内蔵ステージインキュベータの培養環境保持性能評価

はじめに

ライブセルイメージングは細胞の経時的な変化の情報を一度に得ることが出来る、非常に効率的な手法です。一方で、ライブセルイメージングを行う際には装置側の準備として、細胞が正常な状態を保つための最適な環境の維持機構(温度、CO2濃度、湿度の制御)が要求されます。このテクニカルノートではハイスループット細胞機能探索システム CellVoyager CV8000の内蔵インキュベータ性能評価(ウェルプレート内での細胞増殖のばらつきの検討及び一般的なCO2インキュベータとの比較)の結果をご紹介します。

評価手順

  1. Azami-Green(緑色蛍光タンパク質)を安定発現するHeLa細胞を、500 cells/well medium:250ulで96ウェルプレート(Greiner #655896)に播種し、一昼夜培養。(プレートを2枚準備 ウェルの外側の隙間に水を入れる等は行っていません。)
  2. 1枚はそのまま一般的なCO2インキュベータで72時間培養。(0時間と72時間後の状態をCV8000で撮像)、1枚はCV8000でライブセルイメージングを実施。 (3時間間隔で72時間、4倍対物レンズでwhole well撮像)
  3. ハイコンテント解析ソフトウェア CellPathfinderにて解析。 各ウェルにおける細胞の総面積(以下、Total Areaと記載)を算出し、ウェル間での細胞増殖のばらつきの検討及び、 一般的なCO2インキュベータとの比較を行いました。
A1 well

図1(a). 細胞の経時的な増殖(72時間): A1ウェル

B2 well

図(b). 細胞の経時的な増殖(72時間): B2ウェル

C3 well

図(c).細胞の経時的な増殖(72時間): C3ウェル

D6 well

図1(d). 細胞の経時的な増殖(72時間): D6ウェル

Variation of cell proliferation rates within the well plate

図1(e). 各ウェルでの細胞の増殖曲線

縦軸:Total Area(ウェル内での細胞の総面積) 横軸:時間(0~72時間)
ウェルプレートの4隅のウェルでは細胞の増殖が悪化していますが、他のウェルでは増殖を続けています
同様の条件下でのタイムラプス動画 : ウェル間の比較 :  再生

 

各ウェルにおける、72時間後のTotal Area / 0時間でのTotal Area

Total Area ratio の経時的な変化(エラーバーは標準偏差)

図2. ウェルプレート内での細胞増殖率のばらつき(n=3)

(A)各ウェルにおける、72時間後のTotal Area / 0時間でのTotal Area
96ウェルの平均:7.7
96ウェルの変動係数(標準偏差/平均): 8.5×10-2
最外周36ウェルの変動係数: 1.1×10-1
最外周を除く60ウェルの変動係数: 5.1×10-2
(B)Total Area ratio の経時的な変化(エラーバーは標準偏差)
24時間後では各グループ間のTotal Area ratioに差はなく、また72時間後でも4隅以外の最外周ウェルでは中心ウェルと近い結果が得られました。

 

一般的な CO2インキュベータとの増殖率の比較(n=3)

図3. 一般的な CO2インキュベータとの増殖率の比較(n=3)

各ウェルにおける、一般的なCO2インキュベータとCV8000の72時間培養後の細胞増殖率の比較
CV8000 の Total Area ratio / CO2インキュベータの Total Area ratio × 100
(100に近いほど、CV8000とCO2インキュベータにて同じように細胞が増殖したことを示します。)
96ウェルの平均:90
最外周36ウェルの平均:81
最外周を除く60ウェルの平均:96

 

考察

今回の評価でウェルプレートの最外周以外のウェルにて、ウェル間の細胞増殖のバラつきは小さく、また一般的なCO2インキュベータと比較しても遜色の無い増殖結果が得られました。一般的に、ウェルプレートの最外周では、培地の蒸発等のため細胞増殖率が低下することが知られていますが、今回、最外周でもウェルプレートの4隅以外のウェルでは、中心付近のウェルと比較しても、大きな差は見られませんでした。これらの結果からCV8000内蔵インキュベータの性能はライブセルイメージングを行うのに十分な性能を有していると言えます。

 


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