横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

OpreX Data Model Broker

OpreX Data Model Brokerは、AIで使用されるオントロジー技術をデータベースの運用・管理に応用することで、プラント設計と計装システムに散在するデータ間の整合性を自動で検証し、相互利活用を可能とするプラントデータ変換プラットフォームです。

※オントロジーとは、AI 技術で使用される考え方の一つで、「情報の意味を定義するための概念・仕組み」のこと。人が情報の意味を理解するという行動を、コンピュー タ上で実現することを目的とします。

Oprex Data Model Broker 最新R2.02情報 (2024年2月)

設計図面コンバータの機能を拡充しました。設計図面コンバータは、2次元のCAD(2D CAD)で描かれたP&ID図(Piping and Instrumentation Diagram: 配管計装図)を読み込み、コンピュータ処理が可能なデータ形式のP&ID図や各種リストを自動生成します。自動生成するリストに、従来からある計器リストに加えて配管設計で作成される「配管リスト」および「材料集計表」を追加しました。

詳細

設計図面コンバータ

設計図面コンバータは、Oprex Data Model Brokerをプラットフォームとし、既存の設計図面から各種リストや国際標準のフォーマットに準拠したP&ID図データをファイル出力するアプリケーションです。これまで人手によって行っていた図面からの必要なデータの抽出作業や各種リストの作成を効率的に行うことができます。

開発の背景

石油や化学などのプラントにおいて、その設計情報の中心にあるP&ID図は、プラントの設計・建設段階だけでなく、運用や保守・増改造段階においても様々な場面で使用されます。P&ID図はプロセス設計部門によって作成され、計装や配管、機械といった他の部門に提供されて精査・利用されますが、人が見ることを前提に作成された図面として情報交換されることが多く、コンピュータ処理が難しいケースがありました。このような場合、P&ID図からのデータ抽出および加工は専門家が手作業で行う必要があり、作業工数や作業品質の面で課題がありました。 当社はこのような課題の解決を目的としてOpreX Data Model Broker 設計図面コンバータを開発しました。設計図面コンバータは、2D CADで作成されたP&ID図をパターンマッチングにより高い精度で読み取り、国際標準に準拠したXMLデータに変換すると共に計器リストの自動生成も可能です。お客様は、これまで手作業で行っていた業務を省力化し、ヒューマンエラーの低減による作業品質の向上・均一化を図ることができ、プラントエンジニアリングにおけるデジタライゼーションを進めることができます。

主な機能

  1. P&IDの情報を解析して、計器リスト、配管リスト、材料集計表を自動生成
    2D CADで書かれたP&ID図を本システムへ読み込ませることで、計器リスト、配管リスト、材料集計表の元となるリストを自動生成できます。図面から情報を手作業で抽出してリストを作成する場合と比較し、作業工数を最大で60%削減します。 情報の抽出にはパターンマッチング技術を採用しており、解析対象の図面を使用してパターンの作成と調整を行うことができます。検出精度のチューニングを簡単に行うことができるため、関連作業のスムーズな立ち上げが可能です。
  2. P&IDの国際標準規格に準拠したXML文書を自動生成
    読み取った情報をP&ID図の国際標準規格 ISO15926に準拠したXML文書形式で出力することが可能です。同じフォーマットをサポートしている他システムやアプリケーションにて利用することができますので、プラントの既存資産である設計情報の有効活用が容易になります。 設計図面コンバータは、プラントの設計図面に関する作業を効率化すると共に、デジタライゼーションにより業務プロセスの改善を図ることができます。

画面構成

dmb-topview

  • メインビュー(画面中央)
    サムネイルビューで選択中の設計図面を表示します。画面表示オプションを変更することにより、設計図面に解析結果を重ねて表示します。
  • パターンビュー(画面左側)
    作成したパターンをツリー形式で一覧表示します。フォルダを作成することにより、パターンをグルーピングすることができます。
  • プリミティブビュー(画面右側)
    メインビュー上に表示中の設計図面上で選択中の図形を構成する線や円、テキスト等のパーツ(プリミティブ)を表示します。 
  • サムネイルビュー(画面下側)
    本アプリケーションへインポート済みの設計図面を一覧表示します。

パターン作成機能
メインビューに表示中の図形を利用して、パターンを作成します。検出したい図形やその図形を構成するパーツの条件、検出した他図形との接続関係の設定等を作成されたパターンへ定義します。検出した図形に含まれるテキストに対応した属性名を設定することで、検出したテキストを属性値として出力することができます。

