横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

気候戦略(TCFDへの対応)

YOKOGAWAの取り組み

世界の人口が増え続ける中、社会全体が必要とするエネルギーや資源を供給し続けていく必要があると同時にGHG排出量削減を実現していくことが、社会全体の課題となっています。YOKOGAWAは、2050年に向けて目指す社会の姿としてNet-zero emissionsを掲げ、中期経営計画GS2028で推進する6つの貢献分野の1つに「カーボンニュートラルの達成」をあげています。温室効果ガス(GHG)排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換を重点課題と認識し、自社の操業により排出するGHGを削減するだけでなく、事業を通じて、再生可能エネルギーの普及やエネルギー利用の効率化に貢献しています。

気候変動の課題に積極的に向き合い将来に備えていくという意思のもと、金融安定理事会(FSB)が気候変動に関する財務情報の開示を推進するために設立した「気候関連財務情報開示タスクフォースTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」による提言の支持を表明しました(2019年2月)。

ガバナンス <気候変動のリスクと機会に関するガバナンス>

推奨開示事項:a)取締役会による監視体制 b)経営の役割

 

取締役会の役割

取締役会は気候変動への対応の基本方針と、リスクと機会の管理体制の整備に関する基本方針を定め、その体制が有効に運用されていること、およびサステナビリティの課題へ適切な対応がなされていることを監視・監督しています。また、事業戦略や計画を議論する際に気候関連の影響を考慮しています。
取締役の選任にあたっては、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランスよく備え、ジェンダー、国際性、社内外での経歴、年齢等を含む多様性と適正規模の両立を考慮しています。

経営執行の役割

執行役は、事業戦略や計画の立案に際し、リスクと機会の両面から気候変動の影響を考慮しています。中期経営計画において気候変動に関する目標を含むサステナビリティ目標に取り組むとともに、進捗状況を定期的に取締役会に報告しています。
気候変動のリスクを含むグループ全体のリスクに関して、リスク管理委員会を設置し、グループとして重点的に管理すべきである重点管理リスクを審議のうえ決定し、管理状況をモニタリングして取締役会に報告します。代表執行役社長は、リスク管理委員長としてリスク管理の統括責任を負っています。
企業価値および社会価値の両面から重点課題を特定し、経営の中長期的な方向性及びサステナビリティ課題の解決に向けた戦略を策定することを目的として、2022年度からサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、代表執行役社長の諮問機関であり、社長が委員長、執行役を委員として、経営の視点からサステナビリティに関するテーマについて集中的に議論する場と位置付けています。
サステナビリティ委員会では、気候変動・GHG排出の諸課題を対象に含むマテリアリティ分析の実施や、気候変動に関するリスクや機会について議論します。サステナビリティ委員会で議論した内容は取締役会に報告しています。

戦略 <気候変動のリスクと機会がもたらす事業、戦略、財務計画への影響>

推奨開示事項:a)中長期リスク b)事業、戦略、財務計画への影響 c)気候シナリオに対する戦略のレジリエンス

 

戦略の概要

YOKOGAWAは、エネルギーや化学など、GHG排出量に大きな影響を与える製造業をお客様として事業を行っており、安定した操業やエネルギー効率向上を実現し、経営全体の効率を高めるソリューションで、お客様のGHG排出量削減に貢献しています。 また、再生可能エネルギー市場での価値提供拡大やクリーンエネルギー(低炭素水素/低炭素アンモニア)の活用支援を機会ととらえ、事業の拡大に向け取り組んでいます。

中長期的な事業環境変化

気候変動に関するおよそ10年後の事業環境の変化を、政治、経済、社会、技術の観点でそれぞれ分析しました。政治の観点では、気候変動対応に向けた法規制強化や、人口増に伴うエネルギー不足に起因する地政学リスクの高まりが想定されます。経済の観点では、再生可能エネルギーの普及を前提としたエネルギーの多様化に加え、食料、水不足や資源の枯渇が想定されます。社会の観点では、温暖化の進行や経済成長に伴う消費拡大による環境汚染の深刻化が想定されます。また、技術の観点では、AIやIoTなどのデジタル技術が社会構造を大きく変化させ、資源循環に貢献するバイオマス素材が普及すると想定されます。これらの環境変化を背景に、当社のお客様は、再生可能エネルギーを含む低炭素ビジネスやバイオ等の低環境負荷素材を生み出す企業への転換を進めており、それらの領域におけるビジネスの機会が拡大しています。

