細胞生産支援ソリューション

背景

現在の医療では、病気や事故によって身体の臓器の機能が失われると、他の人などから同じ臓器を移植するしか治療方法がありません。しかし、臓器移植は慢性的なドナー不足の問題があり、また拒絶反応が起こるリスクもあります。iPS細胞は、様々な臓器の細胞や組織を作りだすことができるため、将来的にはiPS細胞を使った「再生医療」が、これらの問題やリスクを解決することが期待されています。

こうした中、iPS細胞から体の各臓器の細胞や組織を作る方法が研究されてきていますが、大きく2つの課題があります。一つめは、iPS細胞から安定してたくさんの量を生産する技術が確立されていないこと、二つめはiPS細胞から体の中にある細胞や臓器と同じくらい機能が高い細胞や臓器の作り方が確立されていないことです。YOKOGAWAは、インラインの品質管理技術と細胞組織の高機能化を実現するための技術開発に取り組み、機能の高い細胞組織の安定生産を実現します。

技術

  • インライン品質管理技術

    細胞を生産する際の品質管理は、これまで目視による検査で行われてきました。このやり方では、検査の結果に個人差が生じること、異常の見落としが生じることなどにより、細胞の品質にばらつきが生じます。細胞の品質を安定化させるためには、生産中の細胞を正確に管理すること、すなわち細胞の状態を定量的に評価することが不可欠です。そこでYOKOGAWAは、生産中の細胞の状態を抜き取らずに、また細胞にダメージを与えずに定量化する技術の開発を進めています。

    この定量化技術によって、これまで経験と記憶を基に感覚的に良否を判断していた目視による検査を、細胞の増え具合や形の特徴を示す複数の項目を数値化し、この「細胞の特徴」を時系列に沿って示すことで、生産中の細胞を定量的に管理することが可能になります。

    YOKOGAWAは、これまでに細胞生産の現場でこれらの実現可能性を確認し、更にこの細胞状態の定量化技術が、お客様に、①人件費削減、人材育成費の削減、②開発コストの削減、③成功率向上による生産コストの削減、の3つの価値をもたらす可能性があることを確認しました。

  • 細胞組織の高機能化技術

    二つ目の課題は、iPS細胞から体の中にある細胞や臓器と同じくらい機能が高い細胞や臓器を作る作り方が確立されていないことです。現在の細胞の生産方法は、体内で細胞や臓器が作られる時とは大きく異なる培養皿の環境で行われており、この環境の違いが、機能が高い細胞や組織を作れない原因の一つと考えられます。そこでYOKOGAWAは、細胞や組織の高機能化のためには、細胞がおかれている環境と細胞への信号の与え方を、生体内で起こっていることに近づけることが重要であると考えました。そして生体の中で組織が作られるときの信号や栄養素などの環境に着目し、それらをコントロールする技術を開発しています。また、実際の細胞や組織の状態や機能を計測することで、より高機能な細胞・組織の生産を支援する技術の確立を目指します。

将来構想

YOKOGAWAは、これらインラインの品質管理技術、細胞・組織の高機能化技術を開発することによって、再生医療の早期実現に貢献します。

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