の濃度管理 (管理濃度:300 ~ 320 g/l) |
2. 精製塩水貯槽の精製塩水出口 *8 | 精製塩水の塩分濃度管理 | |
3. 塩素ガス乾燥装置の乾燥用硫酸ライン *9 | 回収硫酸の濃度管理 (約 74 wt%) |
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4. 塩酸プラント吸収塔の塩酸出口 *10 | 塩酸濃度の管理 (約 35 wt%) |
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5. 次亜塩素酸ソーダプラント反応槽の次亜塩素酸 *11 ソーダ入口 |
次亜塩素酸ソーダ濃度の管理 (有効塩素:10 ~ 15%) (残存苛性ソーダ:0.1 ~ 1%,約 10 g/l) |
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ORP 計 | 1. 脱塩素槽の淡塩水出口 *12 | 脱塩素反応の確認 |
2. 次亜塩素酸ソーダプラント反応槽の次亜塩素酸 *13 ソーダ入口 |
苛性ソーダの塩素化反応終点の管理 | |
振動式液体密度計 | 1. 電解液受槽の陰極液出口 *14 | 陰極液の苛性ソーダ濃度管理 |
2. 濃縮缶の濃縮苛性ソーダ出口 *15 | 製品苛性ソーダ濃度の管理 |
モジュール構造による豊富なシステムの構築、拡張性を備えた新世代の液分析計です。堅牢なアルミダイキャストケースを採用しています。pH/ORP、導電率測定では、従来タイプのアナログ形検出器のほか、SA11 SENCOMスマートアダプタと専用検出器による、デジタル検出器との組み合わせが可能です。TIIS、ATEXなど各種防爆に対応しています。
FLXA402は、複数の検出器が接続可能であり、pH/ORP計、導電率計、電磁導電率計、溶存酸素計から検出器を選択できます。優れた操作性や機能を兼ね備えると同時に、HARTやModbus通信による拡張性にも富んでおり、IIoT環境の構築にも貢献、設置・運用コストの削減を提案します。
液体密度計は、薄肉円筒の共振周波数が円筒周囲の液体密度によって変化する振動式の原理を採用し、検出器からの周波数信号をダイレクトに密度値に変換し表示します。ワンタッチ校正、自己診断など使いやすさに優れた各種機能が盛り込まれています。
汚れ・磨耗・腐食の対策が必要なアプリケーションでも高精度で導電率を測定します。
測定可能範囲:1 μS/cm~1999 mS/cm
プロセス温度:-10~130°C