Pattern creation

解析結果表示機能
設計図面をパターンにて解析した結果をメインビューに表示できます。

  • 図形検出結果表示
    検出した図形をパターンで設定した色に従いハイライト表示します。
  • 接続関係表示
    検出した図形の接続関係を表示します。

画面例
解析結果表示画面例

ファイル出力機能

  • パターンマッチングリスト
    作成したパターンで検出した図形を一覧表示します。検出した図形に対応するパターン名、図形の位置、検出したテキスト(属性)をCSVファイルに出力します。
  • 計器リスト、配管リスト、材料集計表などの各種リスト
    設計図面上の図形、付随するテキスト、図形間の接続関係を抽出し、各種リストの原案をCSV形式でファイルへ出力します。下記のようなデータを出力することができます。CSVファイルに出力する項目等はカスタマイズすることもできます

計器リストの例

項目 説明
タグ名 計装記号内にあるテキストを元にタグ名を出力します。
図面番号 設計図面に記載された図面番号を出力します。
位置情報 検出した計装記号の設計図面上の位置情報を出力します。
計装記号 計装記号の形状から判別できる情報を出力します。
計器種別 計器の形状からその種別を出力します。
配管番号 計器に対応する配管番号を出力します。
付属情報 図形の形状や図形付近にあるテキスト情報から判別/ 抽出できる情報を付属情報として出力します。

DMB-InstrumentList

  • ISO15926 準拠
    設計図面を検出した図形をパターンの内容に応じて変換し、ISO15926に準拠したXML形式でファイルへ出力します。出力したXMLファイルは、ISO15926をサポートする他システムに取り込むことができます。

レポート機能

  • 図形検出結果表示をPDF形式で出力します。
  • 各パターンの内容をExcel形式でファイル出力します。
  • ISO15926 準拠 Proteus Shema 4.1の視点で解析結果に問題のある個所をWord形式でファイル出力します。

提供方法

デスクトップアプリケーションとして提供します。

設計データバリデーション

設計データバリデーションでは、システム化が難しく確認作業に課題があったP&ID図と3D配管図の不整合箇所を自動検出することで、膨大な設計データ間の整合性の確認作業時間・工数を大幅に削減し、作業効率の向上へ貢献します。

開発の背景

近年、プラントの規模は大型化が進み、敷設される設備は高度化しています。プラントの建設や増改築時においては、それぞれの担当部門がさまざまなツールを用いて設計データを構築しています。また、システムにおいても同様で、設計書や仕様書のみならず、機器や装置ベンダからの図書もあり、個々のシステム群のエンジニアリングデータも存在します。これらデータ間の整合性確認は手作業で行われることが多く、膨大な作業時間と工数が費やされています。例えば、大抵の場合、3D配管図面は数千枚にものぼりますが、大規模プロジェクトでは1万枚を超えることもあり、これらを全て手動で確認しているのが現状です。デジタルテクノロジーを活用してデータの相互運用性を高め、信頼性を担保する仕組みが強く求められています。

設計データバリデーションは、データの整合性確認作業に課題があったP&ID図と3D配管図の検証を自動化することで、ベネフィットを提供します。

  • 整合性確認に要する膨大な作業時間・工数の大幅削減
  • ヒューマンエラーの削減による作業効率向上
  • 配管資材の誤発注リスクの低減

主な機能

比較・検証機能
P&ID図と3D配管のアイソメトリック図(アイソメ図)のファイルを利用して、以下の種類の整合性を自動検証します。

検証対象 機能概要

配管属性

P&ID側の記載内容とアイソメ図側の記載内容の一致・不一致を自動検証する。

フランジの配管仕様

バルブ端に配管仕様の変更が指定されている場合、アイソメ図側の該当バルブと付随するフランジの配管仕様の一致・不一致を自動検証する。

配管資材ごとの属性および並び順

配管資材ごとに属性値の一致・不一致を自動検証する。また、配管資材の並び順の一致・不一致を自動検証する。

配管資材の流れ方向の確認

P&ID図上のプロセスの流れ方向に対して、アイソメ図側の配管資材の流れ方向の定義が一致するか自動検証する。

 

画面例

主に4種類の画面上で検証結果を確認できます。複数画面の同時表示可能かつ、画面間での相互移動もできるため、効率的に検証結果を確認できます。

  • 整合性検証結果の一覧
  • 整合・不整合箇所をハイライトしたP&ID図
  • 整合・不整合箇所をハイライトした3D配管モデル
  • 整合・不整合箇所をハイライトしたアイソメ図

レポート機能
整合性の検証結果をレポートとして出力できます。

  • 整合性検証結果の一覧をMicrosoft Excel形式で出力
  • 不整合箇所をハイライトしたP&ID図およびアイソメ図をPDF形式で出力

提供方法

クラウド環境を利用したSaaSとして提供します。どこからでもアクセスができ、整合性検証がいつでも可能です。検証結果は専用デスクトップビューワにより、オフラインでも表示可能です。

ドキュメント&ダウンロード

ニュース

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