横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

研究プロセスの最適化:ELNを駆使した効率的なデータ管理

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お客様のチャレンジ

生体分子の合成プロセスにおける業務管理の効率化

 

得られた成果

業務タスク、リソースの最適な運用、データ・文書管理の効率化、業務や文書の電子化・標準化、簡単導入

 

 

概要

株式会社糖鎖工学研究所では複合型N-グリカンに分類される糖鎖の大量製造技術を確立し、その技術をベースに、糖鎖試薬やペプチド・糖ペプチド・糖タンパク質といった研究用試薬のカスタム合成、および、それらの原薬原料としての販売を行っています。また、これらの製造で培ったノウハウをベースに、さまざまなニーズに応じた生体高分子の合成・分析サービスも行っています。
加えて、特徴的な3次元構造を持つペプチドバインダーのスクリーニングサービスは、医薬品の新たなリード化合物の探索などに利用されています。

 

お客様の課題

糖鎖工学研究所ではこれまで、研究や製造の記録には、記録紙や実験ノートが使われており、次のような課題がありました。

  1. 過去に合成した化合物や、それに付随するデータが共有されていない。
  2. プロジェクトの進捗度管理が、会議での結果報告のみでリアルタイムでの把握ができていない。
  3. 手書きで実験ノートに随時記載するため記入に時間がかかり、記入するデータも完全には統一されていない。
  4. 各作業者はある程度統一された手順で実験を実施しているが、具体的な操作手順や良否判定方法の基準などが人によって異なり、属人的な面が多々あった。

上記(2)のプロジェクト進捗度管理は、社内会議で情報共有を図ったり、Excel表に記入する形で管理していました。また、間接的な手法として、経費管理システム、試薬管理システム、グループウェアなどのシステムを使って、進捗状況の確認をしていました。これらの手法はある程度機能しましたが、紙の実験ノートのデータを確認しながらの資料作成や進捗表の作成は手間と時間がかかり、詳細な管理は困難であることから、非効率的でした。

 

YOKOGAWAのソリューション

本プロジェクトのリーダーである技術部部長補佐の落合様は、 生体分子の合成プロセスにおける業務管理の効率化の必要性を認識し、横河電機が提供する、多機能電子実験ノート OpreX Informatics Managerの利用を開始しました。PoCの経緯とその利点について落合様にお話しいただきました。

業務タスク、リソースの効率的な運用

  • 即時のデータ共有
    実験データを共有できるため、過去の実験操作へのアクセスが容易になります。保存したデータはオンラインでの会議で使用することもできました。
  • リアルタイムでの進捗管理
    進捗度管理において、 OpreX Informatics Managerを使うことで、管理者が進捗度を知りたいときに、いつでも、どこでも(出張先などでも)状況を把握することができるようになりました。
  • テンプレート化による入力作業の効率化・正確化
    テンプレートの作成・活用により、データ入力にかかる時間が短縮されました。これにより、必要な項目の記入・確認を丁寧に行うことができ、再現性が高いデータを取得できるようになりました。また、テンプレートを作成することで、実験前に記載事項や実験内容といった全体感をイメージすることにも役立ちました。さらに、具体的な操作手順や記入するデータの必要項目を指定することにより、属人化を防ぎ、データが統一できるようになりました。

データ・文書管理の効率化

  • 容易なデータ管理
    紙の実験ノートの場合、データを複数のページにわたって貼ったり、小さく印刷して貼ったり、別のファイルにまとめたりするという煩雑な作業が必要でした。しかしOpreX Informatics Managerを使用することで、膨大なデータも一つの実験としてまとめて保存することができ、さらに参考文献も添付できるようになりました。
  • ドキュメントの履歴管理
    以前はメールで履歴付き文書のやり取りをしていましたが、最新版がどれなのか分かりにくいという問題がありました。OpreX Informatics Managerのドキュメント管理機能を使用することで、更新履歴や最新版がすぐに確認でき、共通文書の作成に大いに役立ちました。

業務や文書の電子化、標準化

  • 自由度の高い運用
    研究者によるカスタマイズが可能なワークフローにより、現状の業務フローに合わせた運用に適用できる汎用性の高いシステムです。必要な機能だけを選んで利用することでシステム構築にかかる工数を削減できました。
  • 判読性の向上
    手書きの実験ノートだと読みにくい場合もありますが、電子実験ノートであれば必要に応じて表示の拡大も可能で、読みやすくなりました。

簡単導入

  • さまざまなデバイスでの利用
    専用ソフト不要のブラウザベースアプリケーションで、PCやタブレット等複数デバイスが併用できました。実験環境に応じたデバイスを使用可能で、実験室で入力したデータをオフィスでレポート化するなど、場所を選ばず作業が可能となりました。
  • 保守要員が不要
    クラウドを利用するためサーバーメンテナンスの必要がなく、保守要員が不要です。専任のIT管理者を必要としないため、弊社のような中小規模の組織や、大学の研究室にも適用可能であると感じました。
  • ユーザーフレンドリーな画面
    電子実験ノートの記入も、普段Microsoft Wordなどの一般的なアプリケーションを使っている人ならば、特に問題なく使用できました。また立ち上げについても事前に説明を受けていれば使用開始日からすぐに使い始めることができました。

 

お客様の声

「担当者情報や機器、試薬の管理機能が充実している点や、化学描画ソフトに魅力を感じています。また、今後実装が検討されているシステム連携にも期待しております。

今後は、業務・機器・試薬・文書の管理機能を活用し、①ELNのテンプレート充実、②スキルに応じた人材アサイン、③機器や試薬の予約管理への利用、などを通じて、さらなる業務効率化を図ってまいります。」

※ELN:電子実験ノート(Electronic Lab Notebook)

株式会社糖鎖工学研究所 技術部 部長補佐 落合様
株式会社糖鎖工学研究所 技術部 部長補佐 落合様

業種

  • 医薬品

    変化の激しい現代では、今迄以上に経営判断には、スピードと正確性が求められています。
    医薬品業界においても、ICT技術を活用したパラダイムシフト(QbD、連続生産)が起き、そうした潮流の中で如何に情報をキャッチアップしていくかが企業の課題です。
    YOKOGAWAは、原薬・製剤・バイオ領域への1000を超えるシステムの導入実績を礎に、これからも医薬品産業の更なる発展に貢献して行きます。

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