横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

お客様と共創したField Assistantが、プラントの保全業務を革新

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概要

宇部興産株式会社は、1897年、山口県宇部において炭田を開発するために設立されました。石炭の採掘、周辺地域の豊富な石灰石やセメントの採掘、石炭を原料とする肥料原料の製造などを通じて成長した宇部興産は、現在では高機能品や医薬品までを製造する化学事業、建築資材事業、および産業用機械事業を手掛けるグローバル企業へと発展しました。

スペインのカステリョンにあるUbe Corporation Europe のスペイン工場は、ヨーロッパ、北南米、アフリカ地域を代表する宇部興産の主力工場で、食品包装用フィルム等に使われるナイロン6、化学肥料などを製造しています。

Ube Corporation Europe

宇部興産グループでは、設備資産効率を最大化するために、プラントの現場で働く従業員の皆さんが自主的に改善活動を行うTPM(Total Production Maintenance)活動に力を入れており、スペイン工場でも積極的にTPMに取り組んでいます。
スペイン工場ではこのTPMの精神に則り、製造現場のメンバがYOKOGAWAとともに、IIoT技術を用いたモバイルソリューション Field Assistant を開発し、導入しました。これにより、保全の無駄の削減と、現場作業品質および設備資産効率の向上を実現しました。

 

お客様の課題とソリューション

解決すべき現場の課題

スペイン工場のプロセス制御システム部門マネージャ Francisco Falomir Arias氏は、プラントの現場作業品質の向上を目指していました。たとえば日々の巡回点検では、フィールドオペレータは点検個所を漏れなく点検し、適切な保守作業を行い、異常があれば計器室と連絡をとるなどして対処しています。巡回後には報告書を作成し、上長に報告しています。しかし点検漏れが発生したり、手元に保守履歴情報がないためオーバーメンテナンスになったりするなど、さまざまな課題がありました。 特に、巡回点検報告書などの紙の書類は1日に400枚も作成されており、上長が作業の進捗状況を確認したり、対処すべき機器の問題を把握したりすることは、とても困難でした。
Falomir氏は、毎日作成される400枚の紙のレポートには、プラントの現場に関する貴重な情報が含まれていると考えていました。これを電子化することで、現場作業効率や設備稼働率を向上できるのではないかと思っていたのです。そんな折、YOKOGAWA Spainのセールス部門が、IIoT技術を用いた保全活動のディジタル化ソリューションについてのプレゼンテーションを実施。それを聞いたFalomir氏は、YOKOGAWAをパートナーとして、改善活動にチャレンジしてみることにしました。

モバイルソリューション Field Assistantを共創

当時YOKOGAWAは、保全活動に使えるモバイルソリューションの実用化を目指していました。モバイルソリューションは、フィールドオペレータが電子化された巡回点検リストやドキュメントの入ったタブレット端末を持って現場を巡回することで、保全作業効率や作業品質を向上することを目指しており、さらには入力された現場の情報を蓄積し分析することで、保全計画の包括的な改善につなげることもターゲットとしていました。

ヨーロッパへのモバイルソリューションの展開を推進していたYOKOGAWA Germanyは、YOKOGAWA本社のR&D部門と連携し、スペイン工場とともにPoC(Proof of Concept)を開始しました。スペイン工場のもつ長期間にわたる保全の経験と情報、およびYOKOGAWAのもつ計装と制御のノウハウとを融合することで、「実用的で真に顧客課題に応えるソリューション」 の検討が進められました。

要求仕様をまとめるために、YOKOGAWAはスペイン工場のフィールドオペレータ、上長、プラントマネージャにヒヤリングを行い、実際に彼らが行っている業務を詳細な業務フローとして整理しました。また、巡回点検データを適切に入力・管理できるよう、巡回ルート毎に設置されているすべての機器について、点検・保守・報告に必要な情報を整理し、構造化しました。これらのデータ構造をもとに、プラント情報管理システムExaquantum上にシステムが構築されました。

すべての機器に関する保全情報を構造化
すべての機器に関する保全情報を構造化

ユーザエクスペリエンスを用いた、より使いやすいユーザインタフェースの構築

フィールドオペレータが使用するタブレットの画面設計や、上長が作業予実情報を確認するための特注ダッシュボード画面のデザインなど、ユーザインタフェースの設計には、YOKOGAWA本社のUX(User eXperience)デザイン部門が参加し、Falomir氏をはじめとするさまざまなプラントスタッフとの緊密な打ち合わせが行われました。

開発段階では、アプリケーションの評価、使用感のフィードバック、ブラッシュアップのためのアイディアなど、スペイン工場からは多くの現場の声が出されました。それらを仕様に反映させながら、実用化に向けて開発が進められました。
このようなスペイン工場とYOKOGAWAの強力なコラボレーションによって、Field Assistantは完成しました。スペイン工場はこれをプラントに導入することを決断しました。

