急速に市場が変化する今、ビジネスの先行きは不透明性・複雑性を増しています。こうしたなかで企業に強く求められるのが、より高い収益性の確保と、安定した事業運営です。多くの企業はこれに応えるべく、最先端のテクノロジーを導入し、大幅な業務改善や徹底したコスト管理、さらにはダウンタイムの削減や収益性の向上に努めています。

テクノロジーの導入は、効率化はもちろん、新しい生産、操業、流通体制を実現します。また、高度なインテリジェンスや認識技術によって、需要の変化に動的に対応した製品のカスタマイズ、高い製品品質の確保、リアルタイムな生産プロセスの最適化が進んでいます。その先にあるのが、Autonomous Operations(操業の自律化)です。

テクノロジーは自動から自律の時代へ

- 学習と適応を通じて一歩先の生産体制を構築する -

Autonomy(自律)とは独立して自らを制御できることであり、多くの点でAutomation(自動)とは異なります。自動化とは、あらかじめプログラムされ、高度に構造化された一連の作業を実行することであり、常に人間による監視と介入が必要です。自動化された業務は、数分から数時間、あるいは定常連続運転のようにさらに長期にわたる場合もありますが、こうした業務の合間に人間も働かなければなりません。そして、安全でタイムリーな、収益性の高い作業を完了させる責任を負うのも人間です。

対して自律化とは、スマートセンシングと機械知能により、不測の事態を予想して対処・適応する技術です。人間の介入を必要としない点で、自動化の先を行きます。YOKOGAWAが推進するIA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy)は、起動から停止まで、安全性を含めたすべてのプロセスをシステムが担う、自律操業に向けた企業の取り組みをサポートします。

IA2AI Industrial Automation to Industrial Autonomy

 YOKOGAWAが提唱するIndustrial Autonomy
プラントの設備や操作自体が、学習し、適応する機能を持つようになること。それにより、人間の介入は最低限にとどまり、オペレーターはより高いレベルの最適化に取り組むことが可能となる

自律化の達成レベル

- 段階的なステップを踏む -

自律化は、プロセス制御と運用、計画とスケジューリング、サプライチェーン・マネジメント、現場作業、メンテナンス、エンジニアリングといった製造プラントのさまざまな機能領域に浸透していきます。現場作業で言えば、すべての作業を人間が行う自律性の低い状態から、システムが作業者を誘導してタスクの達成方法を指示するSemi-autonomous(半自律化)へと移行するようなイメージです。ここからさらに自律性を高めるには、人による手作業を完全に置き換え、例外的な状況のみに限定していく必要があります。

自律的な運用が実現すれば、現場作業では人の手作業が不要になります。現場作業でもメンテナンスでもロボットが重要な役割を果たし、定期的な作業者巡回、サンプルの収集、モニタリング検査、調査などまで行えるようになります。

さらに、1つの工場内にとどまらず、複数の工場間のデータや資源の自律的な交換を検討することもできます。地球環境の持続可能性という観点から事業を見直すことが求められる今、より多くのステークホルダーに利益をもたらす可能性を秘めた手法と言えるでしょう。

自律化を可能にする技術やデータは、すでに実用段階にあります。データの大部分は、制御ネットワーク内のセンサーから発信されるか、無線センサーで取得できます。AIをはじめとする各種テクノロジーがデータを処理して、インテリジェンスを付与することも可能です。自律性の低い段階では不要ですが、高レベルの自律化を達成するには、複数領域を統合する包括的アーキテクチャーを開発する必要があるため、おそらくAIが必須となるでしょう。

Digitalization Stage

自律化へのアプローチ

- 自律化への道のりは企業風土や事業環境によって異なる -

製造業界は自律化への移行を進めており、多くの企業が無人操業に取り組んでいます。とくに、高度に複雑な、遠隔地の危険な施設では先行して普及が進んでいます。しかし他にも、新たな地域に自律化したプラントを建設したり、既存の工場に自律化のためのテクノロジーやコンポーネントを導入したりするなど、企業が自律化を進める方法はまだまだあります。

また、生産プロセスにとどまらず、より高次な機能の自律化も可能です。今後は、従来型の制御と効率性に焦点を当てたものから、安全性、信頼性、マージンの最適化、コンプライアンス、サプライチェーン・マネジメントなど、さまざまな生産機能へと拡大していくことが予想されます。

将来的には、異なるレベルや状態の自律化が複数混在する可能性があります。そのような場合は、産業用オートメーションと自律化したシステムを扱うプラントの従業員を、操業プロセスに組み込む必要があります。こうした従業員の職務は、より付加価値の高い活動への従事や、リアルタイムの生産情報を活用した、より迅速で優れた意思決定へと変化していくでしょう。

Paths to Autonomy

自律化で広がる可能性

- 自律化への道のりは長く困難なだが、得られるものは大きく、確かな持続性がある -

製造業では、限られた規模でも自律化を達成することにメリットがあります。例えば、自動化と業種毎のアプリケーションの統合を強化することで、ヒューマンエラーを排除し、操業の中断を防ぐだけでなく、遠隔地や危険な環境に人を配置する必要がなくなります。

完全に自律化したプラントを短期間で構築するのは現実的ではありませんが、用途やニーズ、費用対効果に応じた部分的な自律化であっても、一定レベルの導入効果が期待できます。

現在、大部分のメーカーは自律化へ向けた6段階のうち、第2段階であるAutomated(自動化)レベルで操業していますが、すでに次なる第3段階のSemi-autonomous(半自律化)レベルにある企業は、技術、信頼、雇用動態の進歩を待つ必要があり、長期間、同じ水準にとどまる可能性があります。こうした場合でも、工場の作業員が自律システムとの働き方を学習することになるため、人間の介入と、自律化の力を借りた意思決定が重要であることに変わりはありません。

YOKOGAWAは、製造業における自律化の促進要因と障壁を明らかにするため、業界の専門家と協力を得てIndustrial Autonomy(産業における自律化)の調査を進めています。その結果については、以下の記事をご覧ください。

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