長期経営構想・中期経営計画

劇的な事業環境変化の加速を踏まえ、長期経営構想では気候変動への対応などの社会共通価値の提供を通じて成長を目指すこととし、中期経営計画GS2028では再生可能エネルギー関連の市場の成長や気候変動の課題を踏まえたお客様の事業戦略の転換により生まれるビジネス機会を捉え、ビジネスの拡大に向け取り組んでいます。また、安定した操業やエネルギー効率向上を実現し、経営全体の効率を高めるソリューションで、お客様のGHG排出量削減に貢献しています。GS2028 では、ダブルマテリアリティ分析を行い、分析結果を踏まえてサステナビリティ指標を設定しました。
サステナビリティ目標達成のため、主力事業である制御事業は、3つのセグメント「エネルギー&サステナビリティ」「マテリアル」「ライフ」でビジネス展開を行っており、着実に事業を拡大しています。
「エネルギー&サステナビリティ」では、再生可能エネルギー市場での価値提供の拡大、クリーンエネルギーの活用支援に取り組んでいます。「マテリアル」では、素材産業の脱炭素化支援に取り組み、「ライフ」では、医薬・食品分野におけるバリューチェーン全体の生産性向上と、気候変動の適応に必要な医薬・食品の安全・安定的な供給に貢献しています。また測定器事業では、再生可能エネルギー・電気自動車(EV)の普及と効率化を支援しています。
また、カーボンニュートラルの達成に向け、GHG排出量(Scope1,2,3)を実質ゼロにするネットゼロ目標を設定しました。Scope1,2は2030年度、Scope3は2050年度までにGHG排出量を実質ゼロにする、野心的な長期目標です。

インターナル・カーボン・プライシング(ICP)

経済的合理性の高いGHG削減施策を推進するため、2022年度よりICPの運用を開始しました。GHGやエネルギー削減の施策計画時に想定されるGHG排出量の増減を金額換算し、財務的な判断に加味することで、GHG排出量の影響を踏まえた意思決定をしています。
グループ全体を対象に、Scope2の削減に大きく寄与する再生可能エネルギー電力の調達への投資をターゲットに炭素価格を設定しています(ICPのタイプ:implicit price、価格:2,000円/t-CO2)。ICPの方針や炭素価格は、サステナビリティ委員会で審議し決定します。
今後は、Scope1やScope3、また、設備投資などを含む事業計画の立案などにも順次ICPを適用し、炭素価格を設定していきます。

想定される気候変動シナリオ

不確実性の高い気候変動については、地球全体に深刻で広範、不可逆的な影響が生じる4℃シナリオ、2℃シナリオより厳しくGHGの排出削減などが必要となる1.5℃シナリオへの対応を含めて、2030年の社会を考察しています。

気候シナリオに対する戦略のレジリエンス

長期経営構想および前中期経営計画AG2023の策定に際しては、社内で設定した1.5℃シナリオと4℃シナリオにおいて、リスクと機会の評価や対応策の立案を行いました。GS2028でもシナリオの前提を微調整しましたが、シナリオに大きな変更はありません。1.5℃シナリオにおいては、各国の脱炭素政策の強化等によるエネルギートランジションの加速に伴い、化石燃料ビジネスの縮小を見込むものの、再生可能エネルギーや省エネルギービジネス等のニーズの高まりを想定しています。また、4℃シナリオにおいては、洪水などの自然災害増加に伴う事業所およびサプライチェーンへの被害、異常気象に伴う農作物の収穫量低下や疾病の増加といった物理リスクの増大に起因する、防災ソリューションや医薬・食品生産関連ビジネスの拡大を想定しています。これらの気候変動に関するリスク・機会を、事業セグメントとリスクの種類ごとに深掘りし、対応の方向性を策定・事業戦略に組み込んでいます。

