横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

1細胞を観察する装置の開発・普及に向けた産学連携コンソーシアム結成

2018年4月13日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)と静岡県公立大学法人静岡県立大学薬学部生体機能分子分析学分野(轟木教授、水野講師)の研究グループは、「シングルセローム※1共同開発研究コンソーシアム」を、4月1日に共同で設立しましたのでお知らせします。
 本コンソーシアムは、武田薬品工業株式会社が日本発のイノベーションを創出すべく主導する湘南ヘルスイノベーションパークに拠点を置き、1細胞質量分析法※2に関する共同研究を通して培ってきた技術を中核に、質量分析法以外の分析方法にも柔軟に組み合わせることができる1細胞の採取機能や生きた細胞内の様子を直接知るセンシング機能の開発、さらには遺伝子や薬物などを細胞内に直接注入する機能などの追加を検討し、1つひとつの細胞を探査するための装置を開発します。開発された装置が、新薬開発やライフサイエンス分野のさまざまな研究開発に活用されることを通じて装置の普及・発展を図ります。

 生物の最小構成単位である細胞内で起こる分子の変化や相互作用を個々に観察できる1細胞分析法は、病理の解明や新薬の薬効と副作用が発生する仕組みの理解に有効です。しかし現在は、細胞のかたまりをばらばらにして調べるか、かたまりのまままとめて分析するため、個々の細胞や分子が存在した場所を特定して分析することができません。これまで水野講師と横河電機は、横河電機の共焦点スキャナ技術を応用し、細胞を観察しながら目的の細胞の細胞質を採取し、高感度に分析する装置の開発に共同で取り組んできました。これをさらに発展させることで、位置情報が明確な細胞の内部や細胞間のより詳細な分子メカニズムが明らかになり、個人による医薬品の効果の違いや病気の発症の解明に貢献できます。また、1細胞分析法は、良質な細胞の選択が必要な再生医療に加え、農作物の品種改良などのバイオテクノロジーの分野でも有用な手法になることが期待できます。

 このたび横河電機は水野講師とともに、個々の細胞や分子の変化を観察できる装置を早期に開発することを目指して、「シングルセローム共同開発研究コンソーシアム」を設立することを決定しました。新薬開発やライフサイエンス分野のさまざまな研究に携わる国内外の多くの学術団体・企業に装置を活用いただきながら、1細胞分析手法に関する意見・要望、課題・改善点を共有して、研究者のニーズを捉えた装置と分析法やアプリケーションを開発していきます。本コンソーシアムには、複数の大学・研究機関と製薬会社の加入が内定しています。

 「シングルセローム共同開発研究コンソーシアム」は、1細胞の採取法と質量分析法を含めたさまざまな分析方法との有効な組み合わせを実現する装置を開発し、より安全で効果の高い医薬品や医療技術をいち早く患者と医療現場に届けることができるようにライフサイエンス分野の研究に貢献することを目指してまいります。

コンソーシアムの概要

  • 名称:
    シングルセローム共同開発研究コンソーシアム
    (英名:Single Cellome Co-innovators’Consortium)
  • 目的:
    1細胞を採取・分析するマニピュレーター※3の開発、普及、発展とさまざまな分析方法との有効な組み合わせの実現
  • 体制:
    代表:静岡県公立大学法人静岡県立大学 薬学部講師 水野 初
    事務局:横河電機株式会社 ライフイノベーション事業本部 
  • 設立日:
    2018年4月1日
  • 拠点:
    湘南ヘルスイノベーションパーク
    ◇〒251-8555 神奈川県藤沢市村岡東2-26-1
    ◇Tel: 0466-32-1012 内線736174
  • 活動内容:
    オープンミーティングでの意見交換(年2回開催)
    各々の研究テーマに関する開発装置の試用による共同実験

※1 シングルセローム:
生物体内の分子情報を個々の細胞単位で網羅的に解釈しようとする研究

※2 1細胞質量分析法:
1細胞分析法の一種で、細胞から極細のガラス管で成分を吸い出し、ナノスプレーにより細胞中の分子をイオン化させ、質量分析計を用いて分子の種類と量を検出する手法。顕微鏡と組み合わせて様子を見ながら、高精度に分析できる。従来の分析法では多量の試料が必要であったが、この分析法では細胞1個で分析が可能。中間代謝物の定量化や、最終代謝物までの代謝経路の追跡も行える

※3 マニピュレーター:
人間の手作業の代行を的とした装置

以上

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