第4火力発電所/モンゴル 560 MW、8 x 420 t/hr、改修 石炭火力発電所向け制御システム改修.

モンゴル logo

概要

サイト:モンゴル国ウランバートル
改修開始:1996年(第一期)、2002年(第二期)
改修終了:2001年(第一期)、2007年(第二期)

第4火力発電所/ロゴマーク

背景

真冬の最低気温がマイナス40℃にもなるモンゴルでは、発電所から供給される温熱水と電気は重要なライフラインです。人口が集中する首都ウランバートルに位置する第4火力発電所は、モンゴル最大の火力発電所で、ウランバートル周辺の65%の温熱水と70%の電気を供給しています。一方で、第4火力発電所は旧ソ連製の設備で運転開始からかなりの年月がたっていました。そして、ソ連崩壊後はスペアパーツの十分な供給もなく、保守作業が困難となりプラントの老朽化が進んでいました。そのため、故障や事故によるプラント停止、それに伴う停電や温熱水の温度低下が頻繁に起こり、さらにボイラでの石炭燃焼にも問題があり、煤煙排出によるウランバートル市の大気汚染も年々深刻化していました。

第4火力発電所 /モンゴル
第4火力発電所 /モンゴル

このような状況を打破するため、モンゴル政府は、日本の円借款により2つのフェーズプランでプラント改修工事を決定しました。フェーズ1(1998-2001)ではボイラ1~4を改修、フェーズ2(2001-2007年)ではボイラ4~8を改修し、横河電機は8つのボイラ全ての計装制御を担当しました。

第4火力発電所

第4火力発電所

第4火力発電所内部

第4火力発電所内部

 

課題

政府は国民のライフラインを守るため、早急に改修作業を進めたいと希望していましたが、第4火力発電所には、改修を始めるための足掛かりとなるプラント建設時の資料がほとんど残っていないという大きな問題がありました。旧ソ連崩壊後の混乱で多くが失われ、残っている資料の中にも詳細な図面はなく、改修工事は既設設備の図面作成から開始する必要がありました。

古い手書きのプラント図面(ロシア語)
古い手書きのプラント図面(ロシア語)

改修前の燃焼システムは粉砕した石炭を一端サイロに貯蔵し燃焼時にボイラに噴射する間接燃焼方式でしたが、この方式は爆発の可能性が高く頻繁にボイラ停止が発生していました。

また、改修前のボイラ制御は給水制御以外すべて手動で制御されており、燃焼空気が常に全開で運転されているなど非常に効率の悪い運転がなされていました。
モンゴル政府と発電所の要求は以下の通り。

既設のボイラ制御パネル
既設のボイラ制御パネル
  1. ボイラ、バーナ、周辺設備の制御を全て自動化すること。
  2. 旧式のアナログ制御装置から近代的なデジタル制御装置に移行すること。
  3. オペレータトレーニングシミュレータを導入して、オペレータを教育し、既存のボードオペレーションからスクリーンオペレーションにスムーズに移行すること。

 

ソリューション

図面の作成

横河のプロジェクトチームは、英語、ロシア語、モンゴル語、日本語を交えながら、第4火力発電所のエンジニアたちとともに、既存のボイラ制御装置と現場計器などの詳細な調査を実施しました。限られた資料を現場と照らし合わせながら、粉塵が舞うボイラハウスを歩き回る作業を何日も続けて図面(P&ID、結線表など)を完成させ、ようやく計装設備リプレース作業のスタートラインに着くことができました。
また、通常はボイラメーカが作成する制御ロジックも火力発電所の要望や改善点を取り入れながら新規に作成しました。

ボイラ、バーナ、周辺設備の自動化とボイラ燃焼方式の転換

間接燃焼方式から、石炭を粉砕後すぐにボイラに注入する直接燃焼方式への設備の変更は他社が実施。その方式に合わせるためにミル・バーナと既設ボイラを組合せた自動制御を実現しました。

アナログ制御システムからデジタル制御システムへ

このプロジェクトによって、第4火力発電所の8つのボイラ全ての制御装置は横河電機の分散型制御システムCENTUM CS 3000に更新されました。
制御室は既設のアナログパネルから近代的なグラフィック画面に変わり、プラントの運転効率と安全性が飛躍的に向上。また、横河電機のプラント情報管理システムExaquantumを導入することにより、運転状況を本社ビルから遠隔監視することも可能となり、正確で迅速な運転管理に貢献しています。システム構成は光ネットワークを使い、配線のコストを減らしながらも安全性と信頼性を強化しました。

改修後の中央制御室
改修後の中央制御室

オペレータトレーニングシミュレータの導入

分散型制御システムと同時に、オペレータのスキルアップのため、オペレータトレーニングシミュレータも導入。これにより、オペレータが十分に教育され、トラブルなくスムーズに新規のオペレーション方式に移行することが可能となりました。

 

結果

ボイラ停止と事故の減少

改修を終えた各ボイラは、1998年末から順次運転を開始しました。設備の信頼性、オペレーションの安全性は向上し、事故は急激に減少。ボイラ起動時に使用する重油消費量は大幅に減少し、ロシアから購入していた電力輸入量も減少し、大幅なコスト削減につながりました。

二酸化炭素排出量の減少と燃焼効率の回復

改修前は悪化していたボイラの燃焼効率が飛躍的に向上(改善)し、省エネ効果と大気汚染ガス・二酸化炭素の削減を実現しました。また、温熱水と電力の供給量は上昇し、ウランバートル市内により安定したエネルギー供給が可能となりました。

ボイラ停止回数

ボイラ停止回数

重油使用量(kilo ton)

重油使用量(kilo ton)

発電用燃料使用量(g/kWh)

発電用燃料使用量(g/kWh)

温熱用燃料使用量(kg/Gcal)

温熱用燃料使用量(kg/Gcal)

技術移転

横河電機はこれらのプロジェクトを通じて10年以上も第4火力発電所のエンジニアたちと共に働き、計装と制御についての設計や試運転などにおけるエンジニアリングノウハウと技術を第4火力発電所のエンジニアたちに教育してきました。これはこのプロジェクトの主な目的のひとつであり、日本政府のODAの趣旨にも沿ったものだと考えています。

また、工期が予想以上に遅れ、現場での試運転では予想外のトラブルに多々遭遇しながらも第4火力発電所のエンジニアたちと苦楽を共にし、同じ目的に向かって協力しあうことで横河電機のエンジニアたちも貴重な経験を積むことができました。

 

お客様の声

フェーズ1が完了して1年以上経ってから、改修した4つのボイラユニットの一つで、トリップが発生する事態が発生しました。横河電機は直ちにエンジニアを派遣、解決に尽力しました。調査の結果、原因は横河電機の機器ではなく、既設の古い機器の故障によることが判明しましたが、横河電機は、プラントを守るという観点から安全な運転ができるまで現場のサポートを続けました。

発電所の所長は、この経験を振り返って次のように語っています。「百聞は一見にしかず。どんなにセールス文句を並べられても、私は自分の目で見ない限り信じない。プラントトリップの時、私は横河という会社の本質、その誠実さが分かった。」

第4火力発電所長ツェベーン氏
第4火力発電所長ツェベーン氏

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