気候変動に関する主な機会

分類 事業セグメント GS2028の事業戦略 事業機会
機会 エネルギー&
サステナビリティ事業
■ 再生可能エネルギー市場での価値提供拡大
・買収した企業(Bax Energy社など)の製品・技術を活用し、廃棄物・バイオマス発電所での新たな事業機会の創出
・L3(製造実行管理レベル)も含めた包括的なソリューションを提供するとともに、太陽光・風力・バッテリーへ事業拡大
■ クリーンエネルギー(低炭素水素/低炭素アンモニア)の活用支援
・オイル&ガスのお客様へのEX(Energy Transformation)支援
・LNGサプライチェーンで培った技術を水素・アンモニアに応用
・低炭素な水素および水素派生物分野での事業成長
・地域、お客様、アプリケーションなどの多様化
・多様な再生可能エネルギー電源の統合管理需要
・電力取引市場へのビジネス拡大
・オイル&ガス領域での低炭素化の実現
・グリーン水素やアンモニアを含む低炭素水素の需要拡大
・CO2を回収・利用・貯留するCCS/CCUS技術が注目
マテリアル事業 ■素材産業(化学/鉄鋼)の脱炭素支援
・一次データ(実測値データ)に基づく製品単位や組織単位の排出量演算およびリアルタイム監視を実現
・業種知見に基づく原因の特定および分析や削減シミュレーションを提供
■モビリティサプライチェーンの最適化支援
・電池原料の採掘制御から、材料開発・製造工程、リユース・リサイクルに至るサプライチェーンやライフサイクル全体を対象に省エネルギー化や生産性向上を支援
・YOKOGAWA独自のリアルタイムソリューションとサービスを通じた価値の提供
・生産プロセスでCO2を多く排出する産業におけるCO2排出量の抑制
・CO2排出量の可視化や削減施策の支援
・EVの急激な需要増に伴う生産の最適化
・リチウムイオン電池や燃料電池などのサプライチェーン全体での省エネルギー化、最適化や自動化
ライフ事業 ■医薬・食品・バイオの生産性・品質向上
・医薬・食品業種の生産性向上、原価低減、安全・安心な現場環境の提供によるSmart Factoryの実現
・製造実行管理システム(MES)を中心とした課題解決型ソリューションによる価値の提供
・日本国内で実績のあるソリューション、ナレッジの海外展開
・GHG排出量の把握と削減
・原価低減に向けたエネルギー使用量の削減
測定器事業 ■再生可能エネルギー・EVの普及と高効率化支援
・ 再エネ機器やEVなどを対象に、システム全体のエネルギー効率計測のソリューションを提供
・分散電源の運用制御および電力ネットワークとの接続連系技術を支援
■次世代通信システムの効率化支援
・光計測と電気計測を同期して行う当社の強みを活かし、光電融合通信技術の早期実用化を支援
・光通信デバイスの生産に最適な計測ソリューションの提供
・脱炭素実現のための高効率システム設計
・再生可能エネルギーとEVなどモビリティの電動化によるCO2排出量の削減
・生成AIとクラウドアプリケーションの増加によるデータトラフィックの急拡大
・通信帯域の拡大と熱損失削減を目指した次世代通信イノベーション

気候変動に関する主なリスク

分類

種類 カテゴリー 主なリスク 対応の方向性

リスク

移行リスク 政策と法 ・炭素税、燃料・エネルギー消費への課税、排出権取引などの導入に伴うビジネスへの影響
・法規制の変化によるビジネス機会損失
・Scope1,2,3削減目標の達成に向けた施行の実行
・ICPの適用拡大による、脱炭素に向けた投資や施策の効率的な推進
テクノロジー 脱炭素社会に向けた新製品・新サービスの技術開発の遅れによる、販売機会の逸失 ・カーボンニュートラルに向けた新製品・サービスの開発を加速、既存製品の拡張
・LCA基準を用いた評価など、環境に配慮した製品づくりを推進
・技術獲得を目的としたM&Aやアライアンスへの投資
市場 気候変動への取り組みによる市場環境の変化への対応遅れによるビジネス機会損失 ・エネルギーシフト等の環境変化への取り組み検討と市場環境の変化への対応
・ドメインナレッジとDXの活用、ソリューションポートフォリオの拡充
評判 YOKOGAWAの気候変動に対する取り組みの遅れによる評価・企業価値の低下 ・気候変動への取り組みの加速
・情報開示の充実
・ステークホルダーとのコミュニケーション
物理リスク 急性的・慢性的な物理リスク サイクロンや洪水(急性)、天候パターンの変動や上昇する平均気温(慢性)など、気候変動の影響による気候災害によりもたらされる社会的混乱からのビジネスへの影響、また事業所への被害やサプライチェーンへの影響 ・グループ内での情報収集、外部機関との契約等を通じ、被害や影響の予防・回避の低減
・調達先管理の徹底、調達先の分散化
・代表的な生産拠点に定期的なリスク評価を実施し、BCPを策定・見直し 

持続可能な航空燃料(SAF)の普及促進に向けた取り組み

YOKOGAWAは、気候変動対策の一環として、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の早期普及に向けた取り組みを推進しています。制御事業を通じてSAFの生産・供給拡大に貢献するとともに、SAFの活用を通じて社員の航空移動におけるGHG排出削減にも取り組んでいます。

<航空会社との連携によるSAF活用>
JALグループの「JAL Corporate SAF Program」にも参画し、YOKOGAWAは航空会社との連携を通じてSAFの活用を進めています。本プログラムでは、JALグループが使用したSAFによって削減されたCO₂排出量の環境価値を証書化し、参画企業に提供する仕組みが構築されています。YOKOGAWAは、航空会社のSAFプログラムに積極的に参画することで、社員の出張に使用するフライトにもSAFを活用し、企業活動に伴う環境負荷の低減を図るとともに、持続可能な航空燃料の普及促進と脱炭素社会の実現を目指します。

リスク管理 <気候変動リスクに対する識別、評価、管理の状況>

推奨開示事項:a)識別・評価プロセス b)リスク管理プロセス c)全体のリスク管理への統合の状況

 

リスク管理体制

YOKOGAWAではリスクマネジメントの国際規格であるISO31000に沿った全社的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management)体制を構築しています。業務執行におけるリスクとその管理を俯瞰的に審議する機関としてリスク管理委員会を設置し、年3回開催しています。リスク管理委員会は代表執行役社長の諮問機関で、委員長を代表執行役社長が務め、全執行役により構成されています。当社グループに重大な影響を与えるリスクの特定、リスク対策計画、リスク対策のレビュー等の審議を行い、リスク管理に関わる経営判断や意思決定を支えています。リスク管理委員会の審議・決定内容は、取締役会に報告され確認されます。取締役会から、業務執行において注視すべきリスクや固有リスクに係わる対策等の助言をうけ、リスク対策の整備やリスク管理活動の改善等に活かされています。 リスク管理の客観的な評価は、内部監査担当部署が実施しています。内部監査担当部署は、体制やプロセスの有効性を評価し、重要な事項は監査委員会および取締役会に年1回報告されています。
リスク管理の実施主体である関係会社等は自律的なリスク管理に努めています。これらの実施主体に対して、重大な影響を与えうるリスクを中心に、本社/事業部門およびリスク管理の主管部門(ERM主管部門、リスク管理委員会事務局)が、様々な活動の推進・支援を行っています。なお、リスクが顕在化し経営に重大な影響をあたえる危機が生じた際は、代表執行役社長を委員長とする危機管理委員会にて初動対応および事業継続対応を行います。

リスク管理のプロセス

YOKOGAWAでは、毎年、事業を取り巻くリスクのアセスメント(リスクの洗い出し、分析・評価)を、グローバルベースで実施しています。アセスメントの対象となるリスクは、YOKOGAWAグループの企業価値に影響をあたえる不確実性と定義しています。リスクをマイナス面の影響に留まらず、プラス面の機会を含めた定義としています。また、リスクを、気候変動を含めた外部環境や戦略などの「事業機会(経営上の戦略的意思決定に係る不確実性)」と品質、環境、安全衛生、企業倫理(粉飾、贈収賄などの腐敗行為、ハラスメントなど)、情報セキュリティ(個人情報保護を含む)、危機管理などの「コンプライアンス・危機事象(適正かつ効率的な業務遂行に係る不確実性)」で分類しています。事業機会を外部環境と戦略に、コンプライアンス・危機事象をオペレーションと危機事象に細分化して57個の主要リスクに分類し網羅性確保に努めています。本社/事業部門、関係会社等は、これらの主要リスクをもとにリスクの洗い出しを行います。洗い出されたリスクは、影響度と発生可能性の視点で分析しています。影響度の分析では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面といった外部のステークホルダーへの影響も考慮しています。 
次に、リスクマップに分析結果をプロットします。リスクの許容度をAAA~Dの6段階で評価のうえ、AAA~Aに評価されたリスクを許容できないリスクに特定します。さらに、これらのリスクを対象に経営戦略や経営課題、外部環境の変化、リスク対策の充足度などを踏まえて、経営が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)の候補を選定しています。
重点管理リスクは、リスク管理委員会で決定し、年2回取締役会に報告されています。また、重点管理リスクの主管部門(リスクオーナー)を定め、計画にもとづく対策の推進が図られています。対策の進捗状況等のモニタリングについては、重点管理リスクの分類に応じた方法を定め四半期ごとに確認を行っています。リスク管理委員会はモニタリングを踏まえてリスクの変化や対策のレビューを行い、その結果を取締役会に報告しています。さらに、取締役会からの助言、リスク管理委員会での議論、代表執行役社長からの指示を翌年の重点対策リスクの選定に活かすとともに、リスク管理プロセスや対策の見直しを行い、より効果的なリスク管理の実現にむけてPDCAのマネジメントサイクルを機能させています。
 

指標と目標 <気候変動のリスクと機会を評価・管理するための指標と目標>

推奨開示事項:a)評価するための指標 b)GHG排出量と関連するリスク c)目標と実績

 

指標と目標

YOKOGAWAでは、2030年度に向けた貢献分野として、GHG排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換による「カーボンニュートラルの達成」を設定しています。
お客様とともに取り組んでいくビジネスの目標として、お客様事業のCO2排出抑制量10億トン(2018年度~2030年度)を設定しています。お客様の再生可能エネルギー発電や低炭素発電の量を、平均的な化石燃料の使用によるCO2排出量と比較し、その差分を実績として計上しています。さらに再生可能エネルギー業種向けの事業進捗について指標と目標(2028年度)を設定して取り組んでいます。
また、事業所におけるGHG排出量については、Scope1,2は2030年度までに、Scope3は2050年度までにGHG排出量を実質ゼロにする、野心的な長期目標を設定しています。YOKOGAWAグループが2021年に設定した従来の削減目標は、国際的な環境団体である「SBTイニシアチブ※1」より、パリ協定の目指す「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える」水準に整合する、科学的根拠に基づく短期目標(Near-term target)であるとして認定されています。2024年度には、達成年度の前倒しなど、ネットゼロ目標の更新を行い、SBTネットゼロ(Net Zero)をコミットしました。YOKOGAWAは、SBTネットゼロの基準に基づき、2050年度までに自社のバリューチェーン内において90%のGHG排出量を削減し、残存する10%については炭素クレジットの活用も検討し、ネットゼロ目標の達成を目指します。

※1 SBTイニシアチブは、国際環境非営利団体のCDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4団体によって共同で設立され、パリ協定の目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づくGHG排出目標の設定を推進しています。


2030年度目標と実績

指標 2030年度(2050年度)目標 2024年度実績
お客様事業のCO2排出抑制量 2018年度-2030年度累計 10億t-CO2 2018年度-2024年度 4.3億t-CO2
温室効果ガス排出量 (Scope 1,2) 2030年度 100%削減(基準年2019年度) 41.7%削減
温室効果ガス排出 (Scope 3) 2030年度 30%削減※2(基準年2019年度)
2050年度 100%削減
※2 購入した商品・サービス(カテゴリー1)、および販売した製品の使用(カテゴリー11)を対象にしています。
3.8%削減※2
エネルギー使用量(売上原単位・基準年2023年度) 2050年度 30%削減 14.3%削減

実績

2024年度のお客様事業のCO2排出抑制量は主に風力発電への貢献が伸長し、2018年度からの累計で4.3億トンとなりました。GHG排出量(Scope1,2)は、エネルギー使用削減施策の実施や生産工場での大規模太陽光発電システムのPPA契約締結、再生エネルギー由来電力への転換の促進等により、2019年度比で41.7%削減しました。
また、サプライチェーンGHG排出量(Scope3)については、「購入した商品・サービス(カテゴリー1)」と「販売した製品の使用(カテゴリー11)」の合計で基準年である2019年度比3.8%の削減となり、前年度より10.9%の減少となりました。サプライヤーとの協調活動に注力しており、排出量の増加を抑制しました。 YOKOGAWAにおいては、Scope3全体の約87%がカテゴリー1とカテゴリー11に由来しており、カーボンニュートラル達成の重要な鍵となっています。
2050年度の目標達成に向けて、サプライヤーとの協働、既存製品の低消費電力化、GHG排出量の少ない製品やソリューションの開発を加速し、GHG排出量の削減に取り組んでいます。Scope3の削減は、短期間での実現が困難なためロードマップを描き、長期的な視点で取り組むことで目標達成を目指していきます。


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