Field Assistant のコンセプト
Field Assistant のコンセプト

Field Assistantによる保全作業の革新

現在、スペイン工場のフィールドオペレータは、Field Assistantを用いて次のように巡回点検を行っています。

  • 電子化された保全作業リスト、巡回チェックリストをダウンロードし、タブレットを持って現場に出発
    ⇒機器に関するドキュメントをあらかじめダウンロードしておくことで、現場ですぐに参照することができます。
  • タブレットに表示されるリストに従って点検・保守を実施し、すぐに作業結果をタブレットに登録
    ⇒点検し忘れ、報告入力漏れを防ぐことができます。入力された内容はシフト交替時の情報共有にも役立ちます。
  • 過去の作業履歴や設定値を参照し、点検・調整時の参考として活用
    ⇒過去の作業履歴を参照することで、注油などの保守作業を過不足なく適切なタイミングで実施できます。
  • 異常を感じたら、タブレットを使って写真・音声・動画に記録して報告
    ⇒記録した動画等は、巡回点検から戻ってからサーバにアップロードします。異常時の様子をビジュアル化することは、ベテランから若手への技術伝承にもつながります。

Field Assistantを用いた巡回点検の様子
Field Assistantを用いた巡回点検の様子

Field Assistantによる上長の管理業務の革新

従来、上長であるマネージャは毎日400枚もの紙の現場作業レポートと闘っており、フィールドオペレータの作業の進捗状況や、対処すべき問題の有無を確認するために、膨大な作業を強いられていました。
しかし現在では、Field Assistantのデータを表示する専用のダッシュボード画面により、抜けや漏れ、機器の異常など、対処すべき必要な情報だけを容易に把握することができるようになりました。フィルタ機能によって、真に必要な情報のみを確認することもでき、現場作業品質を維持向上しながら、マネージャの管理業務の効率向上、作業負荷の軽減を実現することができました。

Field Assistantのデータを表示する特注ダッシュボード画面
Field Assistantのデータを表示する特注ダッシュボード画面

Field AssistantによるO&Mデータの活用

業務革新を行うためには、まずは見える化することが大切です。フィールドオペレータの保全業務や現場の機器に関する情報はディジタル化され、O&M(Operation & Maintenance)データとしてField Assistantに蓄積されています。データを分析することにより、機器ごとの状態を把握し、予知保全(CBM:Condition-based Maintenance)につなげることもできます。
プラントの装置によっては部品の手配に2週間から半年近くかかるものもあるため、故障の予兆を事前に検知できることは、予期せぬプラントの停止を防ぐために非常に有効です。

また、「機器の状態」 と 「フィールドオペレータによる保全業務」 に関する情報が統合されたことにより、スペイン工場では無駄な作業の洗い出しや、保守タイミングの適正化など、プラント全体で保守作業の効率を見直し、改善を図っていくこともできるようになりました。

 

ベネフィット

Field Assistantの導入により、スペイン工場では次のような効果が期待されています。

予防保全活動の工数削減

装置への注油作業など、予防保全のための作業を見直し、工数(コスト)を約10~15%削減。

予知保全への移行により保全コスト、予期せぬ停止を削減

機器が故障したあとの事後保全ではなく、早期の異常検知による予知保全への移行が進み、保全コスト、無駄の削減を実現。予期せぬ停止による製造品質への影響を防ぐことも可能に。

現場作業品質向上による無駄の削減

フィールドオペレータが保守点検作業を確実に行うことができるようになり、作業の無駄を約10%削減。作業履歴を分析することで、フィールドオペレータの作業手順の改善も可能に。

適切なディシジョンをサポート、製造パフォーマンスを最大化

Field Assistantに蓄積されたO&Mデータの分析により、プラント内で何が起きているかを把握し、無駄を削減。保全計画策定時などにおいても、適切なディシジョンを行うことが可能に。

 

お客様の声

宇部興産グループのスペイン工場とALL YOKOGAWAとのCo-innovationにより開発されたField Assistantは、プラントの現場作業の効率化を劇的に進めるディジタルトランスフォーメーションのソリューションとなりました。

Francisco Falomir Arias様

「Field Assistantは、YOKOGAWAとスペイン工場との深いコラボレーションの結果として完成しました。UX設計から携わったこともあり、Field Assistantのソフトウェアはユーザフレンドリーでとても使いやすく、フィールドオペレータの作業効率向上にとても役立っています。
Field Assistantは、現場の保全業務と情報とが結び付いた素晴らしいプラント情報システムであるとも言えます。プラント全体でどのような作業が進捗しているか、どこに課題があるのかを見極め、プラントの運転計画や保全計画を適切に立案し、改善していくことにも有効です。」

Francisco Falomir Arias様

業種

関連製品&ソリューション

現場のデジタルトランスフォーメーション(Field Assistant)

製造現場において日常的に実施されている巡回点検や日常保全、予防保全、TPM活動など、現場のデジタルトランスフォーメーションを実現するには、デジタルツールを活用した現場作業支援や遠隔サポートに加え、現場データの電子化とレポート作成などへの有効活用、さらには工場内の他データと共に解析し業務改善プロセスを継続的に回し続けることが非常に重要になります。

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