有機半導体非接触評価

背景

近年、地球規模の環境・エネルギー問題がますます深刻化する中、太陽電池は新しいエネルギー源として社会から広く注目されています。その中でも、有機薄膜太陽電池(OPV: Organic Photovoltaic)は、ロール・ツー・ロール(R2R: roll to roll)生産法によって低コストで生産性の高い製造方法を実現でき、低価格、軽量、しかもフレキシブルなデバイスを供給することができます。OPVは、窓材などの建造物、モバイル市場および自動車市場など幅広い分野での展開が期待されています。
その一方、R2R生産方法においては、製品がシート上を動いて製造されるので特性のモニタリングが難しく、生産制御やインライン検査を行うことができませんでした。このことが量産化の障壁となっており、この問題を解決する非接触型のセンサが望まれていました。
 

フィルム太陽電池の開発

ロール

 

技術

OPVは、①光吸収による励起子生成、②励起子の拡散、③励起子の解離、④生成した電荷の拡散、⑤電極での電荷集電という過程で発電します。また、R2R生産方法では、製品がシート上を移動しながら生産されますので、プロセス制御を行うために特性のセンシングや検査を非接触で行うことは、低コストで生産を行う上で特に重要となります。
YOKOGAWAは、レーザを使用した光学手法を用いて、非接触でOPVの発電効率の指標である発電電圧と発電電流をセンシングする二つの技術開発に取り組んでいます。

 

Printing system

 

  • 非接触発電電圧センシング技術 EOセンサ
    EOセンサは光学技術を利用した電界センサで、測定対象の電界を乱さないという特徴があります。そのため、グランドに接続されていない2点間での測定(フローティング測定)が可能です。センサのアンテナエレメントに光学結晶を使用し、光学結晶に印加された電界に比例して結晶の複屈折率が変化する現象を利用することで、印加される電界を測定します。発電電圧は、電界の重ね合わせの原理を応用したアルゴリズムにより、周囲セルからの電界に影響しない発電電圧のセンシングを行います。

 

非接触発電電圧センシング技術 EOセンサ

EOグラフ

  • 非接触発電電流センシング技術 過渡吸収センサ
    OPVに光を照射すると、光照射により励起子が生成されます。その後、励起子は拡散し、界面に到達し電荷分離((励起子の解離))しキャリアが生成されます。このキャリアが電極に集まることで発電電流が流れますが、電極に到達する途中で再結合や材料中に存在する欠陥により消滅すると、電極部までキャリアが到達できず、外部に電流を取り出せなくなり、発電の効率が低下することになります。
    開発を進めております過渡吸収センサは、レーザによるパルス励起を行い、瞬間的に生じる反応中間状態等のキャリアの密度変化を光吸収の変化として測定しています。変化の応答時間が発電電流と相関があることから、OPVが発電で発生する電流のセンシングが可能です。

レーザー カラフルなネオン

非接触発電電流センシング技術 過渡吸収センサ

 

将来構想

有機半導体非接触評価技術によって、非接触でOPVの性能を測定することが可能になります。従来ではモジュール単位でしか測定できなかった発電電圧と発電電流を、セル単位で測定可能となります。これにより、R2R生産方式において、連続的に流れているOPVの生産プロセス管理はもちろん、品質とプロセスデータを統合することにより、相関的,多面的に「見える化」を図ることができるようになります。
YOKOGAWAは、さらなる技術開発を継続し、生産現場における付加価値創出を支援していきます。

 

包装産業機器

有機半導体非接触評価技術の将来構想

 

トップ