概要
反応タンク(曝気槽)の溶存酸素濃度測定では検出器に短時間で汚れが付着するため、頻繁に汚れを除去する洗浄作業には大変な手間がかかります。
これまで安価な方法で改善策を講じることは困難でした。
DO72 は位相測定方式を採用した汚れの影響を受けにくい蛍光式溶存酸素検出器です。またステンレスボディは凹凸のない形状で、表面はなめらかに研磨されているため、汚れが付着し難く、無保守で長期間にわたり連続測定できることが実証されています。
お客様の期待
- 連続で安定した溶存酸素濃度を測定をしたい
- ランニングコストを削減したい
- 人手による洗浄をなくしたい
- 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい
プロセス概略
処理場に流入した汚水は、最初沈殿池でゴミや汚泥が沈殿除去され反応タンクに送られます。その後反応タンク(曝気槽)で、活性汚泥(バクテリアや原生動物などの微生物を含んだ汚泥)が加えられ、吹き込まれる空気で攪拌されます。
活性汚泥中の微生物は酸素と汚水中の有機物を栄養にして繁殖し、固形分を生成して最終沈殿池で固液分離されます。
溶存酸素(DO)が不足すると微生物が適切に繁殖できないため、反応タンクの溶存酸素濃度を最適に管理(制御)することが必要です。溶存酸素濃度は、連続測定しています。
YOKOGAWA のソリューション
測定システム例
- 検出器/ホルダ (検出器の詳細は GS 12J06J01-00JA、 ホルダの詳細は GS 12J05C02-00 を参照してください)
潜漬形 ポリプロピレン(ステンレス):
検出器:DO72-W-120-AA-VP-N-Y
ホルダ:DOX8HS-PP (-S3)-□□-L-NNNN*B/D72P(D72S)あるいは、 フロートホルダ(垂直形、傾斜形)も使用可 - 変換器:FLXA402(詳細は GS 12A01F01-01JA を参照ください)
FLXA402-□-B-AJ-D6-NN-A2-□□-□-□-J-NN
ユーティリティ
- FLXA402
電源:90 ~ 264 V AC,50/60 Hz
消費電力:最大 35 VA
留意点
- 検出器単体をホルダなしで、水没させることはできません。
主な仕様測定範囲 0 ~ 25 mg/L 測定液温度 0 ~ 50℃ 測定液圧力 0 ~ 500 kPa 測定液流速 2 m/秒以下 応答速度 120 秒以内(90% 応答) 立上げ時間 5 ~ 10分(電源投入後安定するまで)
フィールドデータ
2 か月間の連続運転で汚れの影響は見られない
蛍光式による溶存酸素測定値は、無洗浄にもかかわらず、2 時間おきにジェット洗浄しているガルバニ式と同等の応答を示しています。また電解液や隔膜の交換が不要で保守も簡易になり、測定値・保守の両面において、蛍光式溶存酸素検出器の優位性を確認できました。
業種
関連製品&ソリューション
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4線式液分析計 FLXA402
FLXA402は、複数の検出器が接続可能であり、pH/ORP計、導電率計、電磁導電率計、溶存酸素計から検出器を選択できます。優れた操作性や機能を兼ね備えると同時に、HARTやModbus通信による拡張性にも富んでおり、IIoT環境の構築にも貢献、設置・運用コストの削減を提案します。
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ホルダ
製造工程での品質管理や排水処理管理の分析計用として、洗浄装置を付加可能なホルダです。アプリケーションに適したホルダとクリーナーの選択により、信頼性や保守性に優れた測定システム構築が可能となります。
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蛍光式溶存酸素検出器 DO71/DO72
汚れに強く、長期に安定測定の蛍光式溶存酸素検出器です。センサの交換は現場で簡単に行え、メンテナンスコストを削減できます。低濃度測定を含む広範囲また超微量範囲の酸素測定が可能です。
過酷な測定条件下の下水処理場や排水汚泥処理場などの水処理場での使用に適しています。
デジタル通信対応で FLXA402 液分析計と組み合わて使用できます。 -
溶存酸素検出器
各種用途向けに、ガルバニ式、蛍光式の2タイプの溶存酸素検出器を用意しています。
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溶存酸素計
水中に溶存している酸素濃度を測定します。自動洗浄、塩分補償、温度補償、大気圧補償などの機能を搭載し溶存酸素濃度を正確に測定します。ガルバニ式、ポーラログラフィック式、蛍光式の各検出器と組み合わせて使用します。