世界初の洋上再ガス化プラントを支えるCENTUM CS 3000&ProSafe-RS&STARDOM

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概要

Adriatic LNG Terminal, Porto Viro, Italy「アドリアLNG」として広く知られているターミナルGNLアドリア有限会社(Terminale GNL Adriatico Srl)は、世界初の沖合再ガス化プラントの設計、建設、および操業を目的として、カタール石油、エクソンモービル、そしてイタリアのエネルギー会社であるエジソンによって2005年に設立されました。

アドリア海北部、イタリアのポルトレバンテから約15キロの沖合に位置するアドリアLNGターミナル(Adriatic LNG Terminal: 以下ALT)は、LNG船の係留やアンロード用設備と2基の125,000㎥LNG貯蔵タンク、LNG再ガス化プラントを備えた最新鋭の巨大なGBS*1(gravity based structure)です。ガスは、この施設からの新設したパイプラインを経由して本土に出荷され、そこから国内全域へのガス配給ネットワークに接続しています。

ALTは水深29メートルの海底に設置された全長375メートル、全幅115メートルの巨大なターミナルで、メインデッキは海抜18メートル、フレアタワーの頂上は海抜87メートルに及びます。ALTの公称年間再ガス化容量は80億㎥(一日あたり775百立方フィート、2千万㎥に相当)で、これは、国内ガス消費量のおよそ10%に値します。ALTはイタリアのエネルギー源の多様化に大きく貢献し、ひいては国のエネルギー安全保障に貢献しています。

このプラントに供給されるLNGは主にカタール産ですが、他にもエジプト、トリニダード·トバゴ共和国、赤道ギニア、ノルウェーなどから供給されています。ALTから供給されるガスの80%は出資社の1つであるエジソンが25年契約を結んでおり、残りの20%が第三者へ供給されています。また、第三者割当のうち、12%はイタリアの経済開発省と電気·ガス規制当局によって取り決められた手続きに従って割り当てられています。

*1 陸上にあるLNG受入基地をそのまま沖合で実現したもので、基地自体がコンクリートなどで海底から支えられている。
*2 イタリアは国土全体に遺跡があるため、LNGの設備などを陸上に作ることができない。

横河ヨーロッパは、このプロジェクトの初期段階からMICC(Main Instrumentation and Control Contractor: 伝送器・制御担当会社)として参加し、制御システムと安全システム(ICSS: Integrated Control and Safety System))を納入しました。システムは『CENTUM CS 3000』分散制御システム(DCS)、IPS/F&G(Instrumented Protection System/Fire&Gas)向けに『ProSafe-RS』安全計装システム(SIS)、パイプラインの監視及び遮断弁の漏れ検出として『STARDOM』ネットワークベース生産システム、さらに計量ステーションおよびオメガシミュレーション社のオペレータ訓練システム(OTS)により構成されています。

お客様の課題とソリューション

1. 安全操作

ALTにおいて、安全性は最優先事項です。『CENTUM CS 3000』と『ProSafe-RS』で構成された堅牢で信頼性の高いICSSは、『STARDOM』を搭載した漏洩検知システムとも連携し、無瞬断の災害予防システムとして機能します。ICSSの操作は『CENTUM』の操作監視画面から行えるため、使いやすく簡単です。

SISとDCSのフェースプレートは見た目や操作性は統一されていますが、SISのフェースプレートには権限を持ったユーザのみがアクセスできるよう厳密なセキュリティ対策が施されています。また、万が一の緊急時には、オペレータには必要な情報が全て集められ、安全弁の操作など、迅速かつ効果的な措置を取ることができます。

2. 安定供給

ALTのもう一つの重要な役割は全国供給網への安定供給です。ターミナルには、LNG を25万㎥保存できるタンクが2基あり、需要の四日分を備蓄することができます。

また、LNG船のスケジュールは厳密に管理され、LNGのアンロードと気化を効率よく行うことが必要とされています。ガスの品質は『GC1000』ガスクロマトグラフによってサンプリングされ、全国供給網の仕様を満たすように制御されています。『CENTUM CS 3000』と『ProSafe-RS』による統合システムの堅牢な信頼性のおかげで、ターミナルは、1日24時間、週7日間連続操業を続けており、稼働率は99.5%に達しています。

Weekly demand pattern

3. ターミナル操業の見える化

LNGのアンローディングシステム、タンクゲージシステム、パイプライン監視システム、計量システムやガスタービンシステムなど、3rdベンダーのシステム情報もModbusインタフェースを介して『CENTUM』に統合しています。ターミナル全体から集められたプロセスデータを見える化することは、生産レポートの作成、プラント効率の計算、個々のプロセスのパフォーマンス解析などを可能にします。

例えばLNGポンプやコンプレッサーなどの回転機器について、厳密な累積稼働時間をレポートすることにより、オペレータは機器のメンテナンスや交換のタイミングを最適にすることができるようになります。ターミナル全体のデータを見える化することにより、適切な人に、適切なデータが与えられ、適切なタイミングで、適切な決定が行えるようになります。

4. 資産の最適化

ALTは沖合に設置されているため、施設や制御システム、装置や機器の適切なメンテナンスが必要不可欠です。安定した操業を維持するためには、予想外のタイミングでフィールド機器が故障することがあってはなりません。ALTでは統合機器管理パッケージ『PRM』を採用しており、オペレータは、フィールドデジタルの通信を介して、いつでもフィールド機器の状態を確認することができます。オペレータと保全員は、『PRM』を使ってコントロールルームからフィールド機器を継続的に監視しています。保全活動は、フィールドデバイスからの情報から予想される故障の前に、計画的に行われます。横河電機は、設備資産の最適管理のため、継続的に『PRM』をサポートしています。 

お客様の声

制御と安全の高信頼な統合システムにより、我々は全国供給網へ向けたガスの安定供給能力に自信を持っています。LNG船のスケジュール、アンローディング、タンク貯蔵、気化は、すべて手順ベース操作であり、完璧に行われています。ターミナルの稼働率はおよそ99.5%です。私たちは可能な限りターミナルの運転を自動化するために、努力しています。最適な運用のためにすべてのプロセスデータを見える化し、ガス事業計画の明確化と最適なLNGサプライチェーンシナリオの作成を維持します。

Russell Golson,
Operations Manager, Adriatic LNG Terminal

Central control room

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