概要
環境を重視した日本最大級の石炭火力発電所
- 西日本地域(関西、中国、四国、九州)への広域電源として建設された火力発電所。
- 国内火力発電設備単機容量としては最大の発電出力105万kWを採用。(2基)
- 排煙のNOx, SOx及びばい塵の除去や石炭灰の有効利用など環境へ配慮。
- 先進の大型スクリーンと高信頼性のCENTUMシステムによる屋外設備の統合化オペレーション。
背景
電源開発株式会社の橘湾火力発電所は、徳島県阿南市に位置し、出力105万kWの石炭焚き発電設備2基を有する日本最大級の石炭火力発電所です。2000年に運転を開始し、西日本地域の広域電源として、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力に電力を供給しています。
橘湾火力発電所は、安定した電力供給のみならず、環境に配慮して、瀬戸内海の風光明媚な自然に調和するよう発電所の色彩を考慮、レイアウトではコンパクト化を図っています。また、環境保全対策としては、石炭灰の一部はセメント材料などに再利用。大気汚染対策では、排煙脱硫装置をはじめとする最新鋭の環境設備を導入し、NOx、SOx、及びばい塵の除去を行っています。2004年にはISO14001環境マネジメントシステムの認証を取得し、国際規格に基づいた環境保全がなされています。
課題とソリューション
大規模設備の統合監視・制御
発電所の主な屋外設備には、排煙脱硫装置、電気集塵装置、貯運炭設備、灰処理設備、排水処理設備等があり、これら設備の統合監視・制御に横河の制御システムCENTUM CSが採用されています。CENTUMが対象とする屋外設備は、制御監視点数約30,000点に及ぶ大規模、かつ広域な構成となっています。I/Oケーブルコスト削減のためリモートI/Oを各設備に配置、また2重化リモート光通信バスにより安全性、信頼性を高めています。各設備に付随するサブシステムとは通信で接続し、CENTUMによるシングルプラットフォームで統合化を実現しています。
大型スクリーンによるマウスオペレーション
全員監視による効率的で、かつ安全な運転監視を実現するために、100インチの大型スクリーン2台によるマウスオペレーションを採用しています。
大型スクリーンによる最適なマウスオペレーションを行うために、画面構成、操作フレーム、警報監視機能を新たに開発しました。警報発生時には必要なガイダンス情報がポップアップで表示され、警報が発生した系統・装置、故障グレードがウィンドウの位置、色、音により容易に判別可能など、操作性の高いインターフェースが実現されています。
大型スクリーンによるマウスオペレーション(8画面表示)
環境運用管理計算機システム
環境保全設備の最適な運用管理実現のため、CENTUMに排煙処理、排水処理設備の運用管理計算機システムがインテグレーションされています。
環境運用管理システムでは、環境設備の運転スケジュール管理機能や、脱硫運用コストの低減、大型補機類の長寿命化を図る為の運転管理機能、脱硫性能等各種予測演算、各種レポート等、環境設備の高信頼で高効率な運用管理をサポートしています。
橘湾火力発電所は2000年の運転開始以来、横河のCENTUMで環境保全設備を含む屋外設備を効率的に運用し、瀬戸内海の周辺環境への負荷を最小限にしながら、安定した電力供給を続けています。
電源開発(株)橘湾火力発電所
発電出力: 105万kW x 2基
屋外設備制御システム: CENTUM CS