マウス初期胚発生の長時間多次元イメージングが証明する CSU シリーズの低退色・低光毒性

はじめに

受精・初期胚発生過程では、様々な現象が時空間的に制御され、かつそれらの多くが「個体発生」という最終目標に向かって原因と結果という関係で結ばれています。その作用機序を解析する上で、細胞の固定や破壊を必要とする従来の実験手法では限界がありました。この問題を解決するには、一連の過程を経時的に観察でき、かつ観察後も引き続き個体まで発生させることが必要です。そこで、個体発生にダメージを与えない初期胚長時間多次元ライブセルイメージング技術の確立を目指しました。

Experimental flow
Movie example

図1 初期胚長時間多次元ライブセルイメージング技術は胚の個体発生に影響しない
(a)実験の流れ
(b)ムービーの代表的な例
ここでは紡錘体を緑に(EGFP-α-tubulin) 核を赤に(H2B-mRFP1) にラベルしてある
写真はZ 軸方向に51 枚ある画像を最大輝度合成によって1 枚の画像に変換し、7.5 分おきに撮影したものから2 時間間隔で抜粋
(c)約6万枚近くの蛍光画像を取得した胚を移植して生まれた仔とその仮親

実験内容

マウス受精卵にEGFP-α-tubulin およびHistone H2B-mRFP1 のmRNA をマイクロインジェクションし、3 時間インキュベーションした後にCSU10 を付加した顕微鏡システム(図2) にセットしました。着床前初期胚発生過程について約70 時間に及ぶ長時間の3次元イメージング(詳細な撮影条件は表参照)の後、胚盤胞期胚を仮親の子宮に移植しました(図1a)。

 

CSU System
No. Devices Manufacturer Model
1 Inverted fluorescence microscope Olympus IX71
2 Nipkow disk confocal unit Yokogawa CSU10
3 EM-CCD camera Andor iXON DV887-BV
4 Z motor Ludl Mac5000
5 XY auto stage Sigma Koki XY30100T
6 CO2 incubator Tokai hit MI-IBC
7 Filter wheel Ludl Mac5000
8 Software Molecular Devices MetaMorph

図2 本実験で用いた初期胚多次元イメージング用顕微鏡システム
倒立顕微鏡にCSU10 およびEM-CCD カメラをアドオンしてあり、自動XY ステージ、Z 軸モータの制御により、多点かつ立体観察が可能です
ステージ上のCO2インキュベータで培養しながら観察します

CSU システムでの撮影条件
Total time 70 hours
Interval 7.5 min/stack
Z-axis slices 51 sections (at 2μm intervals)
Channel 3(DIC, EGFP, mRFP1)
Position 6(Total 72 embryos)
Laser power(Measured at objective lens) 488nm (0.281 mW), 561nm (0.225 mW)

結果

受精直後から胚盤胞期までの長時間イメージングに成功しました(図1b)。イメージング後の胚(計6万枚近くの蛍光画像を取得) を移植した結果、正常に産仔が得られました(図1c)。得られた産仔は健康に育ち、生殖能力を有していました。以上から、本初期胚イメージング技術は個体発生にダメージを与えないことが明らかとなりました。

まとめ

CSU を用いることで、細胞に対して極めて低毒性の長時間多次元イメージング技術を確立することができました。これは、サンプルに当たる励起光が極端に弱いというCSUの特徴によるものと考えられます。この技術革新により、ライブセルイメージングにより細胞をただ「見る」だけだった時代から、イメージング後にさらにその細胞を別の解析法に 「活用する」時代に移ったのではないでしょうか。今後はイメージングをもとに遡及的・予後予測的に細胞現象の原因と結果を関連付ける研究がさかんになると考えられます。

データご提供:理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 若山照彦研究室 研究員 山縣一夫先生
参考文献:Yamagata, K., Suetsugu, R. and Wakayama, T. Long-term, Six-dimensional Live-cell Imaging for the Mouse
     Preimplantation Embryo That Does Not Affect Full-term Development. J. Reprod. Dev. In press 2009; 55: 328-331
     顕微鏡活用なるほどQ&A 羊土社 宮戸健二、岡部勝 